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本会議:2019年度税制改正・所得税 反対討論(広田一2019/03/01)

2019年度税制改正・所得税等 反対討論(衆議院本会議)
 所得税法等の一部を改正する法律案

○広田一議員 社会保障を立て直す国民会議の広田一です。ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論します。
 今回の改正案は、事業承継税制の個人事業者への拡大や、車体課税の実質530億円の引き下げなど、評価すべき点もあります。
 昨年度の税制改正は、給与所得控除の見直しなど、主に所得税の改正が中心でした。今回の改正は、消費税10%への引き上げに伴い需要の平準化をどう図っていくのかということに力点を置いています。加えて、予算措置とパッケージで消費増税対策を講じようとしております。その狙い自体は理解しますが、その内容はばらまきと格差拡大を助長するものにほかならず、全く評価をすることはできません。
 例えば、軽減税率とポイント還元制度の合わせ技で、3・5・6・8・10%と、実質的に5段階の複数税率が併存することになります。これでは消費者も事業者も大変です。店頭は混乱します。安倍総理は、ポスターを張って告知するなどと言っていますが、そんなことで混乱が避けられると考えるのは甘すぎます。
 特に、ポイント還元制度は逆進性を助長し格差を拡大させます。カードを持たない子どもたちや高齢者が文房具や日用品を買えば10%、カードを持っている金持ちが鮮魚店で高級マグロ、我が地元・高知県だと水炊きに使うクエを買えば、3%です。余りにも不公平であり、簡素・中立・公平という税の理念・大原則から外れております。
 しからば審査のないプリペイドカードで対応すれば大丈夫という説明があります。確かにプリペイドカードは便利です。しかし現実は、地方に行けば行くほど使える店舗は限られております。手数料も発生します。明らかに都市と地方の格差は拡大し、これまた助長してしまいます。
 しかも、683億円という莫大な事務費も発生します。費用対効果の観点からも大いに問題です。
 しかも、ポイント還元制度は来年の東京オリンピック前に終了します。つまり、制度に慣れたころ、キャッシュレスが普及し始めたころに終わってしまいます。終わった後は今度は実質的な大増税です。下がったり上がったり、ジェットコースターのような場当たり的な対策のために、オリンピックの後の不景気、いわゆる「オリンピックの崖」に転落するリスクは高まります。このような天下の愚策は撤回すべきであります。
 住宅ローン控除の拡充は、駆け込み需要と反動減の平準化という観点では理解できます。しかし、拡充という名のもとに複雑化しています。それゆえ弊害も出ています。平成25年から平成28年分で、なんと最大1万4500人の方が所得税の申告を間違うなどの問題が発生しております。「すまい給付金」とか省エネ優遇など、これまた合わせ技でさらに複雑化しています。複雑がゆえに、利用者にとってわかりにくい。それゆえに混乱し迷ってしまえば、それこそ本末転倒です。適正な是正を強く求めます。
 以上、消費税対策と称した過剰なばらまき対策は、「将来にツケを回さない」「社会保障を安定させるためなら増税もやむを得ない」と考える国民を裏切る行為です。安倍政権における税制改正は、昨年が特にそうでしたが、全体的に法人を優遇し個人は負担をふやすというバランスの極めて悪いものです。逆に私たちは、野田政権以来、分厚い中間層の復活を目指しています。暮らしの底上げ、個人消費のボトムアップに資する改正こそが今こそ必要であります。
 最後に、政治を変えるとは、税金のあり方、税金の使い方を変えることです。私たちは「納税者」「生活者」そして「働く者」の立場に立った真の税制改革を実現することを申し上げまして、私の討論といたします。
 どうもありがとうございました。

(以上)

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