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地球沸騰化を止めろ:メタン削減に向けた最先端モニタリング技術

毎年そうなのですが、11月ぐらいから毎週どこかで何かをお話しさせていただいていますが、今回はこのタイトル「大気中のメタンをモニタリングせよ!」です。先週、地球環境戦略機関(IGES)主催のオンライン会合、全球レベル及び国レベルのメタン排出量観測のための衛星データの活用でモデレーターをさせていただきました。僕的には新たなテーマでのモデレーターでしたが、地味な廃棄物管理分野において、いきなりデジタル化の最先端の高度技術活用の場を学ばせていただく機会となりました。でも世界では待ったなしの気候変動、二酸化炭素に加えメタンの発生も抑え込む必要があり、早急に世界規模のモニタリングの手法を確立する必要があり、それにより適材適所のメタン発生対策を打たなければならない、と緊急事態とも言える状態です。地球沸騰化を止めるためにも、最先端の科学技術を用いたモニタリング、その応用が必要です。モデレートをしながら非常に学ばせていただくセッションとなりましたので、自分の備忘録も兼ねて、以下セッションのサマリーです。

「全球レベル及び国レベルのメタン排出量観測のための衛星データの活用」

現在、温室効果ガスの排出を観測するための多様な衛星が多く存在しています。その中で、GOSATは二酸化炭素とメタンを観測する衛星として最も早く打ち上げられたものです。GOSATは2009年以降の全球レベルのメタン濃度の観測データを提供することができ、これはグローバル・メタン・プレッジ(GMP)の達成目標である「2030年の全球レベルのメタン排出量を2020年比で30%削減する」についての検証が可能となったということです。

本セッションでは、GMPの概要とともに、GOSATなど既往の衛星から得られるデータを活用して算出された全球および国レベルのメタン濃度の主要な特徴と見解について学びます。パネルディスカッションでは、世界および国レベルにおけるメタン排出削減に重要となるモニタリングと科学を基にした政策立案に対し、衛星データをどのように活用できるかについて議論を行いました。

  1. GMP目標の実現可能性:

    • 各国が提出した国別決定貢献(NDC)の目標値積上げによるメタン排出削減の実現可能性についてのディスカッションは、政策的な側面から具体的な事例をもとに展開されました。特定の国がどのようにNDCを達成し、その成功体験から他国が学ぶべき点が政策的に詳細に論じられました。

  2. GOSATシリーズの役割と展望:

    • 衛星技術に基づくGOSATシリーズの役割と将来の展望が、気候変動政策と技術の観点から具体的に議論されました。特に、GOSAT情報が気候政策にどのように組み込まれ、未来の政策展望にどのような影響を与えるかについての詳細な洞察が提供されました。

  3. 国別メタン排出量の推計:

    • 衛星データを活用した国別メタン排出量の推計方法が技術的に詳細に解説され、同時にこれらの技術が国別推計においてどのように政策的な意思決定を支援するかが議論されました。

  4. GOSATデータの検証と信頼性:

    • GOSATデータの検証と信頼性が政策目標の達成にどれほど寄与するかが具体的に分析されました。この検証が政策立案にどのように組み込まれ、信頼性が持続可能なメタン削減に与える影響が明確になりました。

  5. 衛星データの活用における課題と可能性:

    • 衛星データの活用における技術的な課題だけでなく、これらが将来の政策形成にどのように結びつくかに焦点を当てたディスカッションが行われました。技術的挑戦を政策上の機会に変えるための提案も含まれています。

2030年メタン排出削減目標30%、2050年主要国カーボンニュートラル達成、今世紀末気温上昇1.5℃未満に抑えるためのアクションについて

1. メタン排出削減:
2030年までにメタン排出を30%削減するためには、先進的な技術の導入が必要です。特に、農業セクターにおける畜産の管理や堆肥の最適利用に焦点を当て、メタン発生源を特定し、効果的な制御を実現するための戦略を策定する必要があります。同時に、廃棄物管理セクターにおいては、メタン回収技術の最適化と普及を進め、排ガスからのメタンの再利用を奨励することが効果的です。

2. カーボンニュートラル達成:
2050年までに主要国がカーボンニュートラルを達成するには、エネルギー転換のスピードとスケールが重要です。再生可能エネルギーの普及だけでなく、エネルギーインフラの効率的な更新や電動車の導入促進が必要です。さらに、持続可能な建築や炭素吸収技術の開発など、複合的なアプローチが求められます。これには政府の積極的な政策立案と企業の責任ある行動が欠かせません。

