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未来について考えてみよう:世界のSDGsニュース5選、8月

8月に入り酷暑に日々です。昨年にましてものすごく暑い夏を感じますね。フェーン現象などの気象条件が重なってここまで暑くなっていますが、そもそもの平均気温も高くなっていていることが、日々痛感するぐらいの暑さです。

今月もSDGsに関するニュースがたくさん世の中にでてきました。日々チェックしていると、見つけられるだけで1日20~30本程度。実際はたぶんその10倍ぐらいの情報が毎日出ているかもしれませんね。今月はまだもう一週間ありますが、気になったニュースをピックアップし、僕個人の意見も含めて記事の概要をまとめてみました。色々なニュースを読んでいると、「○○と新型コロナウイルス」、「新型コロナウイルスの影響を受けて○○は」、のように「新型コロナウイルス」が冠しのように使われていることが多いです。逆に新型コロナウイルスに触れられていない記事を見る方が少ないぐらいです。では、僕が気になった8月のSDGsに関する記事5選です。

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SDG7における民間企業の役割は重要

SDGs時代が始まる2015年以前の開発途上国支援や開発事業は、政府系支援が主流でした。その結果は?ここでは明言しませんが、皆さんのご想像の通りです。着実には進んできていますが、まだやることはたくさんあります。ではSDGs時代の開発支援はどのようなものでしょうか?政府系支援も重要ですが、私たちの社会にモノやサービスを提供している民間企業の役割は重要です。政府やNGOだけではSDGsを到達することはできません。民間企業が本業のビジネスを通して社会的課題を解決するSDGs型ビジネス、社会的共有価値の創造が求められています。

SDG 7、エネルギーをみんなにそしてクリーンに、においては特に民間企業の役割が重要です。まず必要なのは、電気にアクセスできない多くの人に電気を届けること、そしてその電気をクリーンな方法で発電することが必要です。これを達成するためにはインフラ整備とインフラ整備への投資が必要となります。そのためには民間企業からの投資によるインフラ整備とSDGsを結び付けなければなりません。特に、サハラ砂漠以南のエネルギー状況は深刻です。この地域のみんなにクリーンなエネルギーを届けるには、2030年までに約152.5兆アフリカランド(約9兆ドル)が必要とされています。

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莫大な資金と計画が必要とされているため、果たして現実にクリーンなエネルギー開発が行えるか多くの疑問が呈されています。でも、長期的な戦略を考えた場合はどうでしょうか?少なくとも日本や欧州では、2050年までに可能な限りのクリーンなエネルギーを使う事、もう一歩先の脱炭素化社会の構築が目指されています。それに向けた脱石油・石炭エネルギー、クリーンエネルギー導入の政策が打ち出されています。このような先進国では旧エネルギー産業時代の石油・石炭エネルギー関連インフラが近い将来座礁資産となりますが、サハラ砂漠以南では最初からクリーンエネルギーの導入、地理的な特徴を活用したスマートグリッド等の導入が可能です。ここに新たなチャンスがあるのは間違いありません。

新型コロナウイルスの影響は、SDGs到達することはできない、と言う理由になりません

ここ数か月間、ニュースのトップ記事はコロナ、毎日コロナ感染者数の増加が気になる、SNSを見てもコロナ、どのニュースを見てもコロナ、世界的大流行から身を守らないといけないため、コロナ関連の最新情報は把握しておかなければならない。でも、心身ともにコロナ疲れな私たちです。

2015年に採択した、私たち希望の目標SDGsも最近影を潜めていると思いませんか?コロナで世界経済の不穏なニュース、ありとあらゆるところにコロナの影響が出ています。例えば、経済への影響、医療体制の逼迫、教育の遅れ、不安定な収入、衛生面の心配など。これらの全てはSDGsの目標とターゲットに直接つながっています。2030年のある日に、「SDGsが達成できなかった理由は、2020年から世界的大流行した新型コロナウイルスのせい」、と言わないようにしないといけません。なぜなら、新型コロナウイルスの発生や世界的な流行は、地球環境を守るための当たり前のアクションをしていなかったからです。新型コロナウイルスは、私たちに対して、「ちゃんと当たり前のアクションを取るように」、というメッセージを発している、と考えたらどうでしょうか?

