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”ミッドサマー”感想

観てきました、ミッドサマー
とっても良かった、ミッドサマー

私は、映画あんまり見ない人なんですけど、それでも感想言いたくて言いたくて書いた、そんな素人の感想です。
(本当に個人の主観で、ほかの方の考察とかも見てないのでご容赦ください)

ミッドサマーを知らない方は、とりあえずまず、予告編と公式サイトを見て雰囲気が合うかどうかを吟味して下さい。


【予告編】


【公式サイト】
https://www.phantom-film.com/midsommar/

とりあえずこの映画、個人的には刺さらない人が「話題なので!」と観てしまうと、確実に絶句する映画だと思うので、本当に予告見て刺さった人が行くべきだな・・・と思います。
あと、スリラーって何だろう??でも可愛い!楽しそう~~!って言って耐性が無いと、観た人も映画もしんどいことになるので、スリラーでググってふわふわっと掴んでおくといいかもです。

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本題の感想ですが、全体を通しての雰囲気感想とがっっっっっつりネタバレの感想と分けてます。
だってこの映画、結末まで含めた感想でないと、勿体ないし。

*全体通しての雰囲気感想

なので、まずはさくっと雰囲気感想(ライト版)からお話していきます。
物語の出だしくらいは語っても問題ないよね。パンフレットにも載ってたし。
と、いうわけで出だしあらすじ。

あらすじ

主人公であるダニーは、双極性障害の妹から「もう耐えられない。パパとママも一緒に行く。さようなら」と書かれた不吉なメールを受け取った。
妹にも家族にも連絡がつかず、不安でパニックになっていたダニーは、恋人のクリスチャンにも連絡をするが、互いの想いが噛み合わずに破局寸前となっていたこともあり、素っ気ない態度をとられてしまう。

不安が募っていた矢先、ダニーは警察からの連絡で「妹が一家心中した」ことを知ってしまう。
天涯孤独になり、絶望の淵に立たされたダニーは眠れなくなり、そこでクリスチャンに付き添う形で無理やり行ったパーティーで、クリスチャンと3人の大学の男友達(マーク、ジョシュ、ペレ)と共に、ペレの故郷であるスウェーデンの奥地へと旅行へ行くことを知る。

男友達に歓迎こそはされていなかったが、ダニーはしぶしぶ誘ってくれた、クリスチャンの呼びかけに応じて着いていくことに。

90年に一度、9日間続く村での、夏至祭り。
時間の感覚すらおかしくなるような白夜の地で行われる祝祭とはーーー

******

という感じです。
パンフレットを参考にしつつ、自分なりに文字起こしをしてみました。
なので、もしかしたらニュアンスがズレている。かも。

でも!とりあえず、これを前提のあらすじとして語っていきます。

まず、とにかく魅せ方と色合いがすごい鳥肌。
色彩のこだわりについては、試写会での監督のコメントやパンフでも確認できますが、心理描写との兼ね合いが上手すぎる。
不安と解放、絶望と快楽、日差しの揺れひとつひとつや、逆光、フレアの入り方までもが、とにかく細かく情景に映し出されている。は?神では?
直球的に噛み合った心情の映しもあれば、逆に何とも言えない、不安定でアンバランスな対比もある。
それが視覚的に入ってくることで、無意識のうちに引き込まれるし、のめりこんでしまう。

また、この映画、ところどころ薬の描写が(ありとあらゆる意味で)出てくるんですけど、そこの描写もまたすごい。
この映画がある意味、一番合法ドラッグなのかもしれない。

で、魅せには重要な音ですが、これもまっっっった良い。
終始どこか不安定で不気味でハッピーなBGMだけではなく、SEもすごくすごい。(語彙力)
遠くで鳴っている喧噪とか、楽しそうな声とか、虫の音とか、何もかもが、前述の視覚イメージを後押しするように的確に付けられている。
あんまり自然すぎて途中からメモ取ってないくらいには自然だった。

肝心のストーリーは、ネタバレのないレベルの感想だと、とにかく主人公のダニーの感情、及び心理描写の揺さぶり方が凄くよく出来ていた。
私はあまりダニーには感情移入できないタイプだったけど(性格の問題かも)、それでも強く激しく、時には繊細な部分も感じ取れる。
また、人間関係の緩やかな不和や脆さも、綿密な空気感で描写されていて、村の祝祭よりもそっちの方が恐怖に感じる人もいる気がする。

