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『ボーカロイドと私』あれこれ

さて、これからの社の展開については口をつぐまざるを得ない小者のワタクシですが、以前書いた記事をこちらの書籍に寄稿させていただきました。

本書では前述の記事をベースに「その後」を書き加え、1.5倍に増量いたしました。

主に2012年頃から今年9月までの内容が2/3、9月から10月の内容が1/3を占めています。この9月までいかに薄っぺらな人生を送っていたか白日の元に晒されるという、大変刺激的な内容となっております。

大袈裟でも謙遜でもなく、あの『30分じゃ伝えきれない初音ミク』は、僕のラジオ人生において『電磁マシマシ』に匹敵する重要な番組となりました。

この番組を高く完成に導いたのは清水藍であるにもかかわらず、彼女を盾にこそこそ隠れるワタクシにも流れ弾のごときアプローチが飛んでくることとなりました。そのひとつがこの書籍であり、他にもいくつか被弾しているわけです。

引っ越してきた街に自分が溶け込めるかオドオドしていたら、隣人から近所のスナックへ飲みに誘われ、常連客に請われるがままに乾杯してたら、週末には町内の運動会に出場しているような感じ、と言いましょうか。

50を過ぎて新しい出会いが生まれるほど反響をいただいたということでして、どんなお仕事であろうと、愛情を込めて作ることって大事だよな、と思いました。

今回お招きいただいたhiyoriさんとは、本稿を再掲する上でいろいろ相談させていただき、こちらもハッと声に出てしまうような気づきをたくさん頂戴しました。

僕自身、公共の電波を預かるラジオ番組は、コア層だけでなくビギナーを生む機会と捉えて仕事をしています。
すぐ消しちゃうつもりが「なんか楽しそうだな」と1分、3分、5分と聴き続けてもらえるよう考えています。

ところが文章となると、途端に他者を平気で置いてけぼりにしてしまう悪いクセがあり、とどのつまりが、こんなほろ酔い原稿になってしまうのです。

しかし、hiyoriさんから本書読者層にビギナーを考慮されている旨を伺いました。

確かに、ボーカロイドMVは好きだけど、様々な事情でイベントに足を運べなかった方、あるいはソフトウェアに関心がなかった方、絵を描くなどクリエイター側に立つことを躊躇されていた方だって多いでしょう。そして文字でミクを楽しむという方もいるはずです。

さらに言えば、イベントに足繁く通い、グッズにどこまでも投資できるほどミク愛に溢れていようと、ラジオを聴く機会が日常的にない方も多いはずです。ラジオなんてプリミティブなメディアで、ミクの魅力が伝わるはずがない、そう思う方がいても不思議はありません。

もしかしたら、本書でラジオへ興味を持っていただけるかもしれない。そう考えると、自分の本業と同じ目標が本書にはあったわけです。

今回の文章はわかりやすく修正した上で、過去のエピソードを補強した箇所もあります。決して全てではありませんが、社業としてキャンペーンに起用させていただいた理由なども記しております。

この歳になると、今後どうなるかもわからないので、残せるうちに、いろんな人への感謝も散りばめさせていただいた次第です。
そんな雑感も交えつつ、久しぶりに真剣に心を込めて文を編みましたので、こりゃもう買うしかないでしょう。それではなにとぞどうかひとつよしなに。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。