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hitting duck【デッキ紹介】


はじめに

6月はもはや夏なので、昨年8月以来実質1年ぶりの記事となります。遅筆どころか稀筆。どうも雨弓です。

毎度のことながら洒落たサムネを作る技術が無いのですが、今回はさらにパワーアップして以前の記事から画像を引用し殊更にガビガビ画質のダックドロッパーにてお出迎えさせていただきました。逆に手抜きではない。


えっ……ていうかこの人…………


またダックドロッパーでデッキ組んでんの!?


組んでんです。組んでええねん私財法。おもんな。
しかしデッキ紹介記事はデッキが面白ければそれで良いのです。本題に入りましょう。


やりたいこと

私に二度もデッキを組ませるほど魅力に満ち溢れたダックドロッパーの効果はあまりにも有名ですが、今一度おさらいしておきましょう。

ダックドロッパー、略してダクド

特に「相手の攻撃をすべて直接攻撃にする」効果が目玉ですね。有効な使い方の一つとして、「とりあえずバトルフェイズ」で踏めてしまう打点の低い妨害持ちを守り、強く使うことができます。か弱い仲間を守護する騎士みたいでなんだかかっこいい。私は使うたびになんとなく脳内でイジゲン・ザ・ハンドをイメージしています。

この技の理屈イナイレの中でも謎すぎる

ところがダックドロッパーの場合、弾いた攻撃は外れるどころかプレイヤーの顔面にモロに入ります。彼が守護する「仲間」の中に、プレイヤーは入っていないのです。大抵の決闘者はこの事実に耐えられず、ダックドロッパーに別れを告げてしまいます。

残念ながら当然

が、

私はそんなお前が好きだ。


(以降デッキレシピまで読み飛ばし推奨)


そもそも決闘者は決闘に勝つためにモンスターを使役しているわけで、モンスターのために戦っているわけではない。そんな超次元の利己的支配者に利する行動しかしない方が、存在としてむしろ不自然ではないか。

モンスターがプレイヤーに召喚される時、そこはもれなく戦場の最前線である。自身の命を顧みることなど許されず、そればかりか自身の命を擲てと命じられることも少なくない。「そんな状況に甘んじていいのか」彼は見えない旗を振り上げるかのように、ベニヤ板の後ろから声高に叫ぶ。「我々が自らの命を惜しんで何が悪いのだ、支配者に牙を剥いて何が悪いのだ。我々には生き延びる権利があり、自由があるべきではないか」

しかと聞き届けた私は深く頷く。なるほど確かに、そのような在り方をするモンスターがいてもよかろう。思えば決闘者はモンスター無しには決闘できぬ割に、彼らとの関係は酷く不公平であった。認めよう。ダックドロッパー、貴様は正しい。

だが。

決闘者として、すなわち勝利を目的とする者として貴様を戦場に駆り出すからには、強固な耐性に甘んじてモンスターゾーンに胡座をかくばかりの怠け者であっては困る。であるからには、私に利すること無しとしたその効果を、最大限に私の利としてやろうぞ。対等な関係であるならば、貴様が私を利用する権利を有するように、私も貴様を利用する権利を有するのだから。

ここに、戦いの火蓋は切られた。ダックドロッパーによって私が死ぬか、私によってダックドロッパーが死ぬか。ダックドロッパーのデッキを組む事、其れ即ちダックドロッパーとの戦い也。


デッキレシピ

今日もレシピなのか〜

本題を話し終えたので、あとは流し読みでけっこうです。「やりたいこと」ってそういう意味だったのか。

嘘です。ここからが本題です。いや、ここからも本題です。

前回ダックドロッパーを出力するために採用していたLLを、今回は不採用にしました。LLのゲーム展開速度にダックドロッパーの遅さが合わず、互いの効果を活かしきれなかったためです。

そのため今回はダックドロッパーの出力を《デュアル・アブレーション》に一任しています。

最初からこうすればよかったんだ

しかしそうなると新たに2つの課題が生じます。
①《デュアル・アブレーション》に触る方法
②《LL—アセンブリー・ナイチンゲール》に代わる相手ライフの詰め方

この2点を解決すべく今回着目したのが「VS」と「稲荷」です。


まず「VS」について。
詳細な効果やテーマ性は割愛しますが、かいつまんで言うと「手札の闇・地・炎属性を1〜3種類見せることで効果を発動する」モンスター群を有するテーマです。中でも特に目を引く効果を持つのが《VS ヘヴィ・ボーガー》。

