パパの命日②

下咽頭癌、ステージIII

5年生存率、60%

癌が声帯にも広がっている。幸い、リンパに転移は無かった

外科的手術で、癌と声帯を切除する

声帯は残し化学療法、放射線治療をする

どちらかの選択をする事になった。家族はもちろん、手術を勧めた。その方が治る確率があったから。でもパパは声を失う事を嫌がった。最後まで手術はしない、声帯は取らないと折れなかった。本人の気持ちを1番に考え、手術はしないで、化学療法と放射線治療をしていく事に決めた。

実家は元々自営業をしていたが、重要な機械が壊れたのと、パパの病気があり廃業した。

お母さんは毎朝、家の事をやり、病院へ行き、夕方帰ってくる…という生活をしていた。あたしもパートのない時は病院へ行った。

でも、当時の記憶はあまりない。ほとんどお母さんに任せっきりだった。あたしも子供たちがまだ小学生だったから。

受けられる回数が決まっている放射線治療をし、抗がん剤を使って、パパの癌はおとなしくなった。肌は火傷のようになってしまったけど、抗がん剤の副作用は、怠さ、少し髪の毛が抜けるくらいで、さほど酷くはなかった。

数ヶ月入院して、病院で治療する事がなくなったから退院して自宅療養となった

続く