見出し画像

セクシュアリティとは|あるがままの自分を表現!人間の性のあり方を決める概念。

はじめに

 セクシュアリティは、自分自身を形作る上で大事の要素となります。セクシュアリティはLGBTの方々だけの問題ではなく、私たち一人ひとりが直面する問題でもあります。

 ですから、私たちは当事者意識をもって主体的に自己のセクシュアリティを見つめ、自分は一体何者なのかをあらためて考えていく必要があります。難しい宿題ですが、先延ばしはしないようにしましょう。

セクシュアリティとは?

 セクシュアリティとは、誰とどのくらいの頻度で性行為をするか、ということを指す言葉ではありません。

 それは、他者に対するあなたの性的感情、思考、魅力、行動を指す概念 です。他の人に肉体的にも、性的にも、感情的にも魅力を感じること。それらはすべてあなたのセクシュアリティの一部になります。

 セクシュアリティは多種多様で個人的なものですから、みなさんが全く同じセクシュアリティを持っているわけではありません。 つまり、セクシュアリティはあなたが誰であるかを定義する上での一つの要素となります。自分のセクシュアリティを発見することは、非常に解放的で刺激的でポジティブな経験です。

セクシュアリティと
セクシャルウェルネスの関係性

 セクシュアリティとセクシャルウェルネス(性の健康)は密接に関連しています。性の健康を獲得していく上では、自身のセクシュアリティをあるがままに表現できる場所や機会が用意されている必要があります。

 しかし、すべての人が常に自己のセクシュアリティを表現できる状態にあるわけではありません。 セクシュアリティを自由に表現できるかどうかは、政治や社会、宗教や文化などにより影響を受けるからです。

 例えば、性表現については、女性が性について語ること、経験をすることはいかがわしく卑しいことだ!という社会通念は、まさにそのことを表しています(男性は、女性に比べて自由に性を謳歌することが社会的に認容されています)。

 セクシュアリティは社会のあらゆる関係性によって育まれ、表現されていきます。すなわち、その関係性の如何によって、私たちのセクシュアリティの幅の大小が決まってくるのです。

 先述のように、セクシュアリティは人格形成において中心的な役割を果たしていますから、セクシュアリティを自由に表現できる社会を作っていくことが必要となります。

 自身のセクシュアリティについてしっかり学び、新たな考え方や価値観、仕組みを創造していくこと、これが今を生きる私たちに求められています。そして、セクシュアリティを知ることは、自身のセクシャルウェルネスの向上の第一歩となります。

セクシュアリティに
含まれる4つの性

 セクシュアリティとは、広く人間の性にかかわるすべてのことを指す抽象概念です。つまり、人間の性のあり方 を表す言葉になります。

 セクシュアリティには以下に掲げる4つの性が含まれていますが、この中から自分に合ったセクシュアリティを見つけるのに時間がかかることもあります。また、セクシュアリティは人生のそれぞれの段階で変化することもあります。

 男性に惹かれるかもしれないし、女性に惹かれるかもしれないし、はたまた両方に惹かれるかもしれないし、どちらにも惹かれないかもしれません。この点については、正しいか間違っているかはありません 。重要なことは、あなたにとって何が正しいのかについてです。

⑴ 割り当てられた性(体の性)

 生物学的な性(性別)のこと。戸籍として記録される男性・女性という2種類の法律上の性別。出生届けには、男性か女性かの2つの選択しかできません。

⑵ 自分が認識する性(心の性)

 自らをどのような性であると考え、自分で割り当てる主観的な性別(性自認、性同一性)。

⑶ 社会が認識する性(性表現)

 男らしさや女らしさという社会的な性別。見た目、服装、振る舞い、言動についてなど、性別によって社会から期待される性の役割のことです。

⑷ 恋愛感情、性的魅力を感じる対象(性的指向)

 身体的・感情的な両方の魅力と愛情を感じる対象のことで、心の性を基準とした性のあり方のことです。

さまざまなタイプの
セクシュアリティ

 以下では、セクシュアリティの異なるタイプを説明するための共通の用語をご紹介いたします。ただし、これらはあくまで学問上のものですし、セクシュアリティはとても複雑です。

 ですから、自分自身をラベル付けする(型にはめる)必要はありません。 自分のセクシュアリティを知る上での一つの参考資料として位置付けてください。

⑴ 異性愛者と同性愛者

 ほとんどの人は異性に惹かれます。例えば、女の子が好きな男の子や、男性が好きな女性など。これらの人々は「異性愛者」、もしくは「ストレート」または「ジスジェンダー」と呼ばれています。

