熱中症と酔っ払い
この記事を予告してから、ずいぶん時間が過ぎてしまった。
私のつれあいはいつも最終電車で帰って来る。
7月のある日、最終電車の到着時刻よりも早い時間に、
最寄り駅から連絡がきた。
「動けない」
駅で電車を降りてすぐにふらついて座り込んでしまったそうだ。
ホームにへたり込んでいるから、迎えにこい、とのこと。
私は飲み物と、冷却ジェル枕、保冷剤、濡らしたタオルなどを持ち、
駅にいるであろう彼のもとへと急いだ。
どこにいるのかよくわらかず、うろうろしていると
「反対側だ」と電話がかかってくる。
やっと発見し、とにかく飲み物を渡し、
同時に冷却ジェル枕で頭頂部を、保冷剤で首筋を冷やしはじめた。
彼は憔悴しきったようすでうなだれて、
言葉を発することもままならなかった。
ようやくぽつりぽつりと話しだしたのは
冷やし始めてから10分以上たってからだった。
水分はちゃんと取っていたつもりだったが、
電車を降りて歩きだした途端、
力が抜けるように崩れ落ちたのだという。
そのまま動けず、駅のホームでうずくまっていた。
朦朧として、体温が下がらない感じだったそうだ。
駅員が何人か通りかかったが、無視された。
「ただの酔っ払いだと思われたんだろう」とのこと。
私がホームで、介抱していると
「大丈夫ですか?」と声をかけてきたのは
20分以上あとのことだった。
その頃にはやっと話もできるようになり、
体温が下がって、落ち着いてきていた。
それにしても、歩きだすまでには30分近くかかった。
というわけで、
夜おそくの熱中症症状は、ただの酔っ払いと間違われる危険性がある
というお話でした。
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