読めない漢字

一時期物議をかもした「漢字検定」ではありますが、その運営はともかく、内容については、個人個人の漢字に対する力量を図る良い物差しになっていることは間違いありません。

そして、ネット上で見ることができるこの問題集を解いてみると、自分の漢字力はこの辺かと納得できます。
3級・準2級・2級までは、まともな問題が出題されていて、とても良い勉強になると思います。

さて、ここからが本題です。
1級の問題を見てください。2級までのまっとうな問題とはがらりと様相が変わり、端的に言えば、「なんじゃ~これは~?」の類の問題がそこには載っています。

  • 例えば、「得魚忘筌」は、何と読むのでしょうか。

  • もう一つ、「風声鶴唳」は、何と読むのでしょうか。

最初のは、とくぎょぼうせん と読みます。必要が無くなれば、忘れられてしまうものという意味ですが、これは魚を取るのに仕掛けた簗なのに、魚が取れてしまえば、そのために使った道具を忘れてしまうという解説がつけられています。

次のものは、そのまま音読みすればそれが答えです。ふうせいかくるい とは、いったん劣勢に立ってしまった兵隊は、風の音にさえびくびくするといった意味ですが、今では、この二つの四字熟語はまず見かけることはありません。

そのくらい超が付く難読漢字が問題集に散りばめられてているのですから、これを解ける人たちは、ある意味「オタク」に分類されます。

言葉は生きているとよく言われますが、まったくその通りで、市民権を得ていたはずの言葉も、時間の経過とともに忘れされてしまいます。
阪神タイガースがキャンプ地から持ち帰ってきた「ハッスル」という言葉は確かに一時期市民権を得ていましたが、今では時折見かける程度になってしまいました。

外来語はその傾向が強く、「アホーダビリティ」という言葉は、住宅などの値ごろ感を表現する言葉ですが、これ、航空の世界では、定時発着性という使い方をしている雑誌が有りましたが、半年もしないうちにその雑誌からもカタカナの方は消えてしまいました。

言葉は使う人の感覚で大きく左右されます。端的に言えば、語感の悪い言葉は発声し辛くつまり使いにくいに通じます。
漢検の1級に出てくる「オタク」レベルの熟語などが使われなくなってきているのだと思います。

ただ、「物識り」といわれるレベルの人たちはこれくらいの難読漢字は当たり前のように涼しい顔で、お答えできるのがスマートなんではないでしょうかね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?