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FAP療法(大嶋心理学)と私

noteを登録して、早3〜4ヶ月が過ぎた。

最初は仏教について、私の家の宗派は代々日蓮宗なので、そこから得た気づきでも書こうかと思っていた。だが、あまり教学的なことに興味がなく、まとまった文章として語れるほどの知識の蓄積はないので、やめた。

代わりに、私がここ2年ほどお世話になっている、カウンセリングのFAP療法について書こうと思う。

FAP療法とは

FAP療法とはカウンセラーの大嶋信頼さんが提唱した療法だ。書店でよく本が置かれているため、見たことのある方もいるだろう。そのやり方は本にも紹介されている通り「心に聞く」や「遺伝子コードを唱える」といったもので、見る人が見たら所謂スピリチュアルにも近いような印象を受けるかもしれない(あらかじめ断っておくと、FAP療法内においてスピリチュアルは禁止である)。

まあ、どちらも人間の心の動きを扱うものなので、似た部分が出てくるのは仕方ないと思っている。FAPはスピリチュアルも含めて語られてきた心の動きをナラティブ・アプローチによって外在化し、悩みの原因と解消を探るものだ。解消にあたっては現代催眠療法による暗示のテクニックを使う。先に述べた遺伝子コードなどはナラティブ(物語)化と暗示の代表例である。

FAPを受けるまで

私は毒親+親族間のいがみ合いが絶えない環境で育った。親や親戚から愛情らしい愛情を受けとった記憶はほとんどない。唯一愛してくれたと感じた父方祖父は、私が小学校2年生のときに亡くなった。以来、孤立無援のサバイバルの中で生きてきた。色々事件もあったが、ここでは割愛する。このような状態の中、気づけば心はぼろぼろだった。そんな自分を救うために心理学から宗教、引き寄せの法則など、あらゆる本を読み、できることは実践したが、だめだった。お坊さんに話を聞いた。通常のカウンセリングも受けた。だが、自分の心の状態に大した変化はなかった。

FAPとの出会い

そんな中、たまたま出会ったのが大嶋さんの本だった。遺伝子コードに基づいた“呪文”を唱えるだけで正の暗示を入れられるという内容が書かれていた。また、自分の心に「心よ!」とタグをつけて問いかけると、本心(大嶋心理学では「無意識」と呼んでいる)から答えが返ってくるともあった。いわく、「心よ!」の短いタグだけで人は催眠状態になるというのだ。自分を催眠状態に置くことで、意識的な脳の活動から浮かぶ考えをシャットし、無意識に沈んでいる自分の本心にアクセスして本当はどうしたいのかを聞くというものである。

本当かよ、と思った。“呪文”も全然効かなかった。「心よ!」とタグをつけて内心に問いかけてみても答えらしきものは返ってこない。これもよくある怪しい本の一種か、と諦める気持ちが湧いた。だが、なぜか心に引っかかるものがあり、ちょうど私の住んでいる地域から遠くない場所でこの手法、すなわちFAP療法によるカウンセリングを実施している所があることを知った。試しに受けてみようと門を叩いた。初めて受けた治療はカウンセラーの方が一緒に「心に聞く」を実施しながら、私の中に沈んでいるトラウマを探っていくというものだった。私もなぜか「心よ!」の問いかけで浮かぶものがあり、母や祖母からネガティブな暗示を入れられていたことが今の自分に影響を与えているかもしれないことをおぼろげながら感じた。明確な答えは出なかったが、非常にすっきりしたことを覚えている。

FAPでは「対処できない不安や悩みはそもそも自分のものではなく、他の誰かに入れられたもの」と考える。一種の外在化である。私の心を占めていたネガティブな感情は、実は生育環境で周りから暗示的に入れられていたもので、本来の自分のものではない、と仮説を立てられただけでも随分楽になった気がした。

少し補足すると、人にはミラーニューロンという他の人の行動を真似る神経細胞があり(これ自体は存在が確認されている)、“誰かの感情を自分のものとして受け取ってしまう”のもミラーニューロンによる無自覚な真似による、との仮説がFAPにはある。この点は私自身あまり理解していないので、人は他者の行動や思考を真似てしまい、それを自分のものと勘違いすることがある、という一種のナラティブ(物語)だと思っていただきたい。暗示(催眠)が私にとってはFAPを理解するキーワードだと受け止めている。

話を戻すと、治療を受けてしばらくはこの考えは誰による暗示、という仮説の発見と、「心よ!」で本当の自分の声を探る作業が続いた。FAPに基づくトラウマ治療も受けたが、これはおそらく既存の大嶋本でも語られていないもので、私自身よくわかっていないので詳細は割愛する。だが、催眠療法のひとつであることはなんとなくわかっている。

治療の中断、そして

すっきりはするもののだんだん進展を感じられなくなり、1年近く治療を休んだ。その間、再びお坊さんの話を聞くなどして、日蓮宗のやり方で心の問題解決に臨んだ。同宗特有の木剣加持も受けた。noteを始めようと思ったのもその頃である。

だが、あまり変わっていない自分と、FAPをもう一度受けてみようとの気持ちが湧いていることに気づいた。きっかけは大嶋さんの「催眠ガール」という小説を読んだことだ。何が変わったのかよくわからないが、心の芯の部分に強い癒しの効果を感じた。いずれ改めてレビューするが、この本は“スクリプト”と呼ばれるミルトン・エリクソンに始まるメタファーを効かせた架空の物語が多く展開されており、それがどうやら自分にも効いたらしい。

心に聞けた!

もう一度カウンセリングルームの門を叩いてからは早かった。常にではないが、心に聞けるようになっていたのだ。遺伝子コードも、唱えてみると言われたような効果が現実に現れ始めた。その中で、私を苦しめていたネガティブな暗示の原因となるストーリーはこれではないか、というのも半ば自力で気づけてしまった。それに伴って現実も大きく動き出し、いま人生の転機というべき状況を迎えている。

なんだかわからないが、FAP(大嶋心理学)は、効いた。終盤は端折り気味&やや熱くなって書いてしまったが、これがFAPを受けてみた私の分析と実感である。次回からは、大嶋さんの著作の書評をしつつ、FAPについて触れていこうと思う。



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