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サブスクで聴けるミクゲイザー入門名盤10

何か間違った事ばっか書いたらやだなという理由で書くのを渋っていましたが、間違っても良さが伝わればいいかなという気持ちになったので書きます

・ミクゲイザーという場所

初音ミクとシューゲイザーでミクゲイザー。ニコニコ動画にはボカロ曲に、何かしらもじってジャンルが分かるようにタグをつける文化がありますが、(VOCAROCK、ボカムンベースなど)そのひとつです。
初音ミク以外の合成音声がいっぱい出てきて「ボカロゲイザー」、「UTAUGAZER」みたいなタグもありますが、どの合成音声が歌ってたとしても僕は合成音声のシューゲイザーの総称として「ミクゲイザー」と呼んでいます。

Rate Your MusicでV.A.「mikgazer vol.1」がめちゃくちゃ評価されてることは知ってる人もある程度いるかと思います。

2023/5/9時点での「Shoegaze」のチャート

ですがこの作品、サブスクにありません、僕が今すぐ聴けるミクゲイザーの名盤を紹介してみんなで楽しんでやるからな

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1:Wintermute「Stray Light」(2009)

2007年から投稿を始めている、まさしくミクゲイザーの元祖というべきWintermuteのアルバム。シューゲイザーとはいっても、過剰な残響感のあるギターが轟いている様子はなく、割とインディーロックというか、パンクというか、その辺りが基盤にある気がする。

でもちゃんと、ストレートにギターで場を覆っているような感じ。シューゲ苦手な人にも勧められるかもしれない。あとボカロの声も聴きやすい。全体的にポップなのでミクゲイザーの最初の1枚に最適!気に入ったら「Blood Color Flower e.p.」も聴いてね。

2:36g「The raingazer's song」(2010)

俺はエフェクターを踏んで轟音で激しく包むシューゲイザーが大好きなんだ!そういうのを聴かせろ!という方はここから入るのでも良さそう。Wintermuteよりはもっとオルタナティブロックという感じがある。けれどもメインというか音楽の中心にはミクのボーカルがある。メロディが良い。ここと音が合わさることで気だるげな優しさみたいなものが溢れ出ている。ラストのタイトル曲「The raingazer's song」、お前のことだぞ。

途中ポップな曲や夏祭りみたいな曲もあるがこれもミクゲイザーを掘る上、語る上で必要不可欠なアルバム。

3:nakanoise「ユリカゴカラハカバマデ」(2010)

nakanoiseのミクゲイザーからはとても「J-ROCK」を感じる。ロックバンド感というか、疾走感などといったものがある。実際にのちにバンドやったりもしている。そして良いジャケット。

分かりやすくかっこいい、印象的なメロディを作るのが上手いというイメージを持っている。それが翔ぶようなギターに乗ったらどうなってしまうというのか。ミニアルバムということもあるが、最初から最後まで勢いを殺さず、むしろぐんぐん伸ばしていくような作品だと思う。(もう一枚のアルバム「ナガレモノノ儀」を紹介しようかとも思ったが、そっちは長いポストロック~アンビエントのインスト曲があるなどするのでこっちの方が掴みやすいかと思ってこちらを選んだ。)

4:kinoue64「空間、事情、時間、事象」(2022)

いきなり10年以上も時代を飛ばして2022年。重点的に紹介すべきは最近の作品かなとも思って。kinoue64はタイトなドラムに嬉しい轟音と極端に歌詞が聴き取りにくいボーカルを乗せることを特徴とする。でもメロディは際立って聴こえる。不思議。「放課後、通学路。」ではほとんど何言ってるか分からないけどボーカルがポップさを担っている。

なんというかこの人の魅力は人間みの無さというか、漂っている感じが特徴である。(追記→)でも最近はこのアルバムのカセットテープがリリースされたり、Twitchで配信もしたり、精力的になってきている。

5:翁「発見集」(2014)

シューゲイザーと、別のジャンルを合わせて新しい音像を追求していくアーティストはいっぱいいるが、翁はポストハードコア風味のシューゲイザーをこなす人である。というか基盤はポストハードコアやパンクの方にあると思う。そうでもないかもしれない。でもパンクの遺伝子はあるはず。エネルギッシュな轟音を楽しもう。

