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「ハリネズミの恋」

いわゆる、セルフライナーノーツ的な記事です。こぼれ話だと思って、読んでください。

1. ハリネズミの恋

曲を作るときは、一つのアイデアをずーっと反芻して、いろいろ試して曲にして、メンバーに聞いてもらうってことが多いです。でもこの曲を作ったときは、最初から頭にメロディと、ギターとベースとドラムが鳴っていました。最初から僕の中でほぼアレンジが決まってたんですね。
会社の行き帰りの電車の中でドラムを打ち込んで、それに合わせてベースを弾いて、ギターを入れて。ギターソロとかも、最初にブワーって弾いたアイデアをそのままレコーディングに使いました。それぐらい、いろんなイメージがスッとハマった曲です。歌詞についても、メロディが出来上がっていくのと同時にスルスルと言葉が乗っていった、そんな感覚で書きました。

実際のところ「ハリネズミ」というモチーフというか、言葉は、宮崎さんがある時ポロっと言ったのを使ったんですよ。
もともと自分自身、人間として?社会の中の一人としてやっていく能力は低くて、誰かのことを慮った発言とかできなくて。そんな自分を分かっていながら「そういうヤなとこあるよね」ってつつかれると、なんか気持ちが下がってしまう、だまれだまれー!って、余計に傷つけたりする、、みたいなそんな話をしていて、なんじゃそりゃ、ハリネズミか?っていう流れになって……そこまで細かく覚えてるわけじゃないけど。
そのときの自分も「ハリネズミ、、、??」ってなって、よく分かんないままその日は別れて。そのまま、翌朝出勤して帰ってきたら曲ができていた。という。笑

まあ人間だいたいそうかもなーって。自分が傷つきそうなことからは全力で自分をかばうし、勢い余って誰かを傷つけたりしてしまう。けれど、そんな自分にも向き合ってくれる人がいるから、なんとかこう、人の中に紛れて生きていけるのかも。そんな感じの曲です。

2. 君になりたかった

この曲は、スタジオ店員のバイトをしていて、夜勤ばっかしてたときにつくりました。長い長い夜が明ける歌です。
ある日、バイトで一緒にシフト入ってた子が「○○さんみたいになりたい〜」とよく言ってて。でも、見た目から性格から、似ても似つかぬ相手を指して言うんですよ。僕は最悪なので言いました。「無理っしょ」と。こうやって書くとまじで最悪だな。

まあ、実際無理なんですよ。それに「あの人みたいになりたい」と思いすぎると、一生何にも満足できないと思う。要は絶対に叶わない願いごとを必死で叶えようとしてるわけなので。
憧れも度がすぎると、違う人間だから好みなんかも違うに決まってるのに、その違いを全部「間違い」と勘違いしてしまうんじゃないかって思うんですよね。そのうち、憧れのあの人とは別方向で輝く人がいて、そっちも好きだなと思い始めたとき、それまでの自分の価値観を、全部ダサいと思ったりしてしまうんですよね。今までの自分にも、今まで自分が憧れてきたものへも、すごい失礼だけど。

でも、それを間違いだとして、そんな自分を捨てようとしたって、捨てる場所なんてないんです。じゃあ何、思い切って死ぬか?いや、そんな勇気もない。だったらもう、間違ってきた自分も背負って、正解だと思うドアを片っ端から開けていくしかないんですよ。ドアって何枚あるのかわからないけど。それでも間違いすぎて、途中で力尽きるかも知れないけど。

そんなことを考えた数日後、同じ口でそのバイトの子が言いました。「杉本さん、私は○○さんにはなれないけど、○○さんも私にはなれないんすよ!」って。この子、すげえなぁって思いました。まじで。笑
そうだよな、ただの「違い」なんであって、自分は間違ってるんじゃない。憧れの人も、それに憧れてきた自分も、何も間違いじゃない。
その日も夜勤で夜明けに眠ったんですけど、帰りながらパスピエの「贅沢ないいわけ」を聞いてて、それも夜明けのイメージがある曲で、少し引用した、、、笑 といういきさつの歌です。

3. 夢見る地下室

この曲も、タイトルだけはたぶん5年くらい前からあったんじゃないかなと思います。「夢見る地下室」って、ライブハウスとかスタジオのことです。地下じゃないとこもいっぱいあるけどね。
ほんとうに偶然なんですけど、このフレーズが浮かんだ瞬間ていうのは、友達のバンドを見に、扇町Para-diceに行った時なんですよ。そのときは今みたいに社会人やりながらバンドしてますていうのを表立って言ってる人はまあ少なくて、バンドマンはもっとバンドマン然としていたような気がします。
パラダイスというのも古き良きライブハウスのイメージを保っているハコで笑、そんなハコでライブを見て、「夢見る地下室」というフレーズが浮かんだんですよ。

それからずっと、続きの歌詞も何もできないまま、2019年の3月になりまして、南堀江knaveに出演したときのことです。knaveって終演後に軽い乾杯をするんですけど、その日はたまたまなかったんですよ。すぐみんな帰っちゃって。もともとライブハウスなんて、演者も一期一会なこと多いし、それが普通なんですけどね。企画とかじゃない、日常のブッキングライブの夜だったし。
だったけど、なんかさみしいよな〜〜〜〜って思って家でギターを弾いていたら、頭から最後までがバーっと出来上がっていきました。書き始めたら早かったですね、これも。

自分としてもいい曲ができたな〜と久々に思えてるんですけど、そういういきさつがあって、この曲が入ったCDをパラダイスで出せたってのはすごく自分にとってなんかある感じに思えてます。

終わりに

だいぶフワッとしたことしか言えてないけど、詳しくは曲を聴いてください。!CDはライブ会場で売ってます!

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