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記憶

記憶の片隅。
朧げに浮かぶその顔、表情。
しかし思い出せない名前。
同じ時間を過ごしたはずで、時に楽しく、時に真面目な話をして。
俯瞰的にみれば、そこそこ接点もあったはずで。"友人"という位置づけにもきっといたはずで。
なのにどうして、思い出せないのだろう。

人の脳は無意識に、五感で得た情報を取捨選択しているといわれている。
数千、数万日と過ごす人生の中で得た情報は無意識のうちに脳によって整理され、記憶されたものは適切なタイミングや場所などによって思い出される。
これを記憶想起といい、ふと思い出す事柄は"記憶の引き出しから引っ張り出した"などというかもしれない。

かつては大事だと思っていた物、人、景色。
それは人によって十人十色で。
しかしその記憶は自分にとって必要のないものと割り切ってしまえば、やがては脳から消えてゆく。
いわば風化であり、そういった記憶はなにかのタイミングで思い出そうとしても、磨りガラスがあるかのようにぼやけて、その先には進めない。

捨てた記憶。
知らぬ間に風化した記憶。
思い出したい、あの日、あの時の記憶。

あなたにはあるだろうか。

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