戦国無双5に感じた違和感

私は戦国無双シリーズを1から猛将伝、4ー2、真田丸と購入してきた。(名作と言われるクロニクルシリーズはやってない)

今回後述する違和感から発売当初戦国無双5は購入を見送っていた(繁忙期で仕事が忙しいのもある助けて)。が、どうやらセールス初動に失敗したらしいというネットの噂を聞いて、シリーズを追いかけてきた身としては、戦国無双の「最期を看とる」気持ちで購入した。

現在信長編の第6章本能寺の変ステージを終了、光秀編の4章目をプレイ中。プレイ時間はおそらく20時間ちょっとくらいと、まだプレイし尽くしたとはとても言えないが、一度溜め込んでいた愚痴含む作品への感情をお気持ち表明したい。ちなみにネタバレは戦国無双5のものは極力入れていない。旧作はガッツリしている。


現在の無双シリーズについて

歴史ブームの一翼を担った無双シリーズ。もはやオワコンとの囁きもあるが、今年ゼルダ無双~厄災の黙示録~が全世界で300万本を突破するなど、まだまだ題材次第でゲームとして勝負できることを知らしめた。

一方で三國無双、戦国無双といった昔からのシリーズは、長期シリーズの宿命か伸び悩んでいる印象である。特に、まだ中国台湾からの購入が見こめる三國無双シリーズと異なり、日本国内のユーザーに頼るしかない戦国無双シリーズはコーエーテクモゲームス社内でも新作を出すか意見が割れていたそうだ。

その反対意見を押し込んで、心機一転、シリーズ再始動というような形で世に出たのが戦国無双5であった。

発売前の違和感

心機一転に感じた違和感は、まぁ他の従来ファンも言っているだろうが、

「これ戦国無双5である必要ある?」ということだ。

キャラクターデザインを一新し、声優も変更、信長光秀を中心に描くということでキャラクターを削減した。これが例えば過去作の真田丸のように大河に合わせて「戦国無双~麒麟がくる」だったり、あるいは多くの武将がイケメンになったことから「下天の華無双」だったり。いっそ勝負をかけて「真・戦国無双」という名前ならばシリーズファンもまた別の意気込みを感じ応援できただろう。ナンバリングとは特別なもの。ファンがどう思うかの配慮と売上を天秤にかけての選択なのだろうが、反感を買ったところはあるだろう。

本編をプレイして

そうした違和感を感じながらプレイしたが、確かにアクションは前作より良くなっている。かつてのライバルシリーズ戦国BASARAのエッセンスも閃技から感じたり。しかしアクションが変わったからといって全く新しい戦国無双!とはとても思えなかった。

結局ゲーム性が旧作と変わっていないのだ。ステージでミッションが表示されて、それの達成に追われる。それではアクションが良くなったところでやることは変わらない。

また声優も一新したことで新しい風を感じるものの、一部のキャストは続投。それも不公平感がある。特にお市役の前田愛さんが続投して、若返ったキャラクターの年齢にあわないキンキン声を出そうとしているので残念な気分になる。ストーリーモード以外での声はそんな違和感なかったから収録している間にアジャストできたのかもしれない。それはそれでどうなんだろう。(声優さん個人を攻撃するつもりは全くない。物心ついて最初に好きになったアニメが初代デジモンだから、初代太刀川ミミには愛着はたんまりある)

そして作品の最大の問題点としては、前章で述べたように旧作のキャラを犠牲にした代わりに描きたかったはずなのに、肝心の信長と光秀の物語を描ききれてないと感じることだ。

戦国無双5は信長と光秀の物語を描きれていない

まだ光秀編を途中までしかプレイしてないのでこれを書くのは的外れかもしれない。しかし信長編をプレイした限りでは、信長と光秀という戦国時代の最も魅力的な題材を描ききれたかと言われると、ノー。描けた部分は普段の戦国無双シリーズと対して変わらないのではないだろうか。

ちなみに戦国無双は毎作本能寺の変の理由を変えている。記憶だと1は斎藤家からの仲である森蘭丸を取られたなどで信長への恨みが積もった結果。2は信長を好きすぎて信長の天下を求める余り、自分の天下を求めてしまった。3は相棒として行動を共にしてる長曽我部元親に唆された(なお山崎の戦い後は南光坊天海として家康に仕えている)。4は戦国を破壊しつくす余り同盟相手や配下すら壊していく魔王信長に追いつめられての反旗(なお秀吉も光秀が行わなければ反乱する気でいた)。

こう見ると旧作で信長と光秀が主役ではなくいち登場キャラクターであったころから、きちんとストーリーは描けていたことが分かる。

そうなるとわざわざ信長と光秀に焦点を絞った今回描かなければならなかったことは、信長と光秀の生涯であり、キャラクターのバックボーンではないだろうか。それが出来ていたのが戦国無双~真田丸であり、父真田昌幸から真田を守る、徳川を倒すという宿命を受け継いだ真田幸村というキャラクターの全てを描ききっていた。

本作は信長という若き戦国大名がいた、光秀という齋藤家に仕える武士がいた、というところから始まり、すぐに2人は戦い始める。そしてそれぞれ今川や齋藤という壁にぶつかる中で、弟や親族を失ったりしていくわけだが・・どうもキャラクターが勝手に盛り上がってプレーヤーが置いてきぼりになってる感がある。

エリカさまショックやコロナに苦しめられる中で完走した大河ドラマ麒麟がくるでは、斎藤道三から大きな国を信長と作れと言われた十兵衛(光秀)、病的に人(特に父母)から褒められたいというどこか危うさを持つ信長、2人の出会いが戦国時代を大きく変えた。残念ながら戦国無双5のストーリーにそういうものはなかったのだ。信長の快進撃も、物語の黒幕のキャラクターの手のひらで動いてた感もある。

まとめ

キャラクターデザインの一新や、声優の変更、登場キャラクターの変更削除などで既存ファンに痛みを与えることをしておきながら、

アクションやゲームの内容は大して旧作から変更はなく、タイトルも戦国無双5と旧作ファンしか買いにくい。

そしてゲーム物語の売りである信長と光秀の物語は描けていない。

・・・まぁそれでは売れんよなぁ。

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