娘とパン

娘はパンが好きだ。
離乳食後期になり一度パンを口に
入れた。それからパンが
出るとパン!パン!と言って
テンション高めに出る。

好きなものばかり食べさせたい。
幸せそうな顔を見ていたい。
そう思うも妻はバランスを考える。
与えすぎてそれしか
食べなくなったらどうするの?
と言われたのであげたい気持ちを
堪える。

週一回だけ朝パンを出すことにしている。
おこさない限り普段は寝ている娘。
起きてもなかなか起きあがろうとしない。

妻が「今日はパンだよ」と耳元で囁く。
するとどうだろう、俊敏な動きで
立ち上がり一目散にリビングへ走って
いくではないか。

焼きたてがいいだろうからと
娘がリビングに来てからトースターに
スイッチ入れようとしていたので
まだ食卓にはトーストはない。

ない!ない!と叫ぶ娘。そして泣き、
床に突っ伏した。

こんなに子供心を掴むパンって
何なんだと思わずにはいられない。

しまいに早くスイッチ入れろよと
泣きながら訴えているように見える
娘に合わす顔がなくなるほどだ。

食卓にトーストを出した。
ハムハムと食べ始め
フワフワフワフワとつぶやき出した。
柔らかい食感がいいのだろうか
そう思う今日の朝。

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