私は興味持ってくれたら、あんまり前情報見ないで行った方がいいなぁと思ったので、ゆる~っと後押しするように書いてみました。
もし迷う人がいたら、とにかく観に行ってみた方がいいです。
これは、BDとかアマプラを待つより、映画館で、観てほしい。
そしてパンフレットは映画鑑賞後に観ましょう

*ただ、Twitterにも書いたけど、残酷(グロテスク)描写、セクシャルシーンが苦手だったり、影響されやすく、雰囲気で気分が悪くなったり、体調を崩してしまうような人は、あまり見ない方がいいと思う。


いろんな人が、祝祭に参加しますように!
それでは次は、ネタバレ感想です。


*がっつりネタバレあり感想

これ、どこまで書いていいのか分からないので、問題がありそうだったら後々取り下げるかもしれません。

ただ、既に公式くんがエンディングバレ禁止!と出してるので、内容は避けつつ、自分の考察と思ったことを出していこうと思います。
こっちは壁打ちのようなものなので、まともな文章ではないです。
(そもそも友人に感想待ってる~~て言われたのと、備忘録のために書いた節はある)

また、この物語は紛れもないハッピーエンドだと思っている人の肯定的な感想です。





↓↓↓



とにかく冒頭からかっ飛ばしている。
あとでパンフとか公式の解析ページで見たけど、最初のタペストリーの絵はやっぱりパンフの表3・4なんだ!!!がっつりバレやんけ!!すっげぇ!!!二回目で確認しよ!!!!

ダニーの電話しまくりメンヘラシーン、裏でずっとサイレン鳴ってたりしてて、既に事件性ありまくりと思ってたけど、ホントに事件だったわ。
クリスチャンが言ってた「○○がずっとキミの名前呼んでる」って、誰かメモし忘れちゃったから、要確認って感じだ。
ここですでに二つ薬が出てる。大麻(かな?)と、抗不安剤。
あと、鏡の描写もいいなー。黒くて暗くて吸い込まれるような主人公の内面を映してる。
部屋に飾ってある「くまと少女」のイラスト、これはもし森のくまさんの意味なら、後半のクリスチャンとマヤを示してるのか?
それとも、くまと友好を結んで離れられないクリスチャンとダニーなのかな?どっちだろ。
で、毒?かガス?で家族が死ぬ描写。(どっちか分からないので確認します)
細かいなーと思ったのはテリの見開かれた瞳と吐しゃ物。臨場感が違うし、本物感が出るよね。あと明確に死んでいることが分かる。

で、パーティ~草原までの流れだけど、ここはかなり省略されているのに、ちゃんと心理描写が分かりやすーい。
3人がダニーをよく思っていないこと。その中でペレだけ迎え入れていること。性格や人間関係がありありと出てていい。
クリスチャンは終始、とにかく優柔不断で楽な方に流されてしまう、また、利己的なところが垣間見える、ひと昔前のエロゲの主人公みたいな性格だなーと思ってた。
でも、そのくらいのがこの話のダニーには相応しいんじゃないかな。
ここの中で、途中ドローン撮影だろうなっていう撮影がかなり入るんだけど、それがまたすごーくいい。
俯瞰からの逆さま、垂れ幕からの正位置に戻る。後々のルーン文字のようだ。
あと、部屋のシーンでダニーが”家族”と聞いて耐えかねてトイレへ向かうシーン、そこから急に飛行機になるの、上手い見せ方だなーと思った。
余談だけど、車のナンバーが「ODW774」でちょっと運命を感じた。

