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【角川ドワンゴ学園】労働者の権利保障とより良い教育環境を求めた現役教員のストライキ!

3月10日の夕方、私学教員ユニオンに加入する教員たちは、N高・S高・N中などを運営する角川ドワンゴ学園に対しストライキをし、東京本社前で行動を行いました。

他のユニオンのメンバーや、大学生、高校生も参加をし、非正規雇用で働くユニオンメンバーへの不当な雇い止め(解雇)の撤回や、コロナ感染対策、担任数の削減などを求めました。

◆ 角川ドワンゴ学園の不誠実な交渉態度

今回のストライキに先駆けて行われたオンラインでの団体交渉の場では、以下などを求めました。

・N中の教員として働くAさんに対する不当な雇い止めの撤回

・学内のコロナ感染対策の改善

・「ジョブローテーション」(全国への異動・職種変更)の運用改善

・1人の担任が持つ生徒数の削減

それに対して、学園側はいずれの要求に関しても応じない姿勢を崩さず、特に雇い止めに関しては、「コミュニケーション能力が不足している」、「他の従業員への協力を怠っている」といった曖昧且つ主観に基づいた内容を理由として挙げていました。

次回の交渉の日程を決める場面では、参加者皆がそろっているにも関わらず、その場で日程調整することを拒否し学校側は一方的に交渉を打ち切りました。Aさんの雇い止めが今月末に迫っているにも関わらず、引き延ばしをしようとするN高の不誠実な交渉態度にも抗議するとともに、上記の要求を訴えるために、この日は角川ドワンゴ学園本社前に集まり、抗議行動を行いました。

◆労働者として、学生として、多様な参加者が共に声を上げました!

学園との争いでは、非正規労働者に対する差別、教員や生徒の命に関わる問題、「教育の質」が軽視される教育体制といった複数の問題があります。

ストライキには今月末で雇い止めされるAさん、Aさんと同期で教員をしていたBさん、私学教員ユニオンのメンバーの他、様々な人が参加していました。総合サポートユニオンの組合員も複数かけつけ、今まさにハラスメントや長時間労働について会社と闘っているという人や、非正規雇用の教員が使い捨てにされている現状を同じ非正規労働者として黙って見ていられないと感じて駆けつけた人もいました。

また、労働問題を改善し教育の質を向上させるよう求め、「生徒へ100%向き合いたい」というAさんの思いに心を動かされた、大学生や高校生なども参加しました。

Aさんは担任や授業など正社員と全く同じ仕事をしているのにも関わらず、契約更新1ヶ月前というギリギリになってコミュニケーション能力不足などの適当な理由で雇い止めにされました。

Aさん自身も指摘するように、担任の先生が突然いなくなるということは、時間をかけて信頼関係を築くことで構築できるはずの健全な教育環境にとって大きな悪影響を与えます。特に、通信制学校の場合は、様々な理由から以前の学校を不登校になってしまい心に傷を負った生徒も多く、信頼関係を基盤とした「手厚いケア」がとても重要です。非正規雇用教員を切り捨てることが生徒に与える影響を学校は考慮していないと考えざるを得ません。

またN高は現時点でも「1人の先生が150人もの生徒を見る」状況があり、Aさんたちは担任数が多いため余裕がなく生徒1人1人と十分に関われていないということを非常に問題視してきました。

しかしながらN高は、今後1人の担任が受け持つ生徒の人数をさらに220人にまで増やそうとしており、教員の過重労働や今まで以上に教員と生徒のつながりが薄くなることが懸念されます。

そしてユニオンでは、学内で教員・生徒へのコロナ感染が広がる中で、対面授業をオンラインに切り替えるなどの措置を訴えていましたが、これについても学園からの積極的な対応はありません。感染リスクがある中で様々な対策に追われる現場の教員たちと、現場にいない学園側幹部の意識にはギャップがあり、教員・生徒の命や健康は優先にされていないと感じます。

組合員の教員たちは、全日制よりも自由な教育をしたい、個々の生徒に合わせた教育がしたい、生徒に安心して学校生活を送って欲しいと考え、通信制の学校で教員として働くことに使命感を持ち、全身全霊で仕事に取り組んできました。より良い教育をしたいという教員に対する不当な扱いを許さないという想いを共有し、ストライキではAさんたちを始め参加者みんなが連帯して抗議の声を上げました。

◆ストライキ行動への参加者の声

・Aさん(高校生)

教育を受ける権利は誰もが持っています。私はその教育で価値観やその後の生き方が形成されることを身をもって体験しています。非正規雇用教員を使い捨てにするなどし、教育でお金儲けをする中で質を蔑ろにしている学園を許すことはできません。

・Bさん(元教員)

契約期間満了ギリギリで雇い止めを行うというのは教員の人生や生活を蔑ろにしている現れだと思います。非正規教員の使い捨ては生徒保護者にも大きな影響があり、社会全体の問題です。雇い止めの撤回や教育環境が改善するまで、引き続き抗議します。

・Cさん(大学生)

生徒のためではなくお金儲けのために学校を運営し、教員を使い捨てるやり方に怒りを覚えます。教育の質を守るためのN高の教員たちの闘いが、この社会の教育の未来を変えていくと思います。学生や教員のみなさん、ぜひN高の闘いに参加して、本当の「未来の教育」について皆で考えていきましょう。

◆今後に向けて

今回のストライキについて、角川ドワンゴ学園はホームページで反論を出しており、強硬な姿勢を崩していません。

まともな教育をするために労働環境を改善して欲しいという教員の訴えをN高が聞き入れ、労働・教育環境を実際に改善するまで、私たちは諦めず闘い続けます。

ICTを活用し教育で利潤追求するというN高の教育のあり方は、これから教育業界全体に広がろうとしています。N高に対する闘いは、この社会の教育の未来をつくっていくための闘いです。学生の皆さん、教員の皆さん、N高に対して一緒に抗議の声をあげましょう!

◆労働相談や共に活動するボランティアの募集

職場で労働問題を抱えている教員の方は以下の私たちの相談窓口まで電話・メールにてご相談ください。無料対応・秘密厳守で対応しています。一緒に違法・不当な状況を変えるために声を上げませんか?

また、私たちは一緒に今の労働・貧困問題を変えるための取り組みに参加したいという仲間で募集しています。ボランティアを希望される方は、以下のメールまでご連絡ください。

電話番号:03-6804-7650

(平日17~21時/日祝13~17時 水曜・土曜休み)

メール:info@sougou-u.jp

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