おか

日記など書きます。詩を勉強中。

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最近の記事

【詩】未来

過去を尋ねると いつも力なく座り込んでいた 五歳の私 声をかけても 身体を揺さぶっても 俯いたまま息を殺していた 私 彼を最後に見たのはいつだったか 幾年かが経ち 私は激流に打ちしおれて いま力なく 夜の静けさにいた 液晶画面の光が 部屋に染み入り ふと過去が 私の手を引く 幼い自分は まだそこにいて いつの間にか立ち上がって 遠く前方を見ている 私の方から その視線の先は分からない しかし 私は 遠くまで来た 彼が見やるその先に すべての私がいるのだ ただ進んで行かなけ

    • 【詩】祈りのゆくえ

      夢を見た 毛布のような光のなかで 小さな赤いお守りを包む どうか この人が死んでいく日に この人がその人生のなかで 最も幸せで最も満ち足りた日を迎えますように と 夢はゆっくりと閉じて 夏用の青いシーツカバーが冷たい 身体を起こし 脳から足に血が下りていく お守りに書いてあった名前は 思い出せないけれど どうか 私の平明な祈りが 失われませんように 私のうちに 留まっていますように

      • 【詩】幸運

        私の名前が呼ばれている おーい 声が大気に溶け込んで 気がつくと私がいる あなたの名前を呼んでみる おーい 声が行き着くその場所に あなたが生まれる 私を呼ぶ声はどこからくるのだろう あなたを呼ぶ声はどこからきたのだろう 名前があるということの 限りない幸運

        • 【詩】ことばの川

          人と人との すれ違い 行き違い 誤解しあい 傷つけあい やがて離れる そうして 彼らの間を縫うように流れる ささやかで しかし雄大な ことばの川 川はどこにでも流れている 川は誰のものにもならない いまでも 私たちの間に流れる ことばの川 どこに向かって流れるか どの海に繋がっているのか その先に 私たちの再会があるのか

        【詩】未来

          2024/9/5の日記

          秋の空気になった。陽射しはいまだに強く、部屋のなかから見ている分には夏と見分けがつかないが、外に出てみると明らかに空気が違う。風景は同じなのに何かひとつが欠落している感じが不思議だ。たしかに夏が死んで、秋が来たらしい。 自己否定が始まり、今日はほとんどを部屋のなかで過ごした。何もできない。もういい年なのに、数年前と何も変わっていない気がする。 自己否定が始まると、過去の記憶がすべて敵になる。よい記憶もあまり思い出せなくなる。というか、よい記憶も自己否定の材料になってしまう

          2024/9/5の日記

          2024/8/30の日記

          朝から叩きつけるような雨が降っている。 今日は昼から出かける予定がある。 車を駅に停めようと思ったが、駐車場の空きが一つもない。結局車で違う駅まで行ってそこの駐車場に停めた。 この雨だとみんな車を使うから、駐車場が埋まる。考えてみれば当たり前だが、そういう予測が立てられない。タイムリミットが迫るなか、駅前の狭い道をぐるぐる回っているのは惨めだった。 東京の小さな劇場で、演劇を観た。演劇は高校生の時に学校の行事で観て以来だった。 目の前で人間が演技をする。演技というのは画面

          2024/8/30の日記

          2024/8/26の日記

          疲れがとれない。嫌な記憶がフラッシュバックして夢にも出てくる。 しかし気合でどうにかなる類のものではないので、焦らずに少しずつ気持ちを切り替えていくしかない。 『違国日記』をスマホアプリで少し読んだ。以前映画は観たので設定と大まかなストーリーは知っていた。ただ映画とは違うところがもちろんたくさんあった。 槙生の「群れからはぐれた狼」感は漫画の方が伝わってきた。そして「違う国に行っている」槙生の様子も漫画の方がうまく表現していた気がする。 「砂漠」「群れからはぐれた狼」「違

          2024/8/26の日記

          2024/8/24の日記

          今日は仕事。土曜日はいつも出勤する職員が少ないが、今日は体調不良の人もいたのでとりわけ人手が足りず、忙しかった。 帰りにコンビニでアイスをひとつ買った。家でゆっくり食べたかったので、アイスを鞄に入れて、溶けないように急いで自転車を漕いだ。直前に雨が降ったので、外は少しひんやりとしていた。風呂上がりに食べたアイスはまあまあ美味しかった。 以前通っていた大学の恩師に連絡をした。参加予定だった集まりに参加できなくなってしまったので、そのお詫びの連絡だ。気にしないで、と返事が来た