スウェーデン到着
ようやく本題なんだけど、あんまりやっとだ!ってならないくらいの早さの導入部分だったの、すごいなぁ。
ここで出るのはやっぱり大麻とマジックマッシュルーム。
ダニーのトリップの仕方って、自然物だからかもだけど、かなり自然に帰依している感じがする。後半の花といい。
ここではバッドに入るわけだけど、その描写が本当にうまいと思う。
観てる側の不安感をきちんと煽るような描写で、存在しない夜と闇と妹を見せる。ダニーの中で家族の死はどれほどのトラウマなのかが、ありありと描写されている。
そんな最低の気分の中で、時間間隔も狂いながらホルガに行くわけだけど、ホルガは本当に楽園で夢の国・・・だったんだなぁ。
着くまでの道のりの中に、花が散りばめられているけど、あれはその描写だったんだなぁって。
私は、パンフレットとか見るまで、初見でそこまでホルガを楽園みたいだ!とは思えなかったので(多分、今まで創作材料にするために、ケルト系の事とかめっちゃ調べてたからかもしれない)、ああ、なるほど。ダニーにはそう思えたんだなーと思った。

初めのカルト的な祭りの祝詞の時は、ダニーは「なんだか怖いもの」と言って参加していなかったけど、認識が緩やかに変わるんだなぁ。
スキン・ザ・フールでクリスチャンが蹴られてたけど、蹴ったのはマヤ?かな?ここも確認。
で、開始から45分のところで出てくる(解析ページ談)タペストリーは、正直一番ショッキングだったんだけど(笑)、ショッキングな分、あとで、あっ・・・(察し)みたいになったから印象付けってすごいなー。ゆっくり映してたから、そこも計算なのかもな。
このあとで、ペレから言われてクリスチャンがケーキ渡すけど、点かないロウソクと、赤ん坊に気をとられるダニーとでかなりのズレがあっていい。
その上で、ダニーがすぐに吹き消すの、この時点で少しずつ、ダニーは変化が生じ始めてるのかも。

日が明けて、冒頭と同じ曲が流れた瞬間に、ああ、これから本当の祭りが始まるのだなーと思った。
ちょっとそわっとした。
儀式前の食事のテーブル配置もルーン文字で、オセルになってる。
これは歴史や慣習、風習、土地、または精霊だったり。
これが俯瞰だと逆位置・・・ということは、時代遅れや風習への反発のような意味(なんだって!調べた!)。
つまり、これは主人公たち側の、これから起こることへの反発心なのかな。
あと、青はケルトの宗教儀礼の色だからで、鳴らされる鐘4回は、季節の一巡りを示してるのかな?

アッテストゥパンの残酷シーンは、見せ方がすでにオマージュというかインスパイアだったのね。
ここ、声の聞こえ方や映像の送り方、加工、いろんなものがダニー視点でゆっくり濃密に描写されている。
それだけショッキングだったというのが伝わるし、実際ちょっと心臓きゅってなった。
それにしても、あそこまで見事に岩で砕かれた顔面をはっきりと見せるとは思わなかったし、木槌で3人で顔面を潰すところとかも、一瞬館内が凍り付いたり、後ろの人が息を飲むのを聞いてしまったよね。
あれ、全部真っ白の空間で、日差しで白飛びしてるから赤がすごく映える。

夜になってペレがダニーを引き留めるシーン、クリスチャンのベッドの上の絵がセックスの儀式してる絵で、後々ああ~~~~ってなった。
(ダニーのとこはメイクイーンの絵だったね)
ここで出てくるのは睡眠薬。ここでもダニーは悪夢を見ている。
悪夢のシーン早いから、二週目で確認したい。(確認事項がありすぎる)

次の朝、後ろで何気にヤギ割ってるの怖すぎて笑う。
前日の不穏を引きずって、この辺りから物語が加速している気がする。
この日は特に大きな儀式はないけれど、マークとジョシュがゆっくりと死への道を歩いていたり、ここに来てクリスチャンが身勝手さを出して来たり・・・と主人公たちの人間関係が徐々に崩れ始め、それでも唯一保っているのはホルガ出身のペレとイングマールだけ。
この日のディナーシーンは、マークの愚かな行為による村人からの敵視と、クリスチャンとジョシュの仲間割れによって、一番異様な雰囲気がする。
陰毛ミートパイはあれだけど、ドリンクにも経血入ってるよな、これ。
ミートパイといえばだけど、ダニーがゆっくりとホルガのコミュニティに誘われて溶け込んでいっているのも、心を許し始めている描写かな。

その夜、ジョシュはマークの皮を被った人に襲われるわけだけど、このマークの皮、陰茎取られてるよね?
ホントに去勢されちゃったんだなぁ。
これが”愚か者の皮剥ぎ”だって思い出したのは、普通にパンフレット見た後でした。