3. 気温上昇1.5℃未満の達成:
1.5℃未満の気温上昇を達成するためには、新たな森林の植樹と既存の森林の保全が不可欠です。また、持続可能な農業実践の促進が重要であり、化学物質の適切な管理や土地利用の最適化が必要です。これによって、二酸化炭素の吸収と農業における排出の削減が両立します。

4. 世界的な協力:
世界的な協力は技術と資金の共有だけでなく、気候変動に関する科学的知見の共有も含みます。特に途上国において、持続可能な開発のための支援が必要です。技術の移転や金融メカニズムの構築においては、先進国と途上国の連携が重要です。これにより、地球全体での均衡が取れ、誰もが恩恵を受けることが可能になります。

以上のアクションが総合的かつ同時に進行することで、2030年のメタン排出削減目標、2050年の主要国のカーボンニュートラル達成、そして気温上昇1.5℃未満への挑戦がより効果的に達成されるでしょう。ただし、迅速な対策と協力の強化が求められます。

メタン削減の観点からの廃棄物セクターの重要性:
廃棄物セクターは、世界のメタン排出の約30%を占め、その削減は気候変動対策において極めて重要です。以下に、廃棄物セクターにおける具体的な取り組みと重要性に焦点を当てます。

  1. メタン回収技術の最適化: 廃棄物処理施設におけるメタン回収技術を最適化し、メタンの逸失を最小限に抑えることが必要です。新たな技術の導入や既存技術の改善により、排ガスからのメタン排出を有効に減少させることが期待されます。

  2. エネルギー回収の促進: 廃棄物からのメタン回収はだけでなく、これをエネルギーに転換することも考慮すべきです。メタンのエネルギー利用は、廃棄物セクターが二重の利益を享受できる手段であり、環境に対する貢献が一層高まります。

  3. 持続可能な廃棄物管理の促進: 従来の廃棄物管理プラクティスから持続可能で効果的な方法への転換が必要です。リサイクルの促進、廃棄物の最終処分地の改善、および廃棄物発生の削減など、包括的なアプローチが求められます。

  4. 国際協力の強化: 廃棄物セクターにおけるメタン削減においては、国際的な協力が重要です。技術の共有やベストプラクティスの普及を通じて、途上国と先進国が共に取り組むことで、持続可能な廃棄物管理が進展します。

  5. 政府と産業の協力: 政府と産業の協力が欠かせません。規制の策定と実施、インセンティブの提供、新技術への支援などが、メタン削減のための環境を整備します。

これらのアクションが実現されることで、廃棄物セクターはメタン排出の削減に大きく貢献し、同時に持続可能な資源管理の推進に寄与します。

全体のまとめ:
今回のセッションを通じて明らかになった重要なメッセージは、まず、地球規模でのメタン削減の必要性とその達成において衛星データの決定的な役割です。GOSATを含む既存の衛星からのデータは、2030年のメタン排出削減目標の検証において不可欠であり、これによって国別の貢献度や成果を客観的に評価できます。

次に、国別のメタン排出量の推計やGOSATデータの信頼性検証といった具体的な技術的課題の解決が、メタン削減戦略の立案に向けて重要な前進です。これにより、国際協力を促進し、異なる国が同じ基準でデータを共有することが可能となります。

そして、2030年のメタン排出削減目標30%、2050年の主要国カーボンニュートラル達成、そして気温上昇1.5℃未満の達成に向けた包括的なアクションプランの構築が喫緊の課題です。これらの目標を達成するためには、特にメタン発生源の特定と制御策の実施、再生可能エネルギーの推進、そして国際的な協力の一層の強化が必要です。

最後に、廃棄物セクターが占めるメタン排出の30%にと言う事に着目し、メタン回収技術の最適化、エネルギー回収の促進、持続可能な廃棄物管理の推進など、このセクターにおける具体的な取り組みが不可欠であることを強調します。政府と産業の協力も欠かせず、これらのアクションが結びつくことで、廃棄物セクターはメタン排出の削減と同時に持続可能な資源管理への大きな寄与を果たします。

地球温暖化への対策としてのメタン削減の重要性と、そのためには科学的なモニタリングと国際的な連携が不可欠です。


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