ネーミングの巧拙

商品の良いのができました。さぁ、名前はなんて付けましょう。
大メーカーではこんなことはありませんが、個人商店や中小の会社では、往々にして後から名前をつけるの四苦八苦なんてことが有ります。

そんな商品はないかと見まわしてみると如何にも如何にもへたくそなネーミングあり、素晴らしいと感嘆するネーミングも有ります。
カセットテープ全盛期の高性能テープに一つの典型例を見ることができます。

当時のカセットテープは、二酸化鉄粉が主成分のノーマルテープに対して、コバルトイオンを二酸化鉄粉に含侵させて、高域を改善した高性能テープが発売されました。
この時の磁性紛のネーミングでは、マクセル社は「エピタキシャル」で、TDK社は「アビリン」という両雄で対決していました。
皆さんは、どっちがスマートだと思いますか。

自動車の排気ガスの規制が激しくなってきた時に自動車メーカーはその技術を競い合いました。日産は「NAPS」本田は「CVCC」となまえがつけられていました。
日産は誰でもわかるNissanAntiPolutionSystem そのまんま日産公害対応システムです。
ホンダは複合渦流調速燃焼方式 Compound Vortex Controlled Combustionとテクノロジーの頭文字を取って、CVCCとしたのです。これも、皆さんの反応を聞いてみたいと思います。

市販されている薬の名前も、通常はどうしてそんな名前なの?覚えにくいね、となるのですが、某製薬会社のそれは、ちょっとふざけてると思えるようなものが多いです。熱さまシート・ボーコレン・のどぬ~る・ガスピタンという具合。
ふざけてはいますが、名前で効能が一発で分かるというのが、同社の売りです。

で、面白いのは、あまりに先鋭的すぎると、最初のインパクトは期待通りの反応を引き起こしますが、その効果は普通のものより寿命が短いんです。
刺激を求めてい感性に強く訴えかけた見返りに、刺激に慣れてしまうのもまた早いんです。

この刺激の塩梅を上手にコントロールできるのが良いネーミングだということです。これは、自分が有るサイトでネーミング引き受けマス的なサービスを展開した時に受けた印象ですが、こういったサービスを依頼してくる方は、実が自分の腹案をしっかりと持っていて、出てきた案がかなり良いもんであっても、自分の案が最高と思っていますから、これは始末が悪い。

サービスを提供する側はそんなことは先刻承知ですから、依頼者と丁々発止したふりをすることが求められるという変な関係に陥りやすいのです。
人の心の動きがすべてのようなこのサービスは、実は大変に語彙数を求められるだけでなく、ネーミング手法にも通じていなければなりません。

とても、面白い世界ではあります。でも、頭脳労働ですので、一日にこなせる依頼件数は、一件を上回ることは、まず不可能です。そのくらいハードなんです、ネーミングって言うのは。

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