 その反対に、同性に惹かれる人もいます。これらの人々は「同性愛者」、もしくは「クィア」と呼ばれます。このカテゴリーに当てはまる者の多くは、思春期に同性に惹かれる経験をするようです。同性愛者に代表的なものは、「ゲイ (Gay)」や「レズビアン (Lesbian)」です。

【ゲイ】
心の性は「男性」、性的指向は「男性」
【レズビアン】
心の性は「女性」、性的指向は「女性」

⑵ バイセクシャル (Bisexual)

 バイセクシュアルとは、男性と女性の両方を対象とする性的指向を持つ人たちのことを指す言葉です。

 ただ、バイセクシュアルの人たちは恋愛感情や性的魅力を白と黒ではなくグレーなものとして見ていますので、バイセクシュアルとはあくまで一般的な言葉になります。他者に対する魅力が男性と女性それぞれに均等に偏っているわけではなく、また出会う人によって異なることがあります。

 ですから、バイセクシャルは性別、アイデンティティや性の表現を問わず、人間のさまざまな種類に対して魅力を感じています。したがって、バイセクシャルには、性別を問わず他者を対象とする「パンセクシュアル」も含んでいます。

⑶ 無性愛者(エース:Aセクシュアル)

 無性愛者とは、他者に対して恋愛感情や性的魅力を経験しない、またはほとんど経験しない人たちのことを指す言葉です。

 無性愛も性的指向の一種であり禁欲とは異なります。人によっては、性的魅力を感じることがごくまれの場合がある一方で、誰かと強い感情的な絆を開発した後にのみ性的魅力を感じる場合もあります。

⑷ トランスジェンダー(Transgender)

 トランスジェンダーとは、割り当てられた性に違和感がある人のことを指す言葉で、主に性同一性障害(性別違和)を抱える人たちのことをいいます。

 性同一性障害(性別違和)とは、体の性と心の性との間に認識の不一致があることで、心の性に体の性や生活を順応させたいと感じて、実生活に困難が生じてしまっている状態のことを指します。

 性同一性障害という名称は医学的な診療名ですが、現在ではこの診断を受けることで治療や戸籍を変更することができるようになっています。人間としての在り方を自分で決めることが法律で認められたということは、つまり、それが社会の確たる基準(決まり事)となったわけです。

 以上のように、セクシュアリティには様々に意味が含まれています。日本語では単に「性」と表現されることが一般的ではありますが、本来は、性には個人によって多様な形の表現方法があります。 一番わかりやすいのがいわゆる「性癖」だと思います。セクシュアリティ(性のあり方)は人の数だけ存在しています。ですから、こうあるべきだ、これが普通うだといった目に見えない制約からご自身を解放してください。

セクシュアリティ(性)と
メンタルヘルス(精神的健康)

 セクシュアリティが原因で差別を受ける人たちもいます。特にLGBTIの人々は、一般の人々と比較して、うつ病、不安、薬物乱用、ホームレス、自傷行為、自殺願望のリスクが高くなっています。

 これは、自分のセクシュアリティと折り合いをつけようとしている若いLGBTIの人たちや、学校でのいじめや被害を経験している人たちに特に当てはまります。

 セクシュアリティにおいて、精神的健康に影響を与えるストレスの多い経験には、以下のようなものがあります。

・他の人と違うと感じること
・いじめられること
・他者に拒まれること
・カミングアウトに不安を覚えること
・支えられていないと感じたり、誤解されていると感じること

 これらのストレスは、人間関係やアイデンティティーの形成など、自分の世界での居場所を確立していく上で大きな影響を与えます。

 ですから、LGBTの方々だけではなく、自分一人でセクシュアリティの問題に対処するのが難しいときには、友人、親戚、医師、カウンセラーなど信頼できる人たちに相談し、適切なサポートを受けてください。

まとめ

 自己のセクシュアリティに対して羞恥心を抱く必要はなく、むしろ、性を素直に表現できる場所を積極的に求め、自己のセクシュアリティが常に経験されているという認識を常に持ち続けることが大切です。 それが、あなたがセクシャルウェルネスを実現できるかどうかを決める要因にもなります。性を知ることは、己を知ること。己を知れば、他人を尊重できる。この連鎖をもって、社会全体がより良い方向に発展していくのではないでしょうか。

 平等と差別からの自由は、すべての人に属する基本的人権です。 自分のセクシュアリティを理解するのに急ぐ必要はないことを覚えておいてください。時間をかけてください。そして、真のセクシュアリティを受け入れることに対してプレッシャーを感じないでください。



いいなと思ったら応援しよう!