          2024/8/24の日記

          2024/8/22の日記

          久々の何もない休日。ゆっくり寝て、ゆっくりご飯を食べた。何も考えないことができた。 「逃げ上手の若君」のアニメと、「アフターサン」という映画をプライムビデオで観た。 「アフターサン」は、30歳の父と11歳の娘がトルコのリゾート地にバカンスに行く話。特徴的なのは、大人になった娘(おそらく当時の父と同年齢ぐらい)が、旅行中に自分が回したビデオを見ながら当時を回想する、という構成になっている点。 11歳の頃には分からなかった父の苦悩、寂しさが、大人になった今見えてくる。父は人間

          2024/8/22の日記

          2024/8/19の日記

          ここ数か月無理をしてきた。身体に鞭打つような無理をしてきたわけではなく、気持ち的に、生き方的に、異質なものに自分を合わせていくという意味で無理をしてきた。 その数か月の無理の頂点としてのイベントが今日ひとまず終わった。 実際に無理をしてみないと、それが本当に無理なのかどうかは分からないことも多い。最初はどんな仕事も、環境も、慣れないのだから、ストレスはかかる。そういう一時的なストレスはここでいう「無理」ではない。ただ、初めはなかなか両者の見分けがつかない。この一時的なストレ

          2024/8/19の日記

          葛藤について

          葛藤に飽きた、と思う瞬間があった。 「葛藤すること」に感じていた意義や価値が、ストンと抜け落ちてしまったような感じがした。あるいは、それまでの執着がふと消えたような。 私は人よりも、葛藤している時間が長い方だと思う。特にここ数年間は、人間関係で少しつまずくたびに、過剰に葛藤して苦しんできた。 私が葛藤を繰り返してきた理由を、強いて挙げれば、周りに葛藤している人間がいなかったからだ。矛盾ばかりで、平気で人を傷つける人がたくさんいる世の中で、なぜそのことについて真剣に悩んだり自

          葛藤について

          いま(詩)

          長いこと歩いてきて いま公園の 小さなベンチに腰掛ける しばらくすれば 私はまた歩き出すだろう けれどもいまは ここにいる 噴水には水がなく 底の枯葉が カラリと鳴って 白い日差しは 中空に 刀のように 静止している しばらくすれば 私はまた歩き出すだろう それでもいまは ここにいる

          いま(詩)

          2023/12/11の日記

          折坂悠太の新曲が配信された。もう40回は聴いてる。 「ええよ 眠れなくても ええよええよ 明日もくるよ 血行 澱んだり流れたり 正常 生きてるよ」のところが特に良い。優しいし力強い。 なんとなく、ファーストアルバム『たむけ』の雰囲気に近い、牧歌的で生活的な曲調。サードアルバム『心理』の少し緊張感のある楽曲群もすごくよかったけど、個人的には今回の「人人」のような曲をもっと聴きたいと思った。 『心理』に収録されている楽曲は、名前の通り、人の「心理」の奥底にあるものを表現しよ

          2023/12/11の日記

          2023/11/28の日記

          ストーブの出番が来た。朝、布団から出たときの温もりを忘れないようにするためには、エアコンでは間に合わない。ストーブで足元から温める。石油の火力がすごく頼もしい。 ストーブがあれば、なんと寒い朝でもパジャマを脱いで着替えることが可能だ。私はまず冷え切った洋服をストーブの前に置いて温めてから着替えることが多い。今日は仕事がなかったが、それなりに早起きして8時ごろにはご飯を食べ終えて着替えることができた。そのあと図書館にでも行って勉強しようと思っていたのだけど、ストーブの前に座っ

          2023/11/28の日記

          2023/11/07の日記

          今日はバイトが休み。近所の小さなショッピングモールの休憩スペースで試験勉強をした。小説も少し読んだ。この休憩スペースはすごく良い。二階の半屋外のような場所で日当たりがよく、鳩やハクセキレイが歩いている。アーケードの下にあり壁にも挟まれているから雨風は届かない。頑丈な木の椅子とテーブルが10組ぐらいある。通行スペースではないから、買い物客が通ることもない。すぐ横に自動販売機が3つあり、ごみ箱も置いてある。トイレも近い。ただ、買い物客が休むためにある場所だと思うから、勉強目的の場

          2023/11/07の日記

          折坂悠太 「らいど」東京公演 感想

          9月29日、人見記念講堂にて開かれた折坂悠太の「らいど」公演を観に行った。以下に感想を、というより観た直後の私に残っているそのままの印象を、書き残しておきたいと思う。 (印象をつづるだけなので、レポとして読むことは推奨しない。) スモークの立ちこめるステージに自然体でぬるっと登場し、拍手のなかマイクの前に立つ折坂悠太。ギターをセットして一曲目。すばらしい歌唱力、表現力。演奏のクオリティは音源とまるで変わらないけれど、アレンジが加わるところに生身の人間を感じる。 トークも自

          折坂悠太 「らいど」東京公演 感想