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例えばSDG3すべてのひとに健康と福祉を、に関しての新型コロナウイルスからのメッセージは、「当たり前の事だが地球環境を守らないから、自分たち人間の健康が阻害されている。その原因は、僕たちウイルスであったり、人間が引き起こした環境汚染であったり。地球環境を守るアクションを取れば、自分たちの健康を害することはない」。

SDG4 質の高い教育をみんなに、に関しての新型コロナウイルスからのメッセージは、「僕たち新型コロナウイルスせいで約12.5億人の生徒や学生さんが、学校封鎖の影響や、親や自分の収入減が断たれたので学校にいけない、などの理由で勉強ができなくなった。単純に知識を覚えるのも重要だけど、サステナブルな知識と感覚を学んで、それを社会的課題解決につなげるための教育が重要」。

SDG8 働きがいも経済成長、に関する新型コロナウイルスからのメッセージは、「僕たち新型コロナウイルスのせいで約2.5億人が職を失った。今までのその職は地球にやさしい職業でしたか?経済的な利益を求めるだけの職ではなかったでしょうか?資本主義社会では、日々のお金を稼ぐことが重要ですが、これからは地球環境を良くするためのサステナブルな要素も仕事に入れないといけない。そのためにはサステナブルな社会と経済成長、そして地球を守ることが合わさった人間社会が必要ではないでしょうか?」。

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皆さん、気がつきましたか?そうです、人として当たり前にすることが今までできていないのです。気候変動や環境汚染は、人の手自ら引き起こしたものです。地球上の人間以外の生物は、環境汚染を全く引き起こしません。なぜなら、人間以外の生物は地球の自然と一体化しているからです。SDGsに向けてその心を刻み、地球を守るアクションを取りましょう。

SDGsを成し遂げるためには、自然と一体化した解決方法での取組が必要です

今年はコロナの影響を受けて、持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF 2020)もオンライン開催となりました。今年の論点の一つは、ずばり、「新型コロナウイルスにどう対応し、それを”機会”として活用できるか?」です。「新型コロナウイルスを”機会”と考える?」は不謹慎ではないか、これだけ世界的大流行をして経済も厳しい状態であるのに、と言う声はもちろん認識します。でも、私たちは人間です。この苦い経験と正直に正面から向き合って、みんなで解決を目指しながらも、この経験を次に活かさなければなりません。この苦い経験で深く考えるべきことは、自然を守らなければならないことです。私たち人間が求める社会ではなく、自然が求めている環境に戻さなければなりません。

SDG17のゴールの中で、特に自然と直結しているゴールはどれでしょうか?それは、SDG14 海の豊かさを守ろうとSDG15 陸の豊かさも守ろうです。ここで現実を見なくてはなりません。生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)の報告によると、今世紀中頃までに、哺乳類の約83%が絶滅または絶滅に近づきます。言い換えると生物多様性が完全に失われます、たった1種類の生物のせいで。新型コロナウイルスのメッセージの一つはこれでしょう。

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地球を守るためには莫大なコストが必要であるという経済学者や資本主義者がいるのは確かです。でも本当に必要なコストをかけないがために、後々、その何百倍のコストが私たちに跳ね返ってくことは事実です。生物多様性を守るためのコストは、実はそんなにかからないと言われています。例えば化石燃料で使用している3%コストを生物多様性を守るために回すことで、地球から多くの生物が絶滅することが防げるのです。

そのコストを活用して何をするべきでしょうか?それは、私たちが作り上げたありとあらゆる人工社会を、可能な限り自然と一体化させることです。もちろんこれは分かりきったことですが、新型コロナウイルスの大流行を踏まえて、我々は改めて深く認識する必要があります。人間だけが利益を得るその開発は、それでいいのでしょうか?

