見出し画像

6年待った、バニラズ武道館。〜①ライブ前〜

僕が初めてgo!go!vanillasを知ったのは、2014年。
当時、スペースシャワーTVのPUSH UPアーティストとして、マジックのMVが流れていた。
最初は、「何この楽しそうなバンド」という印象。
でも確かに、牧さんの書く日本語ロックな歌詞に惹かれていた。

気まぐれな未来が彩る あまねくマジック

すごく繊細な、それでいてすごく聞き心地の良い言葉選びだと思った。
それからエマのMVを観てハマり、オリエントや人間讃歌といった過去曲に惚れ、僕のイチオシのバンドになった。

バニラズにとっても、ファンである僕にとっても、色んなドラマがあった。
僕が大学生でライブ参戦三昧だった頃、ギターのりょうやさんが脱退した。1週間ぐらい勉強もバイトも手に付かなかった。それに代わりしんちゃんが加入した時は、複雑な気持ちながらもすぐに「かっけえ…」となり新生バニラズも大好きになった。そしてプリティさんが事故に遭った時は、身内が植物状態になったかのようにそわそわして怖かった。奇跡の復活を遂げて迎えたライブで、僕はバニラズの光が何百倍にも輝いているのを目の当たりにした。
他にも書ききれないが、とにかくそのストーリーに心を動かされてきた。

同世代としては、KANA-BOONやSHISHAMO、オーラルなどが次々に武道館ライブを成功させていった。(多分同世代?少なくともファンから見ると)
僕は一緒にライブ巡りをしていた友達と、バニラズが武道館に行けない理由を評論家気取りで話し合った。「タイアップが無いからだ」とか「ファンの年齢層が低いからお金出せないからだ」とか。そういう、当たってるとも外れてるとも言えない話をする度、周りがなんと言おうと好きだ、と思う気持ちは強くなっていった。
そして「初めて行く武道館はバニラズ」と決めていた。
大好きなバンドの夢は、僕の夢になっていた。

当日は、コロナ第三波なるもので開催も危ぶまれる中、地方から飛んでくる僕も、例にならって懸念していた。一緒に行く予定だった友達が、職場の都合で行けなくなってしまったからだ。Twitter上でも、同じように悔やまれながらもキャンセルという投稿が多くあり、恒例のチケット譲渡ツイートは【譲ります】の方が多かった。

この世間の声の中、有休を取ってまで東京に来ることが正解か分からないし、僕が全く別の立場だったら信じられないと思うかもしれない。
でも今の自分にとっては、ここで行かなかったら待っていたのを取り返すように、6年間ぐらいは後悔しそうだと思った。

一人で来た東京。友達と観て、聴いて、感じるはずだったバニラズの武道館ライブ。友達は「俺の分まで暴れてこいよ」と言ってくれた。当日の朝はスカイツリーの見えるホテルのデッキでオリエントを聴いた。

僕を駆り立てるここは東京
湧き出る言霊に身を任せ
これからも生きていこうと思うよ

複雑な気持ちが消えたわけではない。
けど初めての日本武道館に向かう僕の心は、やっぱりわくわくの方が圧倒的に勝っていた。大好きな人たちに会いに行ける、生の音が聴ける、夢が叶う、僕にとっての生きがいを感じることに後悔はなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?