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煙草

新しくもなく、かといって住み心地に不満がある訳でもないアパートの一室。
そこに住む青年、コウスケはいつもの目覚ましの音で目を覚ます。
コーヒーミルで豆を挽き、機械のスイッチを入れる。
挽いた豆の粉を入れると自動でコーヒーを淹れてくれるマシンだ。
その間にコウスケは洗面所へ向かう。いつも通り、顔を洗い、髭を剃る。
もっとも、朝は頭が働きにくくまた面倒だが、慣れきった朝のルーチンというやつなので身体もまた勝手に動くのだ。
一通り済ませ、マシンからコーヒーを取り出す。
酸味のある香り、また深く澄んだ黒色。砂糖は入れないのがこだわり。
コウスケはコーヒーと煙草を持ってバルコニーへ向かった。
一口飲み、煙草を箱から取り出し咥え、マッチで火をつける。これもまた彼のこだわりである。
コウスケは朝の澄んだ空気の中、苦味と酸味のあるコーヒーを飲み煙草を深く吸い味わうことで、思考をリセットするのだ。
そしてこの時間は彼にとって何物にも代え難く、そして幸福といえるのだった。

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