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コンビニにて起きた事故

1.事の起こり  5月も後半に入れば空気はわずかに夏の香りを孕み、そしてその温度でもって次に訪れる季節の慣らし運転を始める。肉体労働者には厳しい季節の到来だ。  その日はいつも通り仕事を終え、飯を済ませ、風呂に入り、そして20時過ぎに「夜」は始まった。はずだった。先にも述べた通り昨今は季節柄気温が急に上がる時期である。加えてその日の業務は普段より数段体力を消耗する内容であり、必然的にいつもより疲労が溜まっていた。 「10分だけ目を瞑ろう」  そう判断し、私は目を瞑った。そし

    • 1.序  タバコを吸い始めた理由は、偏に漠然とした大人への憧れである。当時趣味で付き合いのあった年上の人々は皆それを吸い、趣味の話に興じていた。やっと大学生活に慣れてきたばかりの私の目に、それはひどく退廃的な空気を孕みそして美しく見えた。私もそこに混ざりたいと、心から願ったものである。 2.盲  当時の私にとっての喫煙はある種儀式めいていた。大学の講義を終え、そのままバイトに向かい深夜に帰宅する。そこでベランダに出て、夜の街を眺めながらタバコに火を点ける。この行為を私

    コンビニにて起きた事故