#4 調査PRのパターン(機会訴求①|お墨付き・境界線)
こんにちは。
シグナルリサーチの木須です。
今回も覗いていただき、ありがとうございます。
前回の記事では、調査PRの体系図を目的・目標・手段に分けて整理しました。
今回は、「調査PRのパターン(機会訴求①)」ということで、露出する調査PRに隠された型について書きたいと思います。
機会訴求とは
#3で紹介しましたが、調査PRの手段の中に「機会訴求」が含まれます。
機会訴求とは、商品/サービスを利用する"きっかけ"となるような情報を提供することによって一歩踏みを出してもらう訴求方法です。
例えば、「●●は医者が勧める生活習慣です」「○人に1人が●●を使ってみて良かったと感じている」のように、利用のきっかけとなるようなファクトを調査によって明らかにするものになります。
では、機会訴求にはどのようなパターンがあるのでしょうか?
一つずつ事例とともに整理していきます。
お墨付き
一つ目は、「お墨付き」です。
お墨付きとは、知名度や権威のあるものを取り入れて、納得感の醸成や説得力の強化を図る手法です。
「場所の権威性」と「人物の権威性」での訴求方法があるので、事例をもとに具体的な内容を紹介していきます。
▼オリーブに関する調査(クラシエホームプロダクツ)
場所の権威性を用いた事例です。
香川県の小豆島は、オリーブの名産地として有名な島です。
オリーブと言えば、美肌に効果があることで知られています。
このことから、「小豆島に住む人は実年齢よりも肌年齢が若いのではないか?」という仮説をもとに、小豆島で肌年齢を測定する実証実験を行いました。
結果として、「小豆島に住む女性の肌年齢は実年齢よりも約3歳若い」ということがわかりました。
このようなことが明らかになったことで、「オリーブはやっぱり美肌に効果があるんだ」という認識をファクトを用いて広げることができるようになり、利用者の増やす"きっかけ"を提供することに繋がります。
▼血栓症と飲酒習慣に関する調査(霧島酒造)
医者の権威性を用いた事例です。
生活者と医者を対象に行なった調査(ともにアルコールユーザー)で、
「生活者が思う、健康維持に繋がると思うお酒」と「医者が選ぶ、健康維持のために勧めたいお酒」にギャップがあることがわかりました。
生活者は「ワイン」が健康維持に繋がると思っている一方で、
医者は「本格焼酎」が健康維持に繋がると思っていることがわかりました。
このように、医者が勧めるものを明らかにすること、さらには生活者の認識とギャップがあることを調査によって顕在化させることで、生活者が商品を手に取る後押しとしての情報開発を行なっています。
境界線
二つ目は、「境界線」です。
境界線とは、抽象的な物事/言葉の認識の違いを生活者の総意から明らかにすることで、親近感の醸成や情報への興味を引くことを図る手法です。
「Yes or No」と「A or B」での訴求方法があるので、事例をもとに具体的な内容を紹介していきます。
▼フレーバーウォーターに関する調査(JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニー)
「Yes or No」の事例です。
"その事象が許されるか、許されないか"を生活者の総意から導く事例です。
仕事中に飲食しても良いものとしてはいけないものの境界線を明らかにしているもので、"ミントタブレット"は仕事中の飲食OKで、"ジュース"は仕事中の飲食NGという結果になりました。
もちろん、これが絶対的なルールというわけではなく、会社によって許されるものと許されないものがありますが、これが日本のおおよその仕事上で飲食しても良いものの価値観になります。
「自分の会社ではスナック菓子も許されている」、「うちは炭酸水はダメだ」など、これを見た生活者が自分ゴト化させてSNS上で情報を広げてくれる可能性もあります。
▼スイーツに関するアンケート(モンテール)
「A or B」の事例です。
"その事象は、Aに分類されるのか、Bに分類されるのか"を生活者の総意から導く事例です。
和菓子と洋菓子の境界線を明らかにしているもので、様々な食べ物がある中、「カステラ」は"和菓子"だと答えた人が55.7%、"洋菓子"だと答えた人が44.3%となり、カステラが和菓子と洋菓子の境界線にある食べ物であることを明らかにしています。
このように、物事に隠された境界線を調査によって明らかにすることで、生活者がその商品に関する情報に触れる機会を提供し、親近感を持たせ興味を引くことができます。
さいごに
以上、今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回は調査PRのパターン(機会訴求①)について整理しました。
次回は「調査PRのパターン(機会訴求②)」というテーマで整理できればと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします!
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