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歌詞と唄を紐解いて見る

2018年5月16日、歌手の西城秀樹さんが亡くなられました。ご冥福をお祈りします。
西城秀樹さんの歌手としての業績はものすごいものがあり、太陽と言ってよい活躍かと思います。
今回、個人的には1999年に出来た傑作である
「ターンAターン」


を歌詞の面、歌の面から紐解いて行き、追悼にかえたいと思います。
曲のiTunes linkを貼って置きますので、是非聞いてからこの後、お読み頂けるとより良いかと思います。

駄文ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

歌詞を紐解く

まずサビから入ってのAパート、Bパート、サビ。それを繰り返す。
最後はBパート、サビ、サビ。でしめるという歌謡曲黄金パターン。
この辺りは作曲の小林亜星さんの色が濃く出てますね。
イントロの段々盛り上がっていって歌い出しに「すっ」と空間が出来たところに声がはまり「聞く」体制が出来てる感じなんか、もろに「昭和歌謡」でぞくぞくします。
そして、初期サビはあえて歌手に歌わせずに、サポート、コーラスに唄って貰う(高い音)という豪華さ。素敵。
そこからのAパートですが、「誰が決めたんだ」でぐっと聞かせるタメにその前のフレーズはかかりの無い流れを作ってます。ところが、その次のフレーズでは濁音を音を効果的につかって「止め」を作り「タメ」を産み出してからの、「歴史」
なるほど。「歴史は誰も決めてはいない」というのが来ますね。
そしてのBパート。フレーズは数個流しつつ、ゆっくり目で進むのですが、あえて
「悲しみ」「払って」に「を」を入れることにより違和感を作って「気にさせて」いきます。
そして、また流しつつ「捧げる」をいうのを「しるしで」と止めています。
つまり「切なさや悲しみ」などを「愛」で記すという「テーマ」を気にさせていくわけです。
最後、サビです。サビのところは同じ文字をずっと繰り返します。繰り返しも「気付き」になっていくので耳に残す手法です。
いっかいめでひっくり返ってひっくり返って、
にかいめでひっくりかえってひっくりかえって、
さんかいめでひっくりかえったからこその、ピリオド。
そして、それを繰り返す二番に入るのです。
二番は「歴史」の書き直しをAパートで唄い、Bパートでは「星からの癒やし」が「傷口」にあたる。という「テーマ」の続きを気付きとして置いていきます。
それからのサビは一番と「ほぼ」同じなのですが、違う点があります。そこはコーラスの被せです。少しだけ高い音を強くして、二番の「癒やし」というのとかぶるようにしてあります。
最後に、一番のBパートからのサビ、サビに入って曲の方は終わるのですが、その途中二番から一番のBパートに行く間奏がまた長めに取ってあり、曲の広がりを見せています。
そこから、最後のサビは叩き付けるように上がって行きます。そして最後のホーミーの音で消えるところが……。

唄を紐解く

唄の方も大変しなやかに唄われています。歌詞の方でも重ねや違和感、引っかかりや流れなど駆使してあるのですが、歌い手の力量がきっちりと合う。もしくは戦いを挑んでいるとこのようになるのだな。と感嘆します。
では、なぜそう思うか?という箇所を追って行きます。
Aパートの入りから、声、喉の強弱で歌詞を拾って行きます。文字を読むではなくて強弱で拾う。これはよく演歌の人や宇多田ヒカルさんなど大変上手い人の歌い方ですね。さすが。
そして、Bパートのところでの流しの箇所でもきっちり単語単語の間は弱くして、繋ぎのことば「てにをはが」は、「くっ」と力感出して聞いてる人を気づかせるようにしています。
続くサビが真骨頂になるのではないでしょうか?
音としては、「あーああーん、あーああーん。あーあー」にすぎないのですが、最初の「あーああーん」=「たーんえーたーん」の時にわざと短く唄い強弱で言う「弱」から入っています。
同じ言葉を繰り返し喋る、唄うコトを想像してみてください。どうしても楽譜通り譜面通りだと「同じことを繰り返す作業」になりがちです。
ですが、ここで最初弱くし、段々強く。最後は絶叫でマイクを離して行く唄い方で聞かせてきます。
正確には「たんえーたーん、たーんえーたーん。たーーーんえーーーー」のように段々と伸ばす音を多きくしていき聞く人に「何か凄いもの」という認識を植え付けることに成功しております。
一番でもきっちりと最後絶叫に近くなるのですが、二番でコーラスが強くなってもまたレベルが上がり盛り上がります。
しかし。最後の一番の繰り返しの箇所では、段々と抜ける(よくあるフェードアウト)に近い演出がやられていることもあり、力をかけた抜き。というよりも遠くに投げる形で「えーー」という唄い方をして最後のコーラスと、ホーミーの音に被せています。

西城秀樹さんはとても素敵な歌手でした。

彼は新御三家の一人としてもてはやされた時代があり、TVでみない日が無いくらいの大スターから段々と出番が少なくなりましたが、きっちりと現場ライブはこなしていた「歌手」のベテランでした。
私は80年代頃からしか知りませんし、本当に「すごい」って思えたのは90年代も半ばになったあとでしたので、TVでの凄さは記録映像でしか判っていません。
しかし当時のアイドル歌謡にきっちりと骨を入れてくれたのは、太陽であったのは紛れもなく彼だったと思います。

最後に。

カップリングの月下美人も素敵な曲なのでみんな聞いて故人を偲びましょう。

今回はこの辺で。

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