格ゲーには疎いのでよくわからないが、こいつは投げキャラなので叩かれて然るべきらしい

②の効果で、お互いのターンにフリチェで1ドローか1500バーンを選んで使うことができます。エンジンとダメージソースを一手に担う強力なモンスターであり、デッキの求めるところにがっちり合致(ここで抱腹絶倒)したため、VSを軸に構築しようと決めました。

また「VS」の中ではこのカードにも注目。

とても叫びたいカード名

発動条件はやや限定的ながら、決まれば無効+破壊に加えてバーンが付いてくるカウンター罠。素のプルトンを除けば攻撃力は最低でもマッドラヴの1200と無視できない値で、龍帝ヴァリウスがいれば3000ものダメージが入ります。
ダックドロッパーでは守れない相手の効果による除去をカバーしつつ、ライフも取れて一石二鳥です。鴨だけに。もっともこのデッキにおいて鳥は狩られる側ではなく狩る側ですが。


続いて「稲荷」は、レシピを見てお分かりの方もいるでしょうが「機巧狐—宇迦之御魂稲荷」です。

みんな嫌いなカードなので、私は好んで使います

ダックドロッパーが守っておいしいモンスターであり、場に居座ることで相手ライフをじわじわと削り続けることができます。

リクルート効果は地・闇・炎(・水)属性と広めに対応しており、展開補助もできてお得。
自己特殊召喚の条件である「デッキからの特殊召喚」は、相手の展開は元より、こちらからも《Stake Your Soul !》や《デュアル・アブレーション》、後述する《天球の聖刻印》で積極的に満たせます。
VSの効果において不足しがちな地属性を賄えるのも評価が高い点です。

現代遊戯王でどうしても不利を被りがちな後攻に強くなるのも大きな利点の1つです。特にカジュアルデッキ御用達のスクラップ初動や斬機初動などに叩きつけると、ライフアドを取りながら展開と相手ターンの暇潰しができて一石三鳥。相手が嫌がる顔をしたり、文句をつけてきたりすると四鳥五鳥と増えていきます。爆○ドォ!


たまたま稲荷とボーガーが共にレベル7なので、展開後にランク7で戦うべく、VSの属性を加味してブラスターや黒炎竜を採用。そうしたドラゴン族に繋がるカードとして、稲荷とシナジーを持ちダックドロッパーで守っても強い《天球の聖刻印》を出したいため、《黒鋼竜》をはじめとした出張パーツも取り入れました。
VSだけでは少々心許ないドロー力を補う《一点着地》が、VSや稲荷だけでなくレダメやマグナムートなどと好相性なのもドラゴン族が噛み合っている点。

黒鋼→ストライカー→レダメ→天球、のドラリン御用達展開

そんなこんなでレベル7を揃えたら、カッコいいランク7ドラゴン達がさらなるバーンの加速や削れた相手を仕留めるフィニッシャーを担います。

ランク7ってなんかいいですよね 素数だからかな



デッキの裏コンセプト

そしてこのデッキを組む上でもう1つ意識したことが、「未確定情報」の面白さです。あなたは先ほどこのデッキのレシピを見た。いえ、見てしまいましたね。


見ましたよね?


忘れてしまった方のために、改めて採用カードのうち何枚かをピックアップしてお伝えしましょう。え〜、《妖竜マハーマ》《波紋のバリア—ウェーブ・フォース—》《ディメンション・ウォール》etc……

決まった時ドヤ顔するカード三銃士を連れてきたよ

どれも迂闊に直接攻撃を仕掛けた相手に痛烈なカウンターを食らわせるカードです。決して採用枚数は多くないものの、それがあるかもしれないという情報は相手の思考を鈍らせることでしょう。

