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人間は「馴れる」

さて、最初に質問です。「都会の喧騒」これは、常套句として、耳になじんでいる以上に、タコができている言葉かもしれません。
そんな馴れは、意外にいろいろな場面で、私たちの感覚をマヒさせる方向に働くことが有るのです。

高速道路を自分で運転している人なら何度も経験していることでしょうが、インターチェンジを降りて普通に加速して、はっと気が付くと、制限速度よりはるかに速いスピードで走っていることってありませんでしたか。
これは、「あるある」の世界です。

同じ高速道路でも、制限速度80Kmの所を、最初はおずおずと走っていたのに、前方が詰まってきたので、追い越し車線に出て、グングン加速していきますが、なかなか本線に戻れなくて追い越しを続けていくうちに、さらに速い車が急速に追いついてきた時、あなたはやむなくさらにアクセルを踏み足して、やっと本線に戻れたとしましょう。

先ほどまで激しく差を詰めてきた車は、あっという間に追い越していきました。そこで気が付きます。先ほどまではせいぜい90Kmも出ていれば早いかななんて感じていたのに、今は、130Kmも出ていて、慌てて後続車を気にしながらアクセルを緩めたことも、きっとあるでしょう。

さらに、スキー場の話をしましょう。あなたは中斜面ならそこそこ余裕が有る滑りができるとしましょう。フラットに整備された斜面なら20~25度ぐらいは手ごろな滑りをできますね。
でも、どのスキー場に行っても、必ずもっと急な斜面は有ります。チャレンジングな友人に誘われて、例えば北志賀竜王の最上部のゲレンデに連れてこられてしまいました。

ここは、最大斜度42度の手ごわい斜面です。中斜面では余裕を持っていたのに、さすがに42度ともなると、見下ろすと切り立った崖そのものにしか見えません。そこを、友人はスイっと滑り降り、「オーイ、降りて来いよ。」冗談ではないなと思いながらも、「ママヨッ!」
強引に滑りだしては見たものの、見事に転倒の憂き目に。しかし、斜面が急すぎて、ストックの一突きでが立ち上がれます。???
今までにない経験ですが、無事に滑り降りた(落ちた?)後は、先ほどまでの中斜面がひどく優しいコースに見てしまいます。

話変わって、ある日自宅に帰ってドアを開けると、何か芳香剤の強い匂いが玄関に漂っていました。それは、トイレの消臭用として、買ってきたばかりのもの。そのタイミングで、トイレに入ったら、あまりの強烈なにおいに頭がくらくらしてしまうほど。これでは、芳香剤ではなく、悪臭です。
外国の有名な製品らしいんですが、とんでもないと思っていたのですが、一日経つと強烈さが薄らいでいました。鼻がバカになったんだと思います。

他にも騒音とか、方言の強い地方で暮らすとか、季節の変わり目に感じた気温差とか、こう考えてみると、「馴れる」物っていっぱいあることに気づきます。
こういった感覚を感じていること自体、人間としての営みをしていることになっているんです。

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