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クラインの壺

表紙の写真はクラインの壺の模型です.有名なメビウスの帯は裏表のない1枚の平面(2次元)ですが,3次元の世界でなければ作れません.面に表と裏があると考えること自体が,3次元から2次元を見ている証拠です.我々は3次元に住んでいますから,メビウスの帯を作るのは簡単なことです.メビウスの帯は,以下のエッシャーの作品に使われているものです.

エッシャーの1963年の作品からお借りしました

クラインの壺はメビウスの帯の3次元版で,表紙写真は3次元に存在するクラインの壺の模型です.巧妙にできていますが,3次元では壁を破らずにパイプが突き抜けることができません.パイプの穴が繋がっているとすれば,壁には穴がなければなりません.従って,本当のクラインの壺は4次元でなければ作れません.
ガラスで作ったクラインの壺の模型を,別の角度から見てみましょう.パイプの穴は繋がっていますが,通り抜ける壁には実際には穴(パイプ穴の内)が開いています.ガラス職人の見事な作品です.
クラインの壺とは,壺の外側表面だと思っていると,いつの間にか,壺の内側になっているというもので,これが,メビウスの帯の3次元版という所以です.

クラインの壺の模型

エッシャーの作品の多くは,部屋の内側にいると思うと外側に出てしまうと言ったクラインの壺と同様な,4次元でなければ実現できない3次元の世界が描かれています.

print gallery(1956) mcescher.com/より借用


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