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ウェルビーイングとセクシャル・ウェルネス

人生のウェルビーイングに「性」は大切なテーマ。 体と心の繋がりを取り戻し、自身の感性の素晴らしさを体感する機会を設けることで、自己受容感・肯定感をはじめとしたセクシャル・ウェルネスを高めるサポートをしています。

自分の体を感じる、気持ちいいという感覚を味わう、愛を持って触れられることを実感し、自分という存在を愛してもいいんだ、慈しんでもいいんだ、女性としての私を生きることの美しさを感じられることを、スローセックスの学びを活かしたセクシャルセラピーを通じてお届けしています。

セクシャル・ウェルネスのコミュニティを運営し、「性」というテーマをタブーにせず大切にしているのは、大きな可能性をこのテーマに感じているからです。
「性」であったり「性教育」は、リスク管理であったり、コミュニケーションであったり、病気であったり、なんだか一般論のような保守的なものが多かったような気がします。(個人的な感覚ですが)

私がこのテーマを「解放」と捉えています。自己解放、自己変容などといった可能性がこのセクシャル・ウェルネスにはあると実感しています。

前回は「自己成長」の観点からSEXを解説しましたが、今回は、私自身がポジティブ心理学やホールビーイングをはじめとして、今もっとも深めているウェルビーイングの観点からSEXの可能性を捉えてみたいと思います。

ウェルビーイングとは

昨今、企業のあり方や個人の生き方が注目される中で、「ウェルビーイング(well-being)」という言葉を目にする機会が増えてきたと思います。

最近目にするようになったウェルビーイングですが、初めて登場したのは、1946年に世界保健機関(WHO)が設立されたときです。
世界保健機関憲章では、「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」と定義されています。
「健康」は、狭い意味での心身の健康のみを指すのではなく、感情として幸せを感じたり、社会的に良好な状態を維持していることなど、全てが満たされている広い意味での「健康」である、と解釈できます。

幸せというと、「幸福(Happiness)」の方が思い浮かびそうですが、Happinessは一時的な幸せの感情を指す言葉であり、ウェルビーイングは満たされた状態が持続することです。

持続可能な開発目標であるSDGsが重視される今、GDPの上昇しても人生満足度の低水準が続いていることなどから、「経済成長は、本当の意味で、世界の発展に寄与できているのか」ということが疑問視されはじめており、GDP以外の尺度の必要性が、世界中で次第に叫ばれるようになっています。
そうしたなかで、国内総充実(Gross Domestic Well-being、略称: GDW)という社会に生きる一人ひとりのウェルビーイングを測定するための指標を重視する動きもでています。

一人ひとりの持続的な幸福が重視される時代に移り変わってきているわけです。

ウェルビーイングのフレームワーク

私たちは誰もが健康でありたいと思っています。
それを意識しているかどうかは別にして、不健康でありたい、不健康になりたいという人は少ないでしょう。

では、「健康」という曖昧なものは、どうやって分かるのでしょうか?
気分?感覚?何となく元気って感じ??

健康も幅広いですが、健康の一つの側面として、状態を診断するのに年1回の健康診断であったり、人間ドックで自分の体を調べ、血糖値や体重などの様々な項目で自分の体の健康状態を調べているかと思います。

同じように、「持続的な幸福」も抽象的で、そもそもどのようなものなのでしょう?
そして、自分の持続的な幸福度はどのようにわかるものなのでしょうか?

「ハーバードの人生を変える授業」の著者であり、ウェルビーイングの専門家であるタル・ベン・シャハー氏は、「幸福とは太陽のようなものだ。直接目にしようとすると目を痛める」と言っています。

幸せは追い求めれば追い求めるほど、逆に「自分は幸せではない、不幸である」ということを強くしてしまうため、孤独感をかんじやすいパラドックスとなっているわけです。

タル・ベン・シャハー氏

では、どうすればいいのでしょう?
タル・ベン・シャハー氏は、「太陽を直接見るのではなく、太陽の光が映し出す虹を見るように間接的に見ていくことが重要」と言っています。

「間接的」とは? その答えがSPIREモデルです。
直接求めるのではなく、このSPIREを大切にすることによって、結果として持続的な幸福度が高まるというものです。

また、もう一つ、ウェルビーイングに関わる心理学で、「ポジティブ心理学」があります。

ポジティブ心理学とは、「人が幸せに生きること」を科学的に追求する学問として、ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授により創設されました。

ポジティブ心理学という名前だけ見てしまうと「ポジティブシンキング」と同じものと勘違いしやすいですが、決して一緒ではありません。ポジティブやネガティブなどのあらゆる要素を取り入れ、「幸せとは何か」を科学的に研究する学問です。

ポジティブ心理学では、「PERMA」で持続的な幸福度をはかります。

セクシャル・ウェルネスがウェルビーイングに与えるインパクト

さて、いよいよ本題に入っていきたいと思います。
私がこのテーマを大切にし、そして知識や理論だけでなく実践も大切にしているのは、シンプルに人生100年のウェルビーイングに大きな影響を実感を持って与えることにあります。

セクシャル・ウェルネスと言っても、このテーマ自体の受容度(タブーとしないか)であったり、リレーションシップ(パートナーとの関係性、どこまで開示して深い対話ができるか)、そしてセルフプレジャーやSEXといった実践のクオリティなどと様々な観点があります。