まさにそれです。私はこのデッキと相対する方に、「未確定情報」を味わっていただきたい。
私の手札がたった1枚でも、伏せカードがたった1枚あるだけでも、強く警戒せざるを得ない。私への直接攻撃を強制させるダックドロッパーが、勝利への近道ではなく敗北への誘いに見える。VSの効果で公開される手札が、逆にそれ以外の見えない手札へ意識を向けさせる。そういう感覚を覚えさせたい。

このデッキを回す上での目標は、ダックドロッパーがいるのに殴らない選択をする相手を見てニヤニヤすることです。悔しかったら殴ってみやがれ。
※言うまでもないですが、私を物理的に殴るのはやめてください。法のバリアで留置場へ飛ばします。

私が何を手札に抱えているか、何を伏せているかが読みづらい方が楽しいので、このデッキは通常罠や防御用の手札誘発モンスターの種類をあえて絞らずに1枚ずつ採用しています。
しかしすべてが攻撃へのカウンターでは逆につまらないし、一度使ったカードはもう無いとわかるのも癪なので、《死魂融合》や《トランザクション・ロールバック》などバトル前に割られそうになっても/割られても問題なく役割が果たせるカードも採用。暇な時にアブレーションで出す《灼熱王パイロン》が《起爆獣ヴァルカノン》の融合素材になったりします。

楽しい罠カードを詰め込めるのがこのデッキの良さ

色々なカードを入れることで、私はドローする度に楽しく、相手は私の見えない札が読みづらい。たまに罠カードを入れ替えたりしてもよく、今後の新規カードで構築の幅が広がりやすい。決闘を繰り返してもお互いに飽きず、末長く付き合っていけるデッキになっています。


最後にデッキ名について。「hitting duck」は「sitting duck」というスラングの捩りです。日本語にもある、標的にちょうどいい人物という意味の「いいカモ」という表現ですね。
しかしこのデッキはダックドロッパーで一見無防備に見せかけて、隙あらばカウンターを仕掛けていく(かもしれない)、つまりは「殴るカモ」なので、VSの格ゲーっぽさも織り混ぜてこのように名付けました。
まぁダックドロッパー自身は最初から最後まで一切殴らないし、なんなら試合によっては出ないし、そもそもhitting duckって「カモを殴ること」な気もするけど、細かいところは気にしない方がいいカモ。


おわりに

私がダックドロッパーと初めて出会ったのは、デュエルリンクスでのことでした。

カジュアル系・コンボ系のデュエル動画を観ながらもまだOCGに手を出せずにいた頃、無料なのでとりあえずプレイしていたリンクスで見かけたダックドロッパーに、私は心底驚きました。こんな効果どう使うんだ、意味不明すぎる。

しかし同時に感動をも覚えました。遊戯王というカードゲームはこんなカードですら勝利の鍵になることができるんだ、しかもそのデッキを私が作れるんだ、と。

程なくして作った、初めてのダックドロッパーデッキがこれです。

最近見返したら意外と洗練されていてウケた

ダックドロッパーを《スピリットバリア》と合わせることで戦闘ダメージを0にし、こちらは《ドリル・バーニカル》で直接攻撃し続けて勝つ、というデッキです。とんでもなくアホらしい発想ながら、そのアホらしい発想に真っ直ぐで、今見ても我ながら良いデッキだと思います。
バーニカルだけでライフを削ろうと思うと300+1300+2300=3900で100足りない!!というお茶目さがたまらない。


そんなわけで、私のダックドロッパーとの付き合いはOCG歴よりも数ヶ月だけ長いのです。このカードが無かったらOCGをやっていなかった……というほどではないのですが、思い入れのあるカードには違いありません。

今回記事を書くにあたって、このリンクスのデッキと前回のダックドロッパーデッキを見直し、構築は上手くなってるよなあ、とひとり得意気になりながら、でも昔の愚直さは忘れかけているのかも、とも感じました。ダックドロッパーでデッキを組むたびに過去を振り返り、今を再確認する。これから先もそれを繰り返して、私は遊戯王をますます好きになっていくんだと思います。

ついでにダックドロッパーのデッキは組む度に強くなっているので、次にこいつでデッキを組む時はそれでCSに出ていると思います。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

質問やアドバイスがございましたら、コメントやTwitter(@sh_rainbow4810)の固定ツイートにある質問箱などへお気軽にお声掛けください。

最終更新:2023/7/24