【本の紹介】生の短さについて

せっかく腰を据えてのんびり読書できる期間をいただいているので、普段手を付けないような堅いビジネス書や哲学書、古典などを拾い読みしてます。これは紀元前4年から後65年までを生きたと言われるセネカ御大の本。2000年も前の本なのに、思いのほか読みやすく、こんな昔の人も自分と同じようなことに感心を持っていたんだと思うと、親近感が湧くと同時に古典や哲学を勉強するモチベーションも高まりますね。

サマリー

人はみな自らをして、自由に生きさせることのできる権利を有しているにも関わらず、多くの時間をただ浪費しがちである。誰もが永遠に生き続けると思って生きており、己のはかなさなど気にも留めない。

何かに忙殺される人間には所詮何事も為しえない。散漫になった精神は、何事も心の奥深くには受け入れられず、いわば無理矢理口に押し込まれた食べ物のように吐き戻してしまうのが関の山である。

過去を振り返り、賢人たちの残した遺産を温故知新の精神をもって学び続けていくことこそが有意義な時間の使い方と言える。互いに平静を破りあい、実りもなく喜びもなく、精神の進歩もないまま生を送り続けてばかりいては、生を短くしか感じえないのもやむなしであろう。

オススメする理由

多分この本、自分が超多忙で超遊びまくっているような時期に読んだら1mmも刺さらなかったと思います。だって、働くの超楽しいし、そのあと飲みに行ったらめっちゃスカッとするし、これこそ生きてる!!!って感じがするから。でも、セネカ御大から言わせると、「そういう向こう見ずな態度こそ、生を浪費している」ということなのです。

要はスナック菓子のようにただただ貪り食うか、高級な懐石料理のように味わってじっくり愉しむか、の違いだと思っています。

この自粛期間ってある意味すごく試金石だと思っていて、人それぞれ自分なりの方法で我慢したり折り合い付けたりしながらなんとか上手くやってる期間であり、各人の人生に対する姿勢が垣間見えるのかな、と密かに思っています。別にどういう過ごし方がいいとか悪いとかいうつもりはさらさら僕には無いのですが、自分なりの過ごし方を「意識的に行うか」「無意識的に行うか」でこの時期の満足度は変わってくるのかな、と思います。

もう少し煎じ詰めれば、自分はこの与えられし時間を、どういうバランスで、どのように折り合いをつけながら行っていくか、といった視点で考えていくことで楽しい自粛期間になるんじゃないかな、と思っています。

先のサマリーだけ読むとセネカ御大、たいそう気難しい人にも思えてしまいますが、ここで省いた別の章では、以下のようなことも言っています。

精神を解き放って歓喜と自由へ導き、素面のしかつめらしさをしばし脱ぎ捨てることは、時には必要なのである。いかにも、ギリシアの詩人を信じれば、「時に狂ってみるのも楽しい」のである。

時には楽しく狂うことも忘れずに、バランスを上手く保ちながら自粛期間を乗り切っていきたいものですね。

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