アフリカにおける新型コロナウイルスの影響

日本や欧米に比べて、アフリカには少々遅れて新型コロナウイルスがやってきました。最初のころは、感染率、重症感染率、死亡率も低かったので楽観的に捉えていた人が多かったですが、それは一瞬で悪夢となりました。新型コロナウイルスはアフリカ全土に深刻な影響をもたらしています。SDGsが採択されて以降、アフリカにも更なる開発援助・支援が届いていました。1年ほど前には多くの希望がありました、なぜならその開発援助・支援が一般市民にも届き始め、SDGsに達成に向けた一歩目の結果が見えてきました。

でも今はその楽観的な思いはどこかに行ってしまいました。アフリカでも新型コロナウイルス感染者が増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染拡大を抑え込める医療体制を持つ国はアフリカ54か国中の半数にも満たず、医療を受けられない人が多くいることから、状況が日に日に悪化しています。

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この状況は経済にも深刻な影響をもたらしています。SDGs達成はかなり悲観的となってしまいました。この経済の落ち込みがいつ回復するかについて経済学・開発学的な観点から分析してみると、楽観的シナリオにおいては2024年になってようやく2019年の経済レベルまで戻る可能性はあるが、2030年になってようやく2019年の経済レベルに戻るというのが現実と考える。そうなると、アフリカ地域におけるSDGs達成は非常に難しくなる。

この状況を打破するために、①債務救済、②保健・健康制度の強化、③安全・衛生的なインフラ、特に水資源の確保、④経済改革を柱として、コロナ禍における開発を進めていかなければならない。

IoTの活用でSDGsに挑戦!

スマホがない生活は考えられませんよね。朝起きてすぐスマホでSNS新着情報やメールをチェック。ニュースはもちろんスマホで確認。信号待ちのほんの数十秒の時間でもスマホをチェック。スマホ中毒と言うかもしれませんが、これが私たちの日常ですね。

SDGsを達成するために最先端技術を活用することが重要です。言い換えると、最先端技術を使うからこそ、サステナブルな生活や社会、資源効率化、省エネ化が可能となります。その中でも、Internet of Things(IoT:モノのインターネット)は、私たちの社会を変えています。なぜ?考えてみてください、なぜスマホが便利なのですか?デバイスとネットが繋がってありとあらゆる相互の情報交換が可能だからです。だとすると、私たちが使っている全てのデバイスがスマホのようにインターネットを通じて相互につながったら、もう答えは一つしかありませんよね。世の中がスマホのように便利になる世界。

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IoTはSDGsと直結することができます。例えばSDG1の飢餓ゼロ。世界中から飢餓をなくし、食料の安全性を確保するこの目的。でも現状はどうでしょうか?新型コロナウィルスの影響を受け、貧しい人はより食糧確保が困難になっていることも報告されています。SDGsの2030年まで必要な高品質の食料を大量に生産するために、持続可能な農業が求められています。これを実現するのが未来の農業、スマートファーミングです。スマートファーミングは、気象情報や土壌などの環境情報をセンサーで入手し、オンタイムで農作業を管理しつつ、農家がどのタイミングでどの作業をどれだけるれば良いかと言う情報を提供します。これにより、より効率化された農作業が可能となり、また、水資源使用の効率化にもつながるため、今後の人口増加に伴う穀物類の需要増加にも対応可能となる。

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もう一つはSDG2のきれいな水と衛生です。日本では、当たり前のように蛇口をひねれば安全な水が欲しいだけ出てきます。健康に気にしている人は、ペットボトル入りの天然水や炭酸水を購入していますよね。でも、日本人は恵まれているのです。今現在、地球上には約7.8億人、9人に1人は安全な水にアクセスすることすらできません。さらに、約30億人が各家庭で十分手を洗う事ができません。これは新型コロナウイルス感染拡大にもつながります。アフリカ地域では特に水不足やきれいな水へのアクセス状況が深刻です。過去の国際支援を受けて多くの井戸水汲み上げ・ろ過システムが導入されましたが、その約65%が最初の2年で故障してしまいます。でもその故障情報はどこにも届きません。もしこのシステムとインターネットが繋がっていれば、常時監視でき、必要に応じてメンテナンスや修理を迅速に行うことができます。また、先進国も含めて、水道管システムの水漏れの管理も重要です。水道管システムにセンサーを組み込み、さらにそれをIoTで監視することで、貴重な水資源を適切に使う事ができるでしょう。

https://www.iotforall.com/three-ways-connected-devices-help-un-sustainable-goals/

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