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新小学生のランドセル

新小学生の立派な塗装皮のランドセルを見るたびに思い出すことがあります.私の小学校入学の頃は贅沢品はない時代でしたが,知り合いのご老人からランドセルをプレゼントされました.その老人は父の仕事仲間の父親と聞いていましたが,仕事を運んで定期的に我が家に来ていました.乗り物は電車や自転車の時代です.みすぼらしい姿をしていましたし,恵まれない方で小遣いも乏しいことは母も良く知っていました.そのような老人が私のランドセルを買ってきてくれたのです.頂いたランドセルは,毛穴がざらざらした豚皮で子供の私が見ても紙のようで,みんなのランドセルと違い安物なことは分かりました.しかし,老人が食べるものも節約してやっと買ってプレゼントしてくれたことはわかります.その心がうれしいので,母はそれを私に使わせました.後で聞いたことですが,母は私にランドセルを買うのが実は楽しみだったそうです.
頂いたランドセルを,私は丁寧に使いましたが,やわな作りでしたので,1年持つか持たずでバラバラになってしまいました.それ以来,私はランドセルでなく,肩から掛ける中学生のような,ズックの白いカバンを背負い始めました.私のクラスでそのようなカバンは私だけ,肩掛けカバンに換えたのは一番早かったのです.しかし,そのようなズックのカバンも,もはや絶滅したようです.表紙の写真はカバンのサンペイにある帆布製肩掛けカバンです.でも,懐かしい昔のデザインとは少し違います.

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