「リソー教育」運営の個別指導塾TOMASが労基法違反で是正勧告、社会人講師の社会保険及び雇用保険未加入の長期間放置も発覚
私たちは、現在、株式会社リソー教育が運営する個別指導塾「TOMAS」https://www.tomas.co.jp/で働いていた元講師Aさんと一緒に、労働問題の解決を求めて団体交渉をしています。
このたび、王子労働基準監督署から、Aさんが勤めていた東京都内のTOMASの教室について、労働基準法違反の是正勧告が出ました。
リソー教育について
リソー教育は、首都圏を中心に個別指導塾「TOMAS」を80校以上運営する、1985年創業の東証一部上場の企業です。本社は東京都豊島区。
リソー教育グループは、TOMASの他に、名門小学校・幼稚園受験塾「伸芽会」、名門小学校・幼稚園受験託児所「伸芽’Sクラブ」、プロ家庭教師センター「名門会」、全国版進学個別指導塾「TOMEIKAI」の運営、学校内個別指導塾「スクールTOMAS」、英語スクール「インターTOMAS」、情操教育専門塾「プラスワン教育」など、様々な教育事業の運営を行っています。
是正勧告の内容
●労働基準法37条違反 割増賃金の支払い
週40時間を超えた労働時間についての割増賃金が適正に支払われていなかったとして、2019年12月に是正勧告が出ました。
上記のほか、「コマ給」のため授業前後の労働時間に賃金が支払われていなかった、生徒が当日欠席した場合にそのまま支払われるべき給与がきちんと支払われなかった、カリキュラム作成にかかる時間に比して手当が少なすぎるなどの問題について、会社に支払いを求めています。
団体交渉においては、会社側も授業時間外に行う業務があったことを一部認めました。
また、この他、リソー教育では社会保険および雇用保険が未加入であったという問題があります。
社会保険及び雇用保険未加入期間の労働者負担額は70万円超! 全額払った後でなければ加入手続きをしないと主張する会社
Aさんはリソー教育で社会人講師として長年働き、社会保険と雇用保険のどちらも加入要件を満たしていましたが、会社が加入手続きをしていませんでした。当然ながら、労務管理を適正に行い、要件を満たしている労働者について加入手続きを行うことは会社の義務です。
※加入要件について
社会保険:所定労働時間が正社員の4分の3以上あること。(これより短い場合は、「短時間労働者要件」に該当すれば加入できる。)
雇用保険:31日以上引き続き雇用され、週の所定労働時間が20時間以上あること。
私たちは会社に対して、社会保険・雇用保険の遡及加入をするよう求めるとともに、同社の他の社会人講師の未加入があれば是正するよう求めています。
ところが会社は、Aさんが加入要件を満たしていたと認めながら、Aさんが社会保険料および雇用保険料を全額支払った上でなければ加入手続きをやらないと回答してきました。
これは明らかにおかしな対応です。労働者の保険料支払いとは無関係に、加入要件を満たした労働者について加入手続きをすることが、企業としての義務です。遡及加入できる期間は2年前までであり、それ以前については時効のため遡及加入ができません(加入する健康保険組合によって遡及加入が可能な場合もあり)。会社がすぐに手続きをしないと、時効によって遡及加入できる期間がどんどん短くなってしまいます。
また、今回のAさんの過去2年間分の保険料の労働者負担額は、合計で70万円を超えると会社は通知してきました。このような高額の保険料となるのは、ひとえに会社が手続きを怠って未加入という違法状態を長期間放置してきたせいであるといえます。会社は、即時に加入手続きを行った上で、分割支払いに応じる等の配慮をするべきではないでしょうか。
さらに、会社によると、社会保険や雇用保険未加入の労働者がいた場合、全員に対して同様に保険料を支払わせた上でようやく加入手続きをするという対応をしているのだそうです。
このほか、Aさんと同じように加入要件を満たしていながら未加入となっている労働者が他にもいないかどうかについて、会社は社内調査をする予定はないと、団体交渉にて回答しました。
こうした会社の対応は、どれも労働者にばかり負担や不利益を押し付けるものであり、全く納得ができません。年金事務所およびハローワークに問い合わせたところ、会社がすぐに加入手続きを行わないことは問題だとの確認も得たので、今後私たちは年金事務所およびハローワークに対して会社への調査や指導を求めていく予定です。
リソー教育は子どもたちの教育に関わる会社として、違法を改善し、コンプライアンスを徹底してください!
リソー教育グループの「倫理憲章」には、「高い倫理観と誇りをもって良き企業市民として社会に貢献することを誓います」として、「すべては子どもたちの未来のために」をはじめとした10の原則が掲げられています。第6項目では、「コンプライアンス重視の経営」とあります。
この間の会社の対応を見ると、残念ながら会社はこの倫理憲章を守っているとは到底言い難いです。
会社は、労働者に対するコンプライアンスを無視した対応を即時にやめ、法令に従って、労基法違反を是正し、社会保険および雇用保険の手続きを取るなど、企業としての当然の義務を果たすべきです。それをしないまま、会社は「子どもたちの未来のため」に教育事業をやっていると胸を張って言えるのでしょうか?
リソー教育の従業員の方で労働問題に悩んでいる方はいませんか?
リソー教育グループで働きながら、「コマ給」や長時間労働、社会保険未加入などの労働問題で悩んでいる方はいませんか? 私たちと一緒に、会社に対して違法な労働環境の改善を求めていきましょう。働いていて「おかしいな」と感じるところがありましたら、ご相談や情報提供をいただけると幸いです。相談は無料、秘密は厳守します。
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