【家事労働者過労死裁判】労災認定を求め戦っています!
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【家事労働者過労死裁判】労災認定を求め戦っています!

総合サポートユニオン

私たち総合サポートユニオンの中で過労死などの労災問題を専門に取り組む「労災ユニオン」では、現在、家事労働者の過労死裁判を支援しています。

昨年3月に東京地裁へ提訴をし裁判が進行中ですが、総合サポートユニオンでは学生・労働者皆で毎回傍聴支援をし遺族と共に戦っています。

本記事では、今回の裁判の概要と私たちの支援についてご紹介します。

過労死をはじめとした労災の相談も無料で受け付けていますので、家族や身近なところで労災問題がありましたら、お気軽にご相談ください。

TEL:03-6804-7650

(受付:平日17~21時/日祝13~17時 水・土曜定休日)

裁判提訴会見の記事は以下になります。

https://www.bengo4.com/c_5/n_10885/

◆6日連続ほぼ休憩なしの24時間労働による「過労死」

今回過重労働によって亡くなったAさん(60代・女性)は、株式会社Y社の紹介で、2015年5月に6日間、個人宅にて「家政婦」及び訪問介護ヘルパーとして住み込みで働くことになりました。

「労働条件通知書」には、休憩時間が0時~5時と記載されており、0時~5時以外は、休むことが想定されていないものとなっていました。

同僚の証言では、夜含め2時間おきのおむつ替え、定期的な失禁への対応がありました。また、利用者が要介護5の認知症患者のため介護忌避もあり、大声で「ばかやろう、でていけ」などの暴言を労働者へ日常的に浴びせていました。

Aさんは以上のようなほぼ休憩がなく精神的負荷も大きな環境で、6日間連続勤務をしていたのです。

そして、連続勤務が明けた日に、私的に利用した入浴施設内で倒れているところを救急搬送され、「急性心筋梗塞」でAさんは亡くなってしまいます。

2017年5月、遺族はAさんの死は過労死であると考え、渋谷労働基準監督署に対し労災申請をしました。証拠集めを1から行うなど様々な困難の中、労災申請までに遺族は約2年を要しました。

しかし、2018年1月15日、渋谷労基署長は不支給とする決定を下しました。その理由は、Aさんが労働基準法116条2項に定める「家事使用人」に該当するため労基法や労災保険の適用除外となるから、というものでした。

遺族は納得できず、その後、国に対して審査請求、再審査請求を行ってきましたが、不支給決定が覆らなかったため、2020年3月に東京地裁へ提訴するに至りました。

◆労働基準法上の「家事使用人」とは?

なぜ、Aさんには労基法や労災保険が適用されないのでしょうか?

労基法116条2項は、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」と定めており、今回も国はここを根拠に労災不支給を決定しています。

一方で、厚労省通達の基発第150号には「個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者は家事使用人に該当しない。」(つまり、労基法・労災法が適用される)ともあります。

つまり、家事労働者と言っても、個人家庭との雇用関係で働く場合は「家事使用人」となり、仲介業者などとの雇用関係で働くと「家事使用人」とならずに労基法や労災保険が適用となる訳です。

◆Aさんは「家事使用人」に該当するのか?

では、Aさんは労基法に定める「家事使用人」に実態から該当するのでしょうか。

結論から言うと、Aさんは、労基法116条2項の「家事使用人」には該当せず、厚労省通達の基発第150号「個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を行う者」に該当すると考えています。

なぜならば、Aさんは労働実態として、介護業務と家政婦業務が渾然一体となっている上に、両業務ともY社からの「業務指示書」等によって具体的な指示があり、両業務の報酬もそれぞれ区別されずY社からAさんに支払われていたからです。加えて、毎月報酬の14%をY社に対し手数料としてAさんは支払っていました。

これらを総合的に考えると、とても利用者に雇用されて指揮命令を受けて対価をもらっている労基法の「家事使用人」とは言えず、実態としては、Y社に雇用されていたと考えられるでしょう。

Aさんは労基法上の「家事使用人」ではなく、労基法や労災法が適用されるべきです。私たちはそのような訴えを裁判で行っています。

◆世界では進む家事労働者の権利の拡大


家事労働者へ労基法や労災保険が適用されない今の状況が維持されると、Aさんのように24時間労働を余儀なくされ過労死する家事労働者が、今後も発生し救済もなされないことになります。

また、「家事使用人」として働いている人のほとんどが女性です。国は家事労働者の正確な実態について把握をしていませんが、2015年の国勢調査では、約1万人の家事労働者がいるとされその約8割は女性となっています。多くの女性が、「無権利」の状態で家事労働者として働いているのです。

一方で、世界に目を向けると、家事労働者の権利拡大は今や国際的な流れとなっています。2000年代中頃から女性団体や労働組合、NGOなどが連携し家事労働者の国際的な待遇改善を進め、2011年6月、ILO第100回総会で、「家事労働者の適切な仕事に関する条約(第189号条約)」が採択されています。2021年3月1日現在の批准国数は29カ国となっています。

その条約では、家事労働者は他の労働者と同じ基本的な労働者の権利を有するべきとして、安全で健康的な労働環境の権利、⼀般の労働者と等しい労働時間、住み込み労働者のプライバシーを尊重し人並みの生活条件が享受できる環境確保、結社の⾃由や団体交渉権といった就労に係わる基本的な権利及び原則の尊重・促進・実現などを規定しています。

以上のように、世界的には女性労働者を中心に様々な家事労働者の待遇改善が国際的に進んできています。しかし、日本は同条約を未だ批准しておらず、国連女子差別撤廃委員会より勧告も受けているような状況です。

そのような情勢の中で、現在戦っている家事労働裁判は、日本における家事労働者、そして女性労働者の権利を拡大させることにつながっています。

◆過労死かもと思ったらすぐ相談を!

原告である遺族は、「家事労働を仕事として認め、人間としての扱いをして欲しい」と訴えています。

私たちは、再審査請求の時点で遺族から労働相談を受け、それ以降、共に証拠の整理をしたり、裁判提訴などの支援をし、毎回の裁判期日には、メンバー複数で傍聴支援をして遺族とともに裁判を戦ってきました。

遺族にとっては、大切な人を亡くしたうえに労災認定を目指して、証拠を収集するなどは容易ではありません。また、労災申請やその後の裁判などは、遺族だけで進めていくのは心身ともに困難です。

過労死をなくしていくためには、社会的に遺族を支え、共に取り組む体制が必要です。

過労死遺族の方や、周囲に突然亡くなった方がおり少しでも仕事が原因の可能性があると考えられれば、ぜひ私たちへ相談を寄せてください。

1つ1つの権利行使が日本から過労死をなくしていくことにつながっていきます。

◆寄付のお願い

私たち運営費の大部分は寄付で成り立っていますが、費用の不足が私たち総合サポートユニオンの課題となっています。総合サポートユニオンの活動に賛同し、寄付をいただける方は、noteのサポートや、下記の振込先から寄付をいただけたら幸いです。よろしくお願い致します。

[みずほ銀行での振り込み]
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普通預金 3024622
口座名義 総合サポートユニオン

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