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私の父はウッカリ父さん、番外編

すごい不思議なのだが、町場の不動産屋、特にしょぼい不動産屋ほど名刺を欲しがるのは何故だろう?以前に「名刺がなければ客にあらず」という管理会社と当たってしまい非常に辛かった思い出がある。今だったらそんな不動産屋の物件借りなきゃいいんだが。

今回は私の父でなく他所のお父さんの話である。
以前に勤務していた会社で経理部で新しく新卒の女の子を雇った、
ところが、その子がしきりに自分の名刺はいつ支給されるのか心配している。
残念ながら、その会社は役職者でなければ名刺は作らないのだった。

何を怯えているのか聞いてみたところ、父親からしつこく名刺を寄越せと言われているらしい・・・何でも、社会人たるもの名刺がなければ一人前とは認められないと仰せらしい・・・はぁ・・・?

4月も終わりと言う頃に経理の子の父親が会社に怒鳴り込んできたのである。
「名刺を寄越せ!」と酷い剣幕である。
総務部長も出てきて、これこれこう言う訳で、と説明してるのに聞いちゃいない。
ますます怒りがエスカレートし、怯えたパートのおばちゃんが110番して警察までやってきた。だが、あまりの馬鹿馬鹿しさにすぐ帰った。

経理部長と総務部長が話し合って、特別に女の子の名刺を作ることになったのだが、そんなくだらないことで父親が会社に怒鳴り込んできたのが恥ずかしかったらしく、ゴールデンウィーク明けに彼女は退職した。
しかし、彼女の父上はどうしてそこまで娘の名刺が欲しかったのだろうか?
謎である。

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