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読前日記

本やCD、お洋服やらなんやらを買ってしまうことを、とっておきの“邂逅”だと思ってしまうせいで、ついつい買い物がはかどってしまう、ちばひなこです。いつのまにやら、あれやこれを連れておうちに帰ってしまうわたしの買い物日記を付けてみようかなと思い、筆を執っております。初回の今日は7月3日にABC青山本店で爆買いしてしまった見知らぬ本たちについてです。

全て「読前」であって、読了ではないので、わたしとそれぞれの「連れて帰ってしまった本たち」との邂逅についてしか書いていないです。なので、ネタバレは存在しませんので、安心して読んでね。

さて、まずは何故その日にABCに行ってしまったのからお話を始めましょう。ABCは通っていた大学のすぐ近く。わたしにとっては、なんとなく懐かしい香りのする場所のひとつ。
時は、7月3日のおやつを過ぎたころ。前職で取引先だったブランドにお茶しよ!といわれて、ひょこひょこ行ってみたら、仕事をちょっと手伝ってほしいといわれ、うれしいなあ~会社辞めてもお仕事できるのうれしいなあ~と浮かれポンチになっておりました。そんな、ごきげん極まりないわたしは、え~このまま帰るのもったいないな~寄ってっちゃおうかな!ABC!と鼻歌交じりにむかったのです。

鼻歌交じりで向かう、これは危険信号。しんどい!無理無理!で向かう時よりは安全ですが、ごきげんなときはしんどい時の次に“邂逅”を感じやすくなってしまっている時なので、簡単に諭吉が溶けてしまいます。(実際溶けました。仕事辞めたてで無職なのにね。)

今回のお品書き

左から「うたうおばけ/くどうれいん」「汗の果実/松本てふこ」「PUBLIC HACK/笹尾和宏」「人類学とは何か/ティム・インゴルド」「彼女の体とその他の断片/カルメン・マリア・マチャド」「永井宏 散文集 サンライト/永井宏」「アルテリ八号/責任編集田尻久子」。敬称略。カゴに入れた順。

出逢った順では「サンライト」→「彼女の体とその他の断片」→「うたうおばけ」→「汗の果実」→「人類学とは何か」→「PUBLIC HACK」→「アルテリ」なのだが、「サンライト」と「彼女の体とその他の断片」は一度手に取って、一度置いて、2周目の徘徊で、いややっぱり…と連れたものなので、カゴに入れた順そのものが今回のお品書きです。

ではさっそく、
1冊目「うたうおばけ/くどうれいん」

7冊のなかで、今回、最も“邂逅レベル”が最も低いのはこちら。何故なら、事前にこの本のことは知っていたし、なんなら事前にほしいと思ってしまっていたから。「わたしを空腹にしないほうがいい」を荻窪のTitleで邂逅してしまった2年前から、くどうれいんさんのことがすきになってしまっているので、これは邂逅レベルはとても低いです。(2年前の邂逅レベルはとても高かった。)ただ、唯一の邂逅ポイントは、こちら著者サイン本なんですよ…別にサイン本マニアでもなんでもないのですが、ふーむ、サイン本か、今日買っちゃうか。とカゴへ。

さて、2冊目。「汗の果実/松本てふこ

こちらの邂逅レベルは中。なぜなら、こちらはABCといえばの、入り口付近の特集コーナーの一部、しかも「くどうれいんさんのおすすめ」のコーナーにいたから。そりゃ、すきなひとのおすすめはついついみちゃうでしょ。というわけで、邂逅レベルは高ではなく、中ですが、決め手はアイドル時代に夢中になった夢眠ねむさんを彷彿とさせるやさしいミントグリーンの色と、「汗の果実」の文字がちょっとだけ汗を拭いたかのように擦れているところ。決めて部分はしっかり“邂逅”なので、邂逅レベルは中、とさせていただきます。くどうれいんさんのコーナーにあるってことはきっと短歌の本なんじゃないのかな。ちょっと縦に長くてみないサイズなのもかわいいな。それから、このイラストも可愛いな。わたしは兎にも角にもみどりいろがすきなのですよ。

はい、つぎ。3冊目。「PUBLIC HACK/笹尾和宏

こちらの邂逅レベルも中。なぜなら、わたしは明確な目的として「まちづくりとかそういう本ほしいなあ」と思いながらドン突きの建築コーナーに向かってしまっていたから。なぜ目的意識を持ってしまったのかというと、絶賛転職中のわたしが「持続可能で幸せな未来につながる仕事」を探すなかで、公共ということや公民連携について非常にいま非常に関心を高めているから。でも、別に、具体的な1冊のことではなくざっくり仕事のこと考えたいから建築コーナーも見ていくかってくらいの理由だったので、まあ目的は目的だけど、セーフでしょう。ということで邂逅レベルは中。それにしても、建築コーナーの、特にまちづくりらへんはR不動産だらけなのね。びっくりしちゃった。R不動産ばっかりねえ!と思った中、R不動産じゃなかったことと、「まち」に対して「私的に使う」とうたっていたところに惹かれてカゴへ。公共といえば、わたしはいまだに渋谷の公園跡地にルイヴィトンが建つことには眩暈を感じているからね。全然いいんだけど、せっかくの公の場所だったのに、すごく限られたひとしか入れない場所になっちゃって寂しいな、みたいなそういう眩暈です。

