見出し画像

若き日の緒方洪庵の活躍描く★劇評★【舞台=蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~(2018)】

 テレビドラマ「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険」など著名なキャラクターの若き日を描くというのはエンターテインメント作品のスピンオフを創る上で成功確率の高い手法と言われているが、日本の江戸時代に実在した医師、緒方洪庵の若き日の活躍ぶりを描いた舞台「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」は、さまざまな娯楽的な仕掛けを施しながらも、あくまでも病気に対する闘いにすべてを集約させた原作のまっとうなテーマを立体的な芝居に組み立てた上質な作品として評判を呼んでいる。しかも、藤山寛美の五女の息子、つまり孫で藤山直美の甥というサラブレッドながらもその名に甘えることなく、青年座で演技を磨き、近年松竹新喜劇にも参加している若手のホープ、藤山扇治郎を主役に、宝塚歌劇OGのスター、北翔海莉やワハハ本舗の看板女優、久本雅美、香川生まれの大阪育ちで浅草喜劇の流れもくむ石倉三郎、そしてテレビの人気俳優、神保悟志らまでもが集結した贅沢な布陣で臨む人情喜劇は、演出家としても評価を上げている少年隊、錦織一清のキレと外連味を忘れない意欲的な演出によって、すべての感情が刺激されるエキサイティングな作品に仕上がっている。
 舞台「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」は5月16~20日に東京・東銀座の新橋演舞場で上演される。これに先立ち、5月6~13日に大阪市の松竹座で上演された大阪公演はすべて終了しています。

★舞台「蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳~」公演情報
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujyo_2018_ran/

ここから先は

1,317字
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?