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ボカコレはあれでいい。いや、あれがいい。

2020年12月から始まり、6回を数える「ボカコレ」(The VOCALOID Collection)。
3回目となる2021秋から、僕の担当番組はメディアパートナーとして関わらせていただいています。

またメディアパートナーという役割とはまったく無関係に、自分たちで新曲投稿という課題にも挑んでいます。
その制作過程を伝えることで「もうじきボカコレだべえ」と滝口順平さんの声がリスナーの脳に鳴り響く先進的な告知システムでもあります。

ぼっちクリエイター万歳

僕自身、アナログシンセとラジカセ2台の多重録音から始まり、オールインワンシンセ、DTMと、ぼっちの曲作りを40年続けており、ニコニコにも自作曲をアップしてきました。

仕事に飽きてくると曲作りの要素をぶっ込んでいたわけですが、2012年には正面切ってDTM/ゲーム音楽専門番組を立ち上げています。

そして2021年からはこれまた正面切って初音ミクコラボを展開してきているわけです。

こうしてボカコレに積極的に関わっているのは「ボカロがいまキテるから」という山師的な思惑ではなく、純粋にぼっちで曲を作る人たちと繋がりたいからです。

曲を作るトリガー

新曲投稿にはもうひとつ大きな理由があります。

サラリーマンである僕らは「いま忙しいから」と曲作りを怠けがちで、やがて何もしなくなります。
僕にも制作へ異動して2年ほど、まるっきり曲作りをしなくなった時期がありました。

でも半年に一回ボカコレがあるおかげで、公共の電波で「今回も曲を投稿します!」と宣言して自分たちを追い込めるわけです。

もちろん絶賛激務中という時期もあり、今回(2023春)についても、清水が毎週サンボル参戦で曲作りどころじゃないこともわかっていました。
如何なる事情でも曲をアップするために、その時できるベストエフォートを見つけていくわけです。

世界よ、これがオレたちのベストエフォートだ。

あり方の議論

その一方で、片手間の僕らとは違って、全ての時間を曲作りに捧げ、全身全霊でボカコレに臨むクリエイターたちもいます。
楽曲の中身や演奏技術などで評価されたいと望んでいる方々です。

ボカコレは基本的にはランキングを争うイベントです。
1位にはいろんな副賞も与えられます。

しかしランキングはプロや専門家による評価ではなく、それを観るビューアーたちの嗜好で決まります。
真にその作品の素晴らしさが評価されるかどうかは、まったく別次元の話になります。

人気、話題という要素も加味されるわけで、SNS等で楽曲アップが伝わりやすい有名ボカロPがある程度優位です。

また楽曲の中身については、アイディア勝負で人気を得るネタ曲と同じ土俵で競い合うことにもなります。

そもそもニコニコというフォーマットゆえ、曲と動画が同一の価値を持つのも、楽曲に邁進している人からは不満なのかもしれません。

この構造はほとんど変わっていないのに、今回は根本的なボカコレのあり方についてSNSでの議論が目立った気がします。

たまたま今回僕らの投稿曲がネタ曲寄りに仕上がってしまったので、余計に関心を持ってしまったのかもしれません。

敷居の低い祭り

僕自身、前述のようにボカコレを作曲や動画作りのトリガーにしている中途半端なクリエイターです。
ボカコレなしには創作活動自体停滞する人なので、この議論に関しては「このままでいいんじゃないの?」と思っています。

ボカロ文化の素晴らしいのはキャリアもテクニックも不要で、公開したら誰もがボカロPを名乗れるところだと思ってます。

もちろん「人気ボカロP」となるには、ビューアやコメント、マイリスの数が要りますし、プロフェッショナルの道へ進みたいなら、プロセカNEXTなど、オフィシャル関連に採用されることも重要です。

でも、ボカコレについて言えば、投稿する人全てが人気ボカロPになれると考えてるわけじゃないと思うし、中には生存確認に投稿する人もいます。

誰もが一堂に新曲を出品できるお祭り会場。
それこそがボカコレだと再認識した今日この頃であります。

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みくばんP
ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。