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ヤングケアラー

ヤングケアラーの割合が中学生のおよそ17人に1人に上るそうです.介護や世話に使う時間は平日1日の平均で中学生の場合は4時間です.教科道徳では,「家族の一員としてあなたがすべきこと」という問いに対して,「進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つこと」が模範解答らしいのです.もちろん,これは正しいことで,ヤングケアラー達は言われなくても実践しています.しかし,社会の倫理が当然のこととしてこれを押し付ける雰囲気になることを恐れます.自助,共助,公助などと言う雰囲気が漂っている社会でありますから,結局,優しい人に責任をしわ寄せすることになります.イギリスの国民保険サービス(NHS)は,ヤングケアラーに対して次のような見解を発表しているそうです.

・・・・・でも,あなたはヤングケアラーとして,大人のケアラーと同じことをするべきではありません.また,誰かのケアをするために,あなたの時間を多く使うべきでもありません.それは,あなたが学校でしっかり勉強したり他のこどもや若者と同じようなことをしたりする妨げになることがあるからです.あなたがしたいと思う,あるいはしてあげられると思うケアのタイプと量を判断するのは大切です.また,そもそもあなたがケアラーとなるべきなのかどうかを判断するのも大切です.

私が小学生の頃は,日本は貧しかった.新聞配達したり,鉄屑を拾ったりして生活を助けて働いている友達もかなりおりました.担任の先生が,働くことも必要だが,今は勉強しなければいけない.勉強の妨げにならないようにコントロールするように注意をしていたのを思い出します.

社会全体が形式的な歯の浮くような模範解答で満ちているのは気持ちが悪い.「世のため人のため」と声高にいう人ほど信用できません.当たり前の形式だけのことをいう国会答弁と同じです.

このような模範解答を皆が口走る社会は,歯止めがきかなくなります.
昔,私は学芸大学付属小学校の受験をしたことがあります.
面接で「大きくなったら何になるか」という質問がありました.
面接が終わり控室に戻ってくると,周りの子供たちが親に報告しています.
「練習した通りに応えたよ」と.
そのような質問が出題されることを知っていて練習していたらしいのです.
正解(皆の答え)は「みんなの役に立つ人になる」と言うらしいのです.
私はそんなことは何も知りませんでしたから,思うままに,
「湯川秀樹のようにノーベル賞をとる」と答えたのです.

この回答でも面接は合格しました.答えたとき面接の先生は皆好意的でした.最終的には抽選で落ちて,私は区立の小学校に入学しました.

心にもないきれいごとを練習して答えるようになっては,国会同様,嫌な社会になります.

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