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本会議:2019年度税制改正・地方税等 討論(重徳和彦2019/03/01)

2019年度税制改正・地方税等(衆議院本会議)
 【反対】地方税法等の一部を改正する法律案
 【反対】特別事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案
 【賛成】森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案
 【反対】地方交付税法等の一部を改正する法律案

○重徳和彦議員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に賛成、その他3本の法案に反対する立場から、会派を代表して討論を行います。
【森林環境税】
 
初めに、森林環境税についてです。
 2月15日の本会議質問で述べたとおり、森林環境税は森林資源管理の財源としてだけでなく、税を通じて都市住民も含む全ての国民に、森林の恩恵、保全への理解を広げる政策として、日本の国益に資する重要な制度と捉えております。ただし、その制度設計については幾つか疑問があります。
 まず、森林環境税の導入時期は、この4月から始まる新たな森林経営管理制度とセットでスタートさせ、国民の皆様に受益と負担を理解し納得できる制度とすべきなのに、何の関係もない個人住民税均等割1000円上乗せの終了時期まで5年待ち、その間は税収を前借りする形で財源調達するのは、財政秩序の上でも健全な方法とは言えません。
 また、森林環境税の市区町村への譲与基準として、森林面積と林業就業者数のほか、人口割を30%分設け、都市部での木材利用の促進や普及啓発をも使途対象とするとのことですが、県と比べてエリアの狭い市区町村が、川上・川下で連携し好循環を生むという政策目的がインターネットなどによる使途の公開のみをもって制度的に担保されるとは言えないでしょう。
 まして、国内の森林整備という政策目的からすれば、外国産の木材利用に充てることは明らかに目的に反するにもかかわらず、これを国が禁ずることはWTO協定の内外無差別の原則から適切でなく自治体において検討すべきとの答弁があり、ここにも大きな不安が残ります。
 これらの課題は、森林環境税の制度を運用する上で極めて重要な点ですので、法律の施行後もすっかり監視すべきことをここに指摘した上で、本法案に賛成いたします。
 なお、国土保全に関連し、私が本会議で質問した、我が国の国境離島や防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の買収に関して、安倍総理は国家安全保障にかかわる重要な問題との認識は示したものの、現在、土地や森林の所有状況の把握を行っているのみであり、必要な政策について検討を行っていくと述べるにとどめていることに強い憂慮の念を申し上げたいと思います。この問題を放置すれば、国防はもちろん、食料や水資源といった日本人の生存にもかかわる安全保障上の致命的な問題になりかねません。私たち国会議員一同が、法的な問題を乗り越え、国際交渉においても強い意思を持って一致して取り組む必要がある、国家の重要課題ではないでしょうか。
【特別法人事業税】
 次に特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案についてです。
 地方法人税収の東京一極集中は強まる傾向にあり、自治体関係者からすれば、幾ら企業を誘致しても税収がなかなか増加しない状況を生んでいます。しかし、法人事業税の一部を国税化し、国が一旦吸い上げて地方に再分配するやり方は、いかにも中央集権的です。本来は現行の分割基準を変更し、例えば地方法人税収の帰属について、利益でなく売り上げに着目するとか、地域ごとに発生した付加価値を積算するなど、新たな課税の仕組みを検討すべきです。
 また、この際、法人事業税の一部を正規の国税の法人税とし、その分、消費税を地方税源に回す、いわゆる税源交換についても今こそ検討を進めるべきでございます。地方財源の強化こそ地方自治の体制強化につながるのです。
 この数十年、国政・地方政治にかかわる方々が積み重ねてきた地方分権の歩みを、安倍政権は軽く見ていると言わざるを得ず、この法案に反対いたします。
【地方税法改正案】【地方交付税法改正案】
 最後に、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案については、地方自治体の安定的な税財源、税財政運営のために必要な改正が含まれているものの、これらの法案は消費税増税を前提としたものであり、参議院定数6増のゲリマンダー政治は言うに及ばず、社会保障改革の立ち遅れ、大盤振る舞いの消費増税対策など、消費増税を容認できる状態とは到底言えない以上、総合的に判断して反対することにいたします。
 以上で討論を終わります。ありがとうございました。

(以上)



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