見出し画像

アートアクアリウム美術館と、金魚真珠の深い繋がり

「生命の宿る美術館」をコンセプトに掲げ、約3万匹の金魚とアートの融合を体感できる東京・日本橋のアートアクアリウム美術館(以下、アートアクアリウム)。ディレクターの尾崎も昔からのファンで、開催が決まるたびによく訪れていたそうです。

画像2

すでに知ってくださっている方も多いと思うのですが、2020年にアートアクアリウムが東京・日本橋に常設されて以来、ギフトショップに金魚真珠を置いていただいています。それも、こんなに立派な特設棚で……!

画像7

きっかけは約2年前、アートアクアリウム総合プロデューサー・木村英智さんと、SEVEN THREE.(セブンスリー)ディレクターの尾崎が出会い、まだリリースして間もなかった金魚真珠のルーツ・ブランドの考えに共感してくださったことでした。

今回は木村さんご本人にお話を伺い、アートアクアリウムと金魚真珠の共通点について語っていただきました。

画像3

木村英智 / アートアクアリウムプロデューサー
熱帯魚店の事業部長を経て独立し、観賞魚トレーディング事業を創設。その後米国ハーバーブランチ海洋学研究所の養殖海水魚「ORA」を日本に紹介し、カクレクマノミの養殖を通して観賞魚業界と海洋保全を結びつけた。2007年に「アートアクアリウム」を初開催し、今では累計来場者数は1000万人を突破している。

取材・執筆=ほしゆき(セブンスリー広報)


突然変異を「個性」としたのが、
金魚のはじまり

───さっそくですが、木村さんは金魚真珠のどこに興味を持っていただいたのでしょうか?

いくつかありますが、まず金魚の歴史と親和性が高いこと。金魚はもともと、約2000年前に中国・揚子江で生まれた「フナ」だと言われています。フナって普通、グレーっぽい色でしょう。だけどある日、突然変異で赤いフナ(ヒブナ)が生まれた。これってフナのなかでは出来損ない……真珠でいうとバロックパールなんです。

画像7

でも周りの人々はそれを珍しいものとして始皇帝に献上したり、複数のヒブナが生まれた時には、交配させてさらに増やしていきました。突然変異した遺伝子がもとになっているため、様々なヒブナが生まれてくるわけです。マダラ模様だったり、目が出ていたり。
その個性こそ、唯一無二の価値として世界に広まっていったのが、金魚のはじまりです。

───知らなかった…そんな歴史があったんですね。

尾崎さんも、変形した真珠を「それぞれの個性」として、新しい価値を見出していますよね。しかもその名前が「金魚真珠」だって言うから、すごいなと思いました。

「価値を再定義する」という挑戦

それから、僕自身アートアクアリウムをはじめる前に、尾崎さんと同じ挑戦を経験していたんですよ。『ファインディング・ニモ』で一躍有名になった、「カクレクマノミ」という熱帯魚で。

画像4

───「同じ挑戦」というと…市場に出ることのなかったニモたちの、個性に注目したってことでしょうか?

そうそう!
1998年くらいだったかな、「観賞魚」と「海洋保全(生態系保全)」を結びつけたいと思っている時に、米国でカクレクマノミの養殖に挑戦している「ハーバーブランチ海洋学研究所」と出会いました。天然のカクレクマノミって、ニモのイメージ通りきれいな模様なんですが、養殖をすると全体の2〜3割程度、柄乱れの子たちが生まれてくるんですね。全身オレンジ一色だったり、オレンジと白の配色が逆だったり。

研究者たちが柄乱れのクマノミを選別している様子を見て話を聞くと、「不良品だから市場に出せない」と言っていて。

───なるほど。クマノミの養殖も、真珠の養殖と似たことが起きていたんですね。

金魚真珠と同じように、まったく同じ柄乱れのクマノミを養殖するのは不可能なんですよ。つまりその柄のクマノミは世界中に一匹しかいない。だから柄乱れを「個性」と捉えて、僕はそれぞれに僕はそれぞれに「ユニークバンド」や「ヌーディスト」と言った名前をつけてブランディングしたんです。

今では各国で、普通のカクレクマノミの何倍も高値がついています。もう僕はその市場からは離れていますが、「価値を再定義することで市場を変える」という経験をしていたからこそ、尾崎さんの考えには頷けました。

アートアクアリウムの象徴
「花魁」に込められた思い

───アートアクアリウムもまさに、見せ方を変えることで金魚に対するイメージ・価値を更新する空間になっていますよね。

そうなんです。「現代における江戸の花街」を空間コンセプトにしていて、代表作は約1,000匹の金魚が泳ぐ巨大金魚鉢の「花魁」なんですけど、この作品の根底にも同じ考えがあります。

画像8

品種名と一緒に個別展示されている他の金魚たちは、言わば「良家」。サラブレットですね。だけど「花魁」の金魚たちはみんな、金魚屋さんでは「クズ金」と呼ばれることもある、名もなき雑種たちなんです。

一般的に価値が低いとされていた金魚たちが「花魁」と昇華して、このアートアクアリウムの象徴になった。

───すごい…金魚のルーツ、ニモ、花魁。ぜんぶ捉え方・見せ方を変えることで、新しい価値が生まれていますね。

だから僕は、金魚真珠をとても気に入ったんです。これからが楽しみですね。

───木村さん、本日はありがとうございました!


***

日本橋アートアクアリウム美術館の常設には、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、東京を訪れる国内外の方に「伝統芸能や文化に気軽に触れていただきたい」という思いがあったそうです。
けれど、新型コロナウイルスによって海外旅行客の受け入れができない状況が長く続いたことや、緊急事態宣言による外出制限の影響もあり、2021年9月26日に閉館することが決まりました。

東京オリンピック・パラリンピックを終えた今のタイミングで、新しい演出と作品の準備期間に入り、2022年上半期にリニューアル移転を予定しているそうです。

日本橋アートアクアリウムの演出を見れるのは9月26日で最後なので、ぜひ足を運んでみてください。

また、2021年9月17日〜10月14日に開催される「アートアクアリウム展 〜金沢・金魚の蜜〜」でも、金魚真珠を置いていただく予定です!どうぞ、よろしくお願いいたします🌿

画像7


Licensed material used with permission by ART AQUARIUM



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?