では、「人類学とは何か/ティム・インゴルド」、
4冊目。

これは、邂逅レベル中の上ですね。最近、「人類学」的な本が家に集まってきているので、やっぱりざっくり興味がある分野なのだとは思うのですが、この本の決定打は「他者と“ともに”学ぶこと」のコピー。さっきも公共が~、などと少し書いていたが、最近は本当に他者とどう共に在るのか、生きていくのかをよく考えているし、educate your selfではないけれど、学ぶということに対しても改めて絶対的必要性を考えさせられているので、はーー!これこれ~!と。青い森のイラストも可愛いし、青い森にトナカイさんが潜んでいるの劣っても可愛いね。青い森は帯のようだから、帯をとるのも楽しみにカゴに入れました。は、じゃあ、帯とってみるか。わ~~~!細かい森が出てきた!これは、森の!引き画!ですね!せっかくだから、カバーの内側も…、ひゃ~~~今度は銀色の森!遊び紙が落ち着いたブルー(表紙の青とは違う色)だから、銀が映えますね。いい気分!

よっしゃ!つぎ!5冊目!
彼女の体とその他の断片/カルメン・マリア・マチャド

これは、文芸コーナーも文庫コーナーも全部まわりきって、一回トイレにも行って戻ってきてから、さっきもこれ目についたんだよな…っていうか先月の新宿紀伊国屋でも目についてたよな…こんだけ会うんだからな…およ、ポップついているじゃん、ふむ、マチャドは最高、とな。誰が言っているんだ?松田…青子…さん…?は!「ワイルドフラワーの見えない一生」の松田青子さんか!およ、っていうか、松田青子さん訳者なのか!ワイルドフラワー、ブローティガン(だいすき)を読んだあととはちょっと違うんだけど、どちらかといったらそれに少しだけ近いようなきもちになる、すきな短編集なのよね。よっしゃ、これは邂逅レベルを上げてきたな!中の上!カゴに入りたまえ!

入り口までまた戻ってきて、
6冊目「永井宏 散文集 サンライト/永井宏

目についたと言えば…とABCの入り口まで戻ってきて、入店時最初に目についたこちらの元へ。いやあ、かわいい。赤いチューリップなのだろうか。ぱっと見たときは、平面的に見えていたけれど、よくみると底の部分から折り曲がって、立ち上がっている。赤い部分には、ペンキのような質感もある。なんなのだろう。かわいいあのこのおうちに飾ってある素敵な絵みたいな表紙だな。ABCの入り口脇すぐのおおきな特集にドンと置かれていて、あまりにそれっぽすぎるから、とスルーしたが、まじまじみると、やっぱり、手に吸い付いてくる感じもあって、どうにも気になる。全体がまっしろではなく、ちょっとだけやさしいきなりみたいな色なのですよ。はぁ。カゴにおはいり…夢をみよう…これも邂逅レベルは中の上ね…だって手に吸い付いてきちゃうんだもの…

ラスト、7冊目、
アルテリ八号/責任編集田尻久子

今回のBEST邂逅はこちらですよ。もう、買いすぎだよ、絶対に買いすぎ。諭吉きっと溶けてるよ、無職だし、貯金も大してないんだから、本当にだめだよ、早くレジへ行こう、今すぐ行こう。長居をしてはいけない(すでに45分くらいいたけど)。と、レジに向かおうと、くるっとターンをして、方向転換をした、その時。左斜め下にめちゃくちゃにかわいい小花のこちらが、ちょこんと2冊、視界に見切れてきてしまったのです。しかも、写真では取り外してしまったのですが、お腹に大きな透明ベルトを巻いており、中がなんなのか、なんにもわからない!「アルテリ」という響きからなんらかやさしそうねくらいしか読み取れず、アルテリの文字の丸っこさと太さからも、なんらかやさしそうねとしか読み取れないまま、八号ってことはきっと雑誌なんだろうな。季節に一回なら2年目、年に二回なら4年目の雑誌かしら。なんのジャンルだろう、にしても小花がかわいいな。裏にも情報が…なんにもない…出版社がどこかすら分からない…定価が本体1,000円+税なことだけがわかる…まったく…こうやって最後にとんでもない邂逅を与えてくるんだから本屋探索はやめられないよ…2冊しかいないんだろ…そりゃあ連れて帰るさ…

あとがき

あのタイミングでレジ行きを決意しておらず、くるっとまわったターンがもし逆回転だったら、きっと視界に入ることがなかったであろうアルテリが今回のお買い物のBEST邂逅レベルをたたきだしましたね。

今回の邂逅記録はここまで。さいごまでお読みいただき、ありがとうございます。なんにもネタバレしてなかったでしょ。わたしのお買い物、たのしそうでしょ。たのしいよ、だってひとりで様々なものに邂逅できちゃうんだもの。ちゃお!

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