次の日のメイクイーンを決める祭りのメインイベントだけど、ここのダニーの服のルーン文字、解析ページで見てめちゃめちゃエモだった。
ダニーにはこの後も幸せになってほしい。

あんまりこの辺視覚的に見せ方が良くてメモ取り忘れちゃってるんだけど、たぶん、クリスチャンって論文のためにセックスの儀式を受け入れたんだろうなって思う。
若くてかわいい子に求められたり、ダニーに疲れていたり・・・といろいろ要因はあったんだろうけど、ぷっつり何かが切れてしまう引き金ではあっただろうな。

その上で、踊るダニー。
薬が回ってきてグッドトリップするのは、吹っ切れたし、この時点でもうホルガに呑まれてたんだろうなって思う。
既に家族の一員として空気が変わったダニーは、そのあとのクリスチャンと心も体も離れてるし。
そもそも、クリスチャンはこれ、バッドトリップしてるよね?
手が震えてるし、ハエや悪いものばかり見えて強張っているし。
女王になったダニーの服、ゆっくり花が増えている(ように思えたけど気のせいだったらごめん)の、いい方向へ向かっていてすき。
そこから女王の儀式をして、大地を鎮める儀なんだろうけど、自分の代わりに亡骸を埋めてるようで、転生って感じでいい。

その間にセックスの儀をするクリスチャン。
ここ!ここなんだけど、セックスの儀って普通に神聖なものとして扱ってると思うので、正直モザイク要らなかった。
せっかくの神聖なものが、モザイクをつけてしまうだけで、一気に下世話な感じがしてしまって興ざめ・・・というか残念。
それなら、R18にしてでもモザイク無しにして欲しかった。
暗がりではモザイクなかっただけに謎。

そのあと、女王の儀を終えてセックスを目撃してしまうダニーだけど、女王になってから、ここだけ冠取ってるのよね。
つまり、ここはダニーが”女王”ではなく、一人の”女性”としてクリスチャンを見る最後なのかなーと。
女性として覗き見たダニーは、嘔吐するんだけど、後にも先にもダニーが嘔吐したのってここだけで。今まで嘔吐すべき場所はたくさんあったのに。
個人的な解釈で、嘔吐するって、とてもショックで受け入れ難いものを、受け止めきれずに吐き出すだと思うんだよね。
で、今まで隠れて泣いていたのを、ここで初めて女性たちと一緒に大声で発散する。
これは畏怖すら感じる叫びのシーンなんだけど、これが共同体の中の、過干渉はしないが、受け入れて寄り添うという、家族の愛情の形なんだろうな。

フィニッシュを迎えて、我に返るクリスチャンだけど、そこでようやく狼狽する。
そこで初めて、今まで見えていなかったものをたくさん見るわけだけど、この魔法が解けて見えてしまった感じが、コミュニティに受け入れられなかったんだろうなーって、ダニーとの対比描写なのかな。

で、最後の儀式まですべて終えて。
ここでダニーが人として満たされたり、成長したり、解き放たれたり・・・
いろいろな感情が、最後の笑顔にすべて詰まってると思う。
私はあの笑顔と最後のシーンを見たときに、開放感を覚えました。
思わず息を深く吐いたし、とんでもない怪作だと思いました。
とにかく、全てが全て無駄なく終わった。
感情の追いかけ方も映像の見せ方も音の心理描写も、光の差し込みも明暗の付け方も、全部が全部理に適っていて、とにかく、とにかくよかった。
細かいルーン文字とかは、きっともっと詳しい人や、そもそも公式が補足してくれてるので割愛しとこ。

私はスリラーが好きと言いながら、あまりちゃんとスリラー作品を観たことがないんですが。
その数少ない視聴作品のうちの一本がこれでよかったと思う。

短く収めたつもりだったけど、それでもやっぱり長くなっちゃった。
正直、エンディングは人によってはうーんてなると思う。
でも、私は紛れもなくハッピーエンドだと思ったし、あの笑顔で物語は終わりでいいんだよ。

だって、アリ・アスター監督曰く、これは「恋愛と失恋、再生」の物語なんだから。





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