POST7『親御さんに寄り添うには』
こちらのラジオの書き起こしです。通勤通学中に音声で聞きたい方は下記リンク先から
https://note.mu/sg_post/n/n93d5ba0ebca7
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〇伝えることの難しさ
井上:今回のテーマは、この間も喋ってたことなんですけど「親御さんに寄り添う一言は?」です。
坂野:あー!親御さんにも幸せになってほしいってやつですね。
井上:はい。前に話してたのは「お父さんお母さん自身が、思ってることをちゃんと整理できて、やりたいことがやれたら、それが子どもにとって自分の人生を歩んでいくことに繋がる」って事だったと思うんですよ。
なんとなく僕も感覚では理解できてるんですけど、それを人に説明するとなるとすごく難しくて。
例えば、僕の彼女が頑張っているからといって、「僕も頑張らないと」とはならないし、一緒に頑張ることは、寄り添う手段としては良いと思うけど、やらなきゃいけないと思うとズレてくる。っていう感覚を人に説明するのって本当に難しいなって思います。
坂野さんの話を聞いて思い出した話があります。テレビにふたり心理学者の方が出てたんですけど、追い詰められた人が人を殺してしまった事件について、片方の人が「私はその気持ちわかります」って言ったんです。
その人は病んでしまって仕事を辞める時、会社の人に「人だけは殺すなよ」って言われたんですって。向こうからしたら冗談のつもりかもしれないけど、すごく病んでる時期というのもあって、それを聞いた瞬間「絶対こいつ殺してやる」と思ったらしいんですよ。
坂野:いや、そりゃ思いますよね。
井上:ですよね。僕らの感覚からしたら気持ちがわかるけど、わからない人からしたら、知らない感覚だからわからないんだと思います。
そんな気持ちを救ったのは、そこにいたもう一人の心理学者の方で「その人が話を聞いてくれたり相談に乗ってくれたから踏みとどまれた。人と関わる機会が無かったら、一線超えてしまってたかもしれない」と本気で思ったそうです。
そういう瞬間って、きっと誰しも抱えることはあると思うし、もっといい方法で解決できたかもしれないことを、相談ができないゆえにやってしまうってこともあり得ると思うんです。
その先生はすごくいい人で、色んな県から「うちでもやってください」とか「教えてください」と言われるらしいのですが、伝え方が難しいから教えたくても教えられないって仰ってました。
〇「死にたい」と言われたら
井上:坂野さんなら、誰かが「死にたい」って相談に来たら、どう答えます?
坂野:うーん、「僕も」って答えますかね。
井上:そうですよね。多分僕もそんな感じだと思います。
その先生も「死にたい」って相談が来たら、「いいよ」って答えるんですって。でも“これを言われて救われるっていう気持ちを知れるかどうか”というのを伝えるのが、どうしても難しくて、教えたくても教えられないそうです。
病んでた身からすれば、「いいよ」って言われたらすごく楽になるじゃないですか。僕は自分自身に「明日死んでもいいから今日頑張ろう」と言い聞かせて生きてた時期もあるので、それを人に言ってもらったら絶対嬉しいし楽になれる。でも、それを人に教えるのがすごく難しいです。
親御さんに「自分のことを大切にすると、結局子どもが自立します」というのを伝えるのは、それと同じ難しさを感じるんですよね。
理解してても、それをどうすれば人に知ってもらえるのか、すごく考えてしまいます。
坂野:なるほど。たしかにめっちゃ難しいですね。VRとかで、うまいことできないかな。
病んでる時に頭の中で回ってる声を、24時間きいてもらったりすれば共感性はあがると思うんですけどね。
井上:電車が来た時に飛び込みたくなる気持ちなんかをVR体験できませんかね。
今でも飛び込んでしまいそうで怖いので、列の一番前には立てないです。もしくは電車が来てから立つようにしてます。
坂野:あるある。
それを体験してる人たちにとっては、当たり前に感じてることなんでしょうね。
僕には弟がいるんですけど「死にたい」って言ってた時期があって、その時に「死にたいんだったら死んだらいいんじゃないの」って言ったんですよ。弟の人生だし弟の命だから、死んだら悲しいかもしれないけど、僕がとやかく言えることじゃないし、どうするかは周りが左右できることじゃないと思ったので。
それで楽になる気持ちって、本当にわからないんですかね。
井上:いや難しいと思います。だって、ある意味めちゃくちゃ重たい言葉じゃないですか。僕らは寄り添う言葉になると知ってるから言えるけど、わからない人からすれば「死んでもいいんじゃない?」と答えて、それでもし本当に死んでしまったらどうしようって考えてしまうんだと思います。それを知ってる人が言うからこそ、寄り添ってる言葉になるんじゃないかなとも思うんです。
坂野:わかります。要はその字面だけあって、それを全くわからない人が喋っててもだめってことですよね。
〇僕たちにできること
井上:聞き取り方によっては「死ね」って言葉にも聞こえてしまうので、寄り添う言葉になると知らないと言えないんじゃないか。でもそれをどうやって納得してもらうんでしょうね。答えが出ない。
でももし、そういう悩みを相談されることがあったら、そのプロセスにしっかりと寄り添って行きたいとは思います。
例えば、息子が死にたがってると親御さんが相談してきた時に、答えだけ言って、それが悪い結果につながるのは僕も全く望んでないですし。「死んでもいいよ」って言えばいいと教えるのも僕はまた怖いから、僕が思ってることをしっかり喋ったうえで、共有して一緒に考えていきたいです。
坂野:なるほど。それでいうなら、僕は人それぞれにウィークポイントがあると思っています。こういう人は受け入れられないとか、こういう人は話してて楽しいと思う感覚って変えようのないことだと思うんですよ。
だから、お母さんだけで抱えないっていうのは大事だと思います。死にたいと言われても自分はどうしていいかわからないって方もいらっしゃると思うんです。僕とか井上さんとかは、死にたいって言われたら「あーわかる」って言えるから、そういう人に助けを求めることも重要だと思います。
井上:たしかにね。そういうのを相談できる人がいるので、親御さんにも抱えないで欲しいですね。
坂野:そのお子さんを抱えられる人が、世の中にいるっていうのをどんどん知ってもらいたいです。
じゃあ今回はこんな感じで、また次回お会いしましょう。
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