原巨人と緊急事態宣言延長

緊急事態宣言の延長により新規にビザを獲得する外国人の入国が3月7日に延長。ここからさらにホテルで14日間の隔離生活が待っており、ここまでに入国出来ていない外国人選手が開幕に間に合うことは絶望的になった。それどころか身体のコンディションを戻すことや、試合に向けた調整期間を考えると5月中旬まで出場は難しいのではという報道もある。そのために12球団は球団の格差を考え、外国人選手の枠に制限をいれる話し合いを始めた。また、セリーグでは外国人選手が入国出来た際の調整に利用するため期間限定のDH制導入について検討を始めるという。それについてお気持ち表明したい。

外国人選手の球団格差

外国人の入国については、昨年の早い段階で契約を延長しビザを獲得した選手は入国してない出来ているが、そうでない場合は開幕に間に合わない。セリーグだと例えば巨人はクローザーを務めるデラロサ、ビエイラ、サンチェス、ウィーラーの4名が隔離生活を終え徐々にキャンプに参加しつつある。一方で新外国人のスモークとテームズ、また昨年もいたメルセデス、ウレーニャは入国出来ていない。DeNAベイスターズは誰も外国人が入国出来ておらず、入国自体もこのままでは3月以降、開幕は日本人選手だけで迎えることになる。ペナントレースを左右する外国人選手がコロナ禍というどうしようもない理由で差がついてしまうのは果たして公平か、という点で枠に何かしら制限を設けようとしているのだろう。

セリーグに期間限定DH制

さてそんなこんなで入国出来た外国人選手がすぐに活躍できるかというとそんな簡単なものではない。キャンプオープン戦でじっくりと実力を確かめたり、日本の野球に慣れたり、あるいは守備のシフトやサインを覚えたり・・・これまで球団がシーズン途中に追加で獲得することは多くあるが、活躍することは稀である。そこでそんな入国に苦労した外国人選手の調整や負担を減らすために巨人が期間限定のDH制を1月に提案した。当時はあえなく却下されたわけだが、現に外国人選手の入国や入国後もホテルに2週間缶詰になることをふまえ、導入が「あり」よりに再び議論され始めた。

先発投手であればバントや走塁の練習を後回しにして投球に集中できるし、野手はまずは打撃を慣れることに専念できる。先発が長く投げればそのままリリーフ投手の負担減にもつながる。予想としては4月5月など期間限定ではなく「入国が遅れた外国人選手への救済策として、その選手が出場する試合では決められた試合数DH制を採用できる」などとなるのではないだろうか。

再びモノ言う巨人

巨人ファンの中にはこれら2つを巨人が以前(不公平にならないよう枠制限は昨年、DH制は今年1月)から提案していたのにも関わらずNPBやセリーグは一蹴していたじゃないかと憤りを表していた意見もあるようだ。しかし巨人が昨年から言っていたからこそ緊急事態宣言の延長の今にスムーズに話し合いを始められたとも言えるし、結果的に巨人の先見性や発信力が褒められるわけだから今文句を言っても始まらない。昔ナベツネこと渡辺恒雄氏が健在だった頃からそういうものだ。そのナベツネ氏の元気がなくなり、複数の不祥事で揺らいだことで沈黙していた巨人が、再びモノを球界に対して提案する組織になったということだ。そしてその中心にいるのは原辰徳監督であり、現在読売のトップである山口寿一の信任を得ている。

山口寿一オーナーと原辰徳監督

山口オーナーとの面談の中で第三次政権をスターとさせた原監督であるが、当初から今の中だったわけではない。

山口オーナーは政治部が出世コースである読売新聞社会部から上り詰めた人である。この社会部と言うのは清武の乱の清武英利、そして由伸時代のGMである堤辰佳の出身であり、2名はいずれも原監督との権力闘争の末に球団を去っている。そもそも第二次政権の終わりには山口オーナーも堤GMに協力して原監督下ろしをしたわけで、良い印象はなかったであろう。しかしそうして誕生した由伸政権が大失敗に終わり、やむなく原辰徳を呼び戻すことになった。

原辰徳は監督に復帰する際にもトップ面談で「あなたはどのポジションなら巨人に1番貢献できると思いますか」と言われ、「それは監督です」と答え第三次政権が決まったと答えている。そうやって始まった原政権で原監督が巨人にいくつもの改革をもたらしたことは言うまでもない。山口寿一オーナーの名前で検索するといくつか若者に向けた講演なども出てくる。

それをまとめると望むことは正しい情報を集め、今何が課題なのか設定し、それを表現する力をつけてほしいという。原監督は野球に限らず情報を集め、明確な課題を設定し、そして解決する方法を提案し、世の中に投げかけてくる。それが特に発揮されたのが昨年のコロナ禍での開幕前だ。抗体検査、PCR検査を社長に直談判し選手スタッフに実施させ、それをさらに他球団にも呼びかけた。

巨人を追いかけている身として一昨年と昨年では山口ー原体制がより力強くまとまっていると感じる。まだまだコロナ禍は予断を許さない状況であり、東京五輪についても不透明だが原巨人であれば上手く乗りきるのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?