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具体と抽象、鳥の目虫の目魚の目

ヘイで STORES のプロダクトマネージャー をしている重山です。hey Advent Calendar 17日目の記事を担当しています。

 今年も早いもので、あっという間にM-1の季節がやってきました。
アドベントカレンダーに初参加ということで、当初の予定ですと直近で携わったプロジェクトの様子をつづろうかななどと考えていたのですが、急きょ気が変わってしまったので、全く違う話題をお届けしようと思います。

 以前、仲の良い前職の同僚と「周囲のすごいなと思う人」について話をしていた際、その同僚が「具体と抽象を自由に行き来できる人っていいよね」と言っていたのを思い出しました。ちなみに私はなんと答えたかきれいさっぱり忘れました。
 昨日ふと思い出したこのキーワードをもとに、直近半年の振り返りをしてみようかなと思います。

具体を掴みに行く

 2021年の下半期は、特にユーザーさんとお話しする機会を意図的に増やした半年でした。STORES ではストアを開設してくださっているユーザーさんのことを、尊敬や親しみを込めた気持ちで「オーナーさん」と呼んでいます。この半年は、均すと週に1回くらいのペースでオーナーさんと顔を合わせる機会があったのかなと思います。快くヒアリングにご協力いただいたオーナーさんには本当に感謝です!

 もともとオーナーさんの課題や要望をお伺いし、機能検討の参考にするという目的で始めていましたが、実際は話を聞けば聞くほど混乱するばかりでした。
 私は前職でC向けのアプリ開発を担当しており、そちらでもユーザーさんのヒアリングには幾度となく参加していましたが、大きくユースケースが異なるという事例はそこまで多くはなかったですし、カテゴライズすると5,6パターンのペルソナを想定できれば80%程のユーザー像は網羅できるという感覚値でした。(もちろん細かく分ければ、もっとあります)
 一方で、STORES は業種・規模・販売商材だけでなくその中でも、オーナーさん独自のオペレーションを組まれていたり、実店舗のありなしによっても大幅にオペレーションが変わったりと、課題を絞り込むこと1つにおいてもホリゾンタルなプロダクトならではの難しさを感じています。
(toC・toB、バーティカル・ホリゾンタルとそれぞれの難しさはありますし、単純にどちらが大変という話ではありません)
 
 ある機能の要件定義フェーズでも、どのユースケースを想定するか、類似した課題を持っているオーナーさんは多いのか、具体例を見れば見るほど一見共通項がなさすぎて、プロジェクトの課題がブレていきそうな感覚でした。虫の目で具体例を掴みに行くこと自体は大切なことですが、それだけではプロダクトに反映することは難しいですね。

私は鳥になる

 たくさんのユースケースに触れた後、このまま課題特定に入るには論点が多すぎると感じたので、オーナーさんの声と抽出した定量データを眺めることにしました。
 画像はイメージですが、ヒアリングの内容を元に仮説を立て、現状の業種比率や関連機能の利用状況、分布を踏まえ解決する課題の絞り込みを行っていきます。残念ながらすべてのユースケースをカバーすることが難しいので、課題を絞り込むと同時に代替手段も想定しつつ必須要件を決めていきます。

metabaseダッシュボードの例

 例えば、今年担当したプロジェクトの中で一番反響が大きかった「配送日指定」機能
リリース日を早めるために、当初想定した要件を大幅に削りましたが、事前にヒアリングしていたことで、リリース後にどのような要望をどのくらいいただくか、ある程度予想しておくことができました。
 工数・インパクトを踏まえ、どの改善から着手するかをリリース前に検討しておくことで、以降の改善速度を早めることにも繋げられました。(8月のリリース後に1回、そして年明けに2回目のアップデートを予定しています)

課題マッピング


足りない魚の目

一方で、いくつかのプロジェクトを担当するうちに、自分には大きく何かが足りていないのでは。そのせいで決断の精度が落ちているかもしれないと気づきました。それが、魚の目です。

 プロダクトの理解を進める上で、市場感や具体事例を積極的にインストールしてきましたが、流れを感じてプロダクトに反映していく視点が圧倒的に足りていませんでした。過去形ではないですね、ここは現在もキャッチアップしている最中です。特に、長期的なロードマップを検討していくにはなくてはならない視点ですね。

 直近でもメルカリShopsさんやMySmartStoreさんなど、次々に新しいサービスが生まれ、より一層簡単に物が売れる環境がどんどん整っています。ECという括りに囚われない。どの方向に向かって泳いでいるのか、「いま」の課題と2〜3年後の課題は異なるのではないか疑いながら、関わる市場やプロダクトの現在地だけでなく、普段の生活がどのようにアップデートされていくかにアンテナを張ることもプロダクトマネージャーとしてはとても重要な業務だなと改めて感じました。

余談です。ご存じの方も多いと思いますが、個人的に聞いててワクワクするのがNewsPicksさんで連載されている伝書鳩TV。数年後にはどんな便利な世の中になっているのかな、なんて妄想しながら思いを馳せています。笑
https://newspicks.com/movie-series/68/

具体と抽象の行き来

 プロダクトマネージャーは「鳥の目虫の目魚の目」この3つの視点を持ったうえで具体化と抽象化を何度も繰り返しながら、誰の何を解決するのか、解決しない場合は次にどんな手を打つのか を終わりなく考え続けるとてもハードな仕事だなと常々感じています。

 ヘイのプロダクトマネージャーの皆さんと一緒に働いていて、この能力が高い人ばかりだなと業務や会話を通して体感しています。
 それは同時に圧倒的な自分の力不足を目の当たりにすることにもなりますが、自分に足りていない視点を持った人たちの動き方を直接目にしながら学び、すぐに業務に取り入れることができ、とてもよい環境で働けているなと思います。
 2022年は具体と抽象を行き来するサイクルを早くすることで、より確度の高い施策を打ち出せるように、オーナーさんそしてプロダクトに向き合っていきます。

そして、ヘイではプロダクトマネージャーを大募集していますので、ご興味あればぜひご応募ください。

完全に勢い任せに書いてみましたが、アドベントカレンダーに参加することで普段あまり気にしていなかったクリスマスが何やら待ち遠しくなってきました。

少し早いですが、みなさんメリークリスマス!

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