ただ、いずれにしても、セクシャル・ウェルネスは頭でっかちでは意味がなく、体験・経験から実感を持っていることが大切となります。そのため、自分の心と体の両面でその価値を実感できるテーマになるわけです。

そしてその心と体の両面に体感することができるセクシャル・ウェルネスは、先ほどの紹介したウェルビーイングのフレームワークの全てに関わることに、性というテーマの可能性を感じます。

例えば、先に紹介した全体性を大切にしたウェルビーイング、Wholebeing(ホールビーイング)を掲げているSPIREで考えてみましょう。
SPIREを実現するために大切な要素があります。それをまとめたのがこちらの表です。

Wholebeingにおいて、全人格的なウェルビーイングを大切にするにも関わらず、なぜ私たちは三大欲求の一つともされる「性」を拒絶、タブーとしてしまうのでしょう?一体何が、どんな規範が私たちの意識をそうさせてしまうのでしょう?
そういったことを考えるきっかけが大事だと思っています。そして「繋がっている」ということについても。

そしてSpirtualについては、1人では感じることのできない愛の深さであったり、お互いが愛で満たすことによって日常の風景が変わったり、感謝の気持ちが増したりして、日常が変わるということに繋がる可能性もあります。
また、性も探求を深めていくと、タオイズムでは自己を超越した至福であったり、自然や宇宙との調和といった可能性も秘めています。

Physicalは、肌を接し合うことによる自分・相手を感じる気持ちよさと言いったところもありますし、それは心を豊かにすることにも結びつきます。
また、他にも様々な身体的な影響もあります。

Human Potential Lab主宰セクシャル・ウェルネス講座資料より(講師:kokoさん)

Intellctualではどうでしょう?
セクシャル・ウェルネスにおいて好奇心は大切な要素ですし、学び続けても終わりのない気づきが盛りだくさんです。
RelationalやEmotionalは言うまでもなくセクシャル・ウェルネスがダイレクトに影響を与える要素になります。

このようにセクシャル・ウェルネスはSPIREモデルの全てに影響を及ぼす可能性に満ちています。

また、ポジティブ心理学のPERMAでも同様です。

セクシャル・ウェルネスが高ければ、ポジティブ感情に影響することはもちろんのこと、セルフプレジャーやSEXによる没頭であったり、関係性を深めることや、愛し合うということや自分の性を解放することによる自己受容、自己肯定、自己解放といったところにも繋がります。
そして深め続けることや相手・自分を満たすことは達成感にも繋がっていきます。

このようにセクシャル・ウェルネスはその定義の通り、ウェルビーイングに大きな影響を与えるテーマだと考えています。

セクシュアリティに対して身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態であること

WHO(世界保健機関)の定義

セクシャル・ウェルネスを高めるためには

WHOは、セクシャル・ウェルネスを保つために必要なこととして以下のことをあげています。

・性とセクシュアリティに関する包括的で良質な情報を入手すること
・自分たちが直面する可能性のあるリスクや無防備な性行為による有害な結果に対する自分たちの脆弱性に関する知識を持つこと
・セクシュアル・ヘルス・ケアを受けられること
・性的健康を肯定し、促進する環境での生活

社会的にセクシャルウェルネスを高めていくには、適切な性教育や、こういった話題をオープンに議論できる環境の必要性が強調されています。
どんな性的指向、性自認を持つ人にとっても大切なテーマにであるにもかかわらず、性的な話題を語ることは社会的にタブーとされる傾向が強いのが実態です。

しかし近年、フェムテックが広がりを見せるなかで、女性のセルフプレジャーをサポートするグッズも活気をおびており、これまで性的なものに付き纏っていた、「卑猥」「よくないもの」といったイメージをガラリと変えてくれる、洗練されたプロダクトが多数生まれてきています。

「女性に寄り添うここちよさを届ける」ことをコンセプトに、女性のセクシャル・ウェルネスに関わるプロダクトを開発する「iroha」といったブランドが注目を集めています。

決して、全員がオープンに対話しましょう!とまで言うつもりはないですし、それは「パラレルキャリアが誰にとっても重要!」と言うようなものです。パラレルキャリアはやりたい人がすればいいだけですし、何よりも合う・合わないというのもある。

セクシャル・ウェルネスも全体で語り合おうとするとまた別の同調圧力がうまれることでしょうし、それによって傷つく人が生まれることは、ウェルビーイングにむしろ逆効果です。

ただ、「性=タブー、やらしい」と盲目的に信じ切って、そういう態度で周りに接して無自覚に人を傷つけたことがあるかもしれないし、自分自身も傷つけているかもしれない。(相手に話せなくて我慢しているなど)

このセクシャル・ウェルネスが少しずつ注目されているなかで、あらためて性について思っていることに「本当にそうだっけ?」という問いを持てるきっかけが今生まれているのだと思います。

でもまだまだこのテーマを語り合うのは心理的ハードルが大きいもの。
なので安心安全にまずは率直な思いを共有し合える、否定されず、尊重し合える場が必要だと思っています。そうした場を創り、大切に育んでいきたいと思います。

セクシャル・ウェルネスのみをテーマとしたコミュニティでは、様々な活動を行っていきます。

活動内容
・勉強会(正しい知識を身につける、ゲストの話を聞くなど)
・対話会、ワークショップ(安心安全に語り合う、トイの体験談共有等)
・練習会(ソフトタッチを腕などで練習する)
・リトリート(1泊2日)
等など

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