ブリグズビーベア

人生で一番の映画に出逢えた気がする。
ブリグズビーベア。
最初は、7月頭にリバイバル公開があり、その抽選を承っているお知らせを見たところから知ることとなった。
結局公開は友人の結婚式の日だったので応募しなかった。
でも何か気になる。なんだろうこのクマ。
なんだろうこのビジュアル。
ただのコメディではなさそうだな。
そう思って、観ることにした。

物語の冒頭は、主人公が部屋でテレビ番組「ブリグズビーベア」を見るところから始まる。
ブリグズビーベアに熱中する主人公、そんな主人公を暖かい眼差しで見守る両親。
普通の平凡な家族の生活。
でもどこか何かおかしい。
そう、主人公は家から一歩も外に出たことがない。
最初は箱入り息子なのだと思っていた。
しかし物語は一変する。

突如警察が家に押しかけてきて、両親をあっという間に捕まえてしまう。
何が起こったか理解できない主人公。
主人公は警察に連れられ、補導される。

そう、両親は実は本当の両親ではなかった。
主人公が赤ん坊の時に、誘拐したのだ。
その事実を知らされ、本当の家族の元へと帰ることになる主人公。
それから外の世界に触れ、たくさんの「初めて」を経験していく。

しかし主人公にはずっとそばに居たブリグズビーベアのことが忘れられなかった。
ブリグズビーベアは実は偽の父がスタジオで自作し撮影していた完全創作の番組であった。
その為ブリグズビーベアを知るものは主人公しかいない。
ある日父と映画を見に行くことがきっかけで、主人公はブリグズビーベアの物語の続きを映画として作ることを決意する。


生まれて初めてのことだらけの主人公に、最初は見ていてハラハラしていたが、次第に主人公が初めてできた友人たちと楽しむ様子や、色んな世界を知ることで成長していく様がいちいち感動してしまう。

いくら最初の両親が偽の両親だったとしても、長い年月を共に過した家族そのものだったからそう簡単には断ち切れないよね…と。
そしてきっとその偽の両親との繋がりが、ブリグズビーベアだったんだと思う。
主人公の全ても、ブリグズビーベアだったんじゃないかな。
偽の両親だったとしても、そこにあった絆や愛情は本物だったと信じたい。
そして、本物の家族との愛も本当のものとなったと思う。
プラスに考えればたくさん家族がいるってとても良かったとも捉えられるよね、とわたしは思った。

主人公が作品を作り上げ、公開する日に「他人の評価が怖い」と怯えていたけど、生きていく上で重要なことだよね。
他人の目ってどう写ってるか分からないし、評価下されるなんて以ての外。
そんなの関係ねーぜと笑い飛ばしてくれる友人の一言が心強かった。
そうやって、一個ずつ乗り越えて挑戦していく主人公。

多分そこに自分の姿も重ねてしまった部分があったのかもしれない。
わたしは転職歴本当に多くて、その度初めてのことだらけで挑戦しては折れてしまって、の繰り返しで。
今はやっと自分が居場所だと思える所で働けているから、人生が楽しくなってきたけど。
挑戦し、挫けたり喜んだりする。人生はその繰り返しなんだと思う。
そしてそうやって生きていくんだなと思う。
見終わった後、わたしの心の奥底にもブリグズビーベアがいたようなそんな気がしました。

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