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第5回:「2021イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」

こんにちは、はじめまして。
淑徳大学 人文学部 表現学科 杉原ゼミの加藤です。

今回紹介するのは「板橋区立美術館」です。
7月17日(土)~8月15日(日)に「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」が開催されています。
この原画展は、イタリアのボローニャで毎年開催されている絵本原画コンクールの入選作品による展覧会で、世界中の新人イラストレーターたちの登竜門としても知られています。(ボローニャ展の詳細)https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000589/index.html

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展示室内は撮影禁止となっています。
今回は特別な許可をいただいて撮影しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中から原画を募り、審査員たちがボローニャに集まって審査をするという例年通りのボローニャ展の開催が困難になり、2021年は初めてのオンラインでの募集・審査に踏み切ったそうです。世界68ヵ国3235もの作家から送られてきたデジタルデータの作品をイタリア、ドイツ、イギリス、日本、アメリカの5人の審査員がオンライン上で審査をし、226作品が選ばれ、その中から23ヵ国76作品が入選しました。日本の審査員は板橋区立美術館の館長である松岡 希代子さん
ブックフェアのサイトでは、入選作品とファイナリストの作品をみることができます。ブックフェアの現地開催が中止となったため、今年入選した作品の原画は、世界で始めてこの板橋区立美術館で展示されることになります。

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イタリア・ボローニャ国際絵本原画展。

初日の17日に行ってきました。

実は私は「原画展」を見学するのも初めてで、その魅力を理解できていないまま板橋区立美術館に赴きました。                  ゼミ活動でリーダーを務めているため、「絵本のまち板橋」の中核である原画展を知っておく必要があるという意識が中心で、正直なところ「楽しもう」という感覚はありませんでした。                         私自身「描く」という行為に対して、用いられている道具や技法は鉛筆、ペン、水彩、油彩で描かれているものだと思っていました。しかし、作品には

コラージュ デジタルメディア アクリル 木炭 混合技法 グアッシュ
グラファイト ジオラマ オイルパステル スプレー リノリウム版画 クレヨン 粘土 布 刺繍

などといった様々な道具や技法が用いられていました。同じ技法を用いていても作品の色味は全然違い、芸術という自由さを感じることができました。そして気づけば、いつの間にか楽しんでいました。

「何」に惹かれたのか

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ロトンド(イタリア)作

楽しむことができたのには「何」か惹かれるものがあるはず。惹かれるものは個人で違いがあるとは思いますが、私が何に惹かれたのか。それは「ストーリー」と「原画」にあります。
このイタリア・ボローニャ国際絵本原画展では1作品あたり5枚の原画が展示されます。1枚1枚のストーリーがあるものや、5枚通してのストーリーがあるものがあります。1枚の中にあるテーマについて考えてみたり、5枚を通してみたときに見えてくる面白さや遊び心には楽しまずにはいられませんでした。「そういう展開があるのか」「5枚の共通点を見つけた」と全作品に違うリアクションをしていました。
なんといってもやはり1番興奮したのは「原画」ということ。写真や画像では伝わりきらない生の素材、質感を感じられたことは本当に贅沢なことであると感じました。私は、絵は平面であるものと感じていたのですが、絵は立体的なものもあるという新しい価値観を知ることができました。

ホリベ クミコ さんに取材させていただきました

展示会初日ということもあり、複数名入選者の方々の来場があったそうです。入選者のホリベ クミコ さんに急遽取材をお願いしたところ、閉館間際にもかかわらず快諾していただきました。

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こちらがホリベ クミコさんと作品の「ねこちゃんの すきなこと」です。

ーー絵はもともと描かれていたのですか?

ホリベさん「もともとデザインが好きで、自分の好きなものの延長線で絵をかいていました。生活の中で面白い柄などを見ると立ち止まってみたりします。」

ーーねこちゃんなのには何か理由があるのですか?

ホリベさん「ねこちゃんが好きで、もともと飼っていたのだけれど亡くなってしまって、楽しかったことを思い出して、尊いことだと感じて回想を交えつつ描きました。」

ーーなぜ応募することにしたのですか?

ホリベさん「毎年ボローニャ展に来ていて、いつか出してみたいと思っていたところ、オンラインの応募となり、『自分にも5枚出せるものがあるから出してみよう』とオンラインなので気負いもせずに応募することができました。」

ーー入選したときはどのようなお気持ちでしたか?

ホリベさん「落ちているものだと思っていたのでびっくりしました。原画展に入選した知り合い(波田さん)におめでとうと伝えようとしたらまさかの『あなたもよ』と言われて慌てて調べたら自分の名前があって思わず息を呑みました。」

ーーありがとうございました。

ホリベさん「ありがとうございました。」

見学後は1階のミニショップへ

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板橋区立美術館1階のアトリエスペースには展示会に連動したミニショップが営業され、たくさんの絵本が出迎えてくれました。展示されていた原画の絵本だけでなく、日本や海外で人気の絵本が多く並んでいて、来場者がお気に入りの絵本を選んでいる姿が見えました。ゼミの杉原先生も7冊購入されたそうです。黄色い表紙が印象的な「ILLUST RATORS ANNUAL 2021」(画像中央・左下)にはボローニャ展の入選作品が掲載されています。このほか関連グッズなども販売していて、観覧後にも楽しめるスペースになっていました。

今回の原画展は世界でもいち早く展示されているのでこれを機に足を運んでみてはいかがでしょうか。

板橋区立美術館

〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-34-27
電話:03-3979-3251 ファクス:03-3979-3252

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※展示室内は撮影禁止となっています。特別な許可をいただいて撮影しています。



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