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なぜ虹は色々な見え方をするのか3

■回折(干渉)の効果
第1虹,第2虹は雨粒のプリズム効果(屈折率の光波長依存)で色が分散したのですが,回折(干渉)効果でできるのは過剰虹といいます.過剰虹の写真(表紙,第1虹の内側に見える)は,ネットからお借りしました.

追加の虹はなぜ生じるのでしょうか?1つの雨滴からでる太陽光の散乱方向は,角度分布がありその極大値の方向に光が来ますが,同じ大きさのすべての雨滴から散乱される光束のエネルギーはこの方向に集中します.このとき,極大値の近隣の2点到着する雨滴内部の光線経路には差があるのですが,これらは,液滴上の異なる入射角に対応しています.選択された方向の経路長の差が,光の波長λの整数(または半波長の偶数)に比例するならば,その方向で,この波長λの光強度の最大値が存在します.経路長の差が半波長の奇数に比例すると,同じ波長の光強度の最小値がこの方向に観測されます.このような異なる方向への光束のエネルギー再配分を干渉と呼びます.干渉が顕著な自然界の条件は,①すべての雨粒の大きさがそろっていること,②いわゆる回折関係が満たされること:雨粒の直径Dに対する光の波長λの比は,虹の角度よりも大きいことです.直径1mmを超える大きな雨滴では,自然界では追加の虹を見ることはできません.もっと小さな雨滴なら見ることができます.雨滴の大きさが小さい場合,光の回折(光の波動性に関連した伝搬の直進性の乱れ)を考慮しないと虹の計算はできないことがわかりました.
前回述べたように,虹は屈折で生じますが,このような追加の虹(過剰虹)は回折的,干渉的な原因で生じます.

■自宅で追加の虹の出現と同様の現象を観察することは可能です.
このためには,雨滴のように球ではなく,一部の方向にのみ光散乱の条件を成立させる必要があります.これは,丸い滴の代わりにほぼ円筒形の水流を使用して可能です.光源が必要ですが,太陽よりもはるかに小さい角度寸法が必要です.そして,この光源は単色に近い特性の光を生成する必要があります.そのような光源には,レーザーが適しています.異なる波長のレーザーが利用可能になりました.
これは,自宅で記事の著者(バーラモフ)が行った実験の説明です.
異なる3色のレーザーを同じように配置し実験:波長がλ= 630〜650 nmの赤,λ= 532±10nmの緑,λ= 405 nmの青.
写真は,細い水流(直径d≈1mm)から一次「虹」(42°)に対応する浴室の壁(図6)で得られました.3つのケースすべてで,ジェット水流はそのパラメーターが同じです.つまり,水は蛇口から連続的かつ均一に流れ,レーザーを変更しても蛇口の設定は変わりません.写真は,異なる色の主な最大値の位置が異なることを示しています.

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図6[訳者注)ジェット水流の作る水円柱の向きは上下方向です]

残念ながら,直径1 mm未満のジェットの安定した流れを実現することは不可能であるため,白色光のある水のジェットで回折または干渉の虹を得ることはできません.これは,すべての波長で実験的に得られた追加の最小値と最大値の間の距離が,最初の虹の幅である3°よりも大幅に小さいためです.

雲中の霧滴では,すべての霧滴が同じサイズで,0.1mmよりはるかに小さい場合にこれが可能です.小さな次数(1〜10)の隣接するピーク間の角度差が2〜3度に達することがあるため,主虹のすぐ近くにある最初のいくつかの追加の虹は,個別の虹として区別されます.事実,太陽放射スペクトルの黄色の部分で最も明るいものが目で認識されます.追加の(回折/干渉)虹の光強度のピークに対応するのはこれらの波長です.

隣接する追加の虹の間の角距離が0.5°未満になると,太陽の視角がこの値と等しいため,基本的にそれらを区別することはできません.レーザー光の単色ビームの角度発散は0.5°よりはるかに小さいので,光が細い水の流れによって散乱されるときに生じるさまざまな次数の回折のピーク値を観察できます.

(編集後記)日本では虹は7色と言われていますが,虹の研究したニュートンは6色と言ったそうです.何色でもよくてあまり意味がないですが,虹は何色という調査を世界でしたら面白いでしょうね.結果をご存じの方がおられましたらお教えください.

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