また、「触れて憧れ覗いて夢」ではノイズギターを電子音楽的な発想に持ち込むなどもしている。パワーの一本軸というわけではない。アコースティックな曲もあるよ。

6:nerdneko「CURE」(2022)

少ない曲数、短い時間でいろいろな表情を見せるアルバムはたくさんあるが、この作品もそのひとつなんじゃないかと思う。明るめの疾走感を持つタイトル曲「CURE」の次にどこかシリアス感じがある春曲「五月の海」。2つのインスト曲はシューゲイザーではないが、遠くの景色が見えるような感覚を憶える美しい音楽である。

特に僕が好きなのが「サマーゲイザー」。暑苦しくもなく、爽やかでもない、かといって日常的でもないけど非日常的でもない流れるような夏の空気感を程よく空間を覆うギターで奏でる名曲。


7:はるまきごはん「BLUE ENDING NOVA」(2017)

ポップながらもどこか毒のあるソングライティング、壮大な世界観の構築とそれを上手く表現するMV、本人歌唱(セルフカバー)とライブなど、色々な方面に力を入れているはるまきごはんだが、活動初期はオルタナティブロックを中心に制作していたこともよく知られており、根強い人気もある。
…ということを最近思い出して彼のこの1stアルバムを聴いたら驚いた。もうシューゲである。それもどこか宇宙的な、バンドサウンドの域でどこまでも飛んでいこうとするようなパワーも全編通して感じる。

活動初期は~とか書いたが、最近のアルバムにもミクゲイザーが潜んでいる(例:「幻影EP -Envy Phantom-」収録の「Phantom Spring」ではハードロックを感じるミクゲイザーをやっている。)。そしてはるまきごはんに影響を受けた、ロックをやっているボカロPも多くいるはず。そのため、最近のボカロックが好きな人こそ聴いてほしい。壮大だけど聴きやすくはあるオルタナティブロック/シューゲイザーが君を待っている。

8:神尾けい「月夜の星と彼女の夢」(2020)

神尾けいは2011年に初投稿ながら、2020年に初めてのアルバムとしてこれをリリースした。内容というかテーマはそのまま「星」や「夢」のようなシューゲイザーがとても合うものである。曲のタイトルにもそのような言葉がいっぱい出てくる。

僕個人的に最近、宇宙みたいなシューゲイザー好きだな…ということに気づいたためこの作品もドストライクである。あと要所要所のメロディがとてもいい。どうしようもない夜に聴きに戻ってきたい作品だし、他の人にもそんなときに聴いてほしい作品である。

9:inuha「ひとり」(2023)

この中でいちばん新しいしいちばん短い。inuhaは全部シューゲイザーというわけではないが、音・言葉共に突き刺さるシューゲイザーを生み出すことができるボカロPである。

そんな彼の音楽には、このEPのタイトルからもとれるように、孤独感みたいなものがある。でもそれは絶望的なものでもない。まあトップバッター「南極にいるみたい」はポストロックも経由したような苦しさすら醸し出す轟音を魅せてくるが、「カラフル」では打って変わって疾走感があり、ポップである。いわゆる「鬱ロック」とも違う、大袈裟でもない仄暗い気持ちなどを包んでくれるようなミクゲイザーである。

10:路傍の石「泡沫の中で」(2020)

様々なシューゲイザーやインディーロックバンドでベースを弾いている方がソロのボカロPプロジェクトとして活動している、路傍の石のアルバム。彼の音楽にはインディー精神が溢れ出ている。どこか不器用に感じる瞬間もあるが、そこをカバーして武器にするパワーを持ち合わせているのである。00's年代の日本のロックに特に影響を受けているようで、鬱々としたエネルギーも感じる。

シューゲイザーだけでなく「dead」のようなグランジテイストの曲もあり、インディーロック、オルタナティブロックが好きな人にも聴いてほしい。

追記:2枚目のアルバムも出ました!


・おわりに

今回紹介したアルバムをまとめたプレイリスト、ではなく、僕がSpotify上でミクゲイザーを集めまくっているプレイリストを載せておきます。ドリームポップも入れるよと書いておきながらドリームポップは少ない。聴いてください!


それでは!


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