【Report=「この状況でもわくわくする何かを届けたい」と堂本光一、『Endless SHOCK -Etarnal- 2022』製作発表会見(2022)】*どのメディアよりも詳しく

 2000年から続いている「KinKi Kids」堂本光一主演の一大エンターテインメント、ミュージカル「Endless SHOCK」が、新型コロナウイルスが完全に収束していないことを鑑みて、昨年に引き続き、今年もスピンオフ版の「Endless SHOCK-Eternal-」として上演されることになり、4~5月の東京・帝国劇場、9月の福岡・博多座での公演に向けた製作発表記者会見を東京都内のホテルで開いた。常に話題を呼ぶ主人公コウイチのライバル役は東京が「Sexy Zone」の佐藤勝利、福岡が「Kis-My-Ft2」の北山宏光と昨年までの上田竜也から一新。ヒロイン、リカ役にも新顔の綺咲愛里を起用して、フレッシュなメンバーをそろえた。製作発表記者会見にはこの堂本、佐藤、北山、綺咲の4人に加え、ニューヨークのオフ・ブロードウェイの劇場オーナー役を帝劇公演で演じる常連の前田美波里と、博多座公演で演じる「Endless SHOCK」シリーズ初出演の島田歌穂も参加した。

 堂本は会見の2日前まで、帝劇での演目を、本編である完全版の「Endless SHOCK」にするか、スピンオフ版の「Endless SHOCK-Eternal-」にするか迷ったそうだが、スピンオフを選択。昨年同様、客席上空でのフライングや激しい殺陣は控えるものの、演劇での感染対策が昨年から一部緩和されている部分もあるため、オーケストラピットは復活させ、昨年ほぼノーセットだった舞台上にも一部のセットを使うなど、より迫力を増したダイナミックな進化版のスピンオフを志向。本編は新キャストを迎えて無観客の帝劇で事前収録し、初日公演より前に有料配信することが決定。堂本は「(佐藤)勝利も北山も大変だと思うんですけど、この大変さをエネルギーに変えてほしい」と励まし、「この状況でもわくわくする何かを届けたい」とファンや観客を楽しませるエンターテインメントに仕上げることに強い意気込みを見せた。なお、福岡・博多座公演は新型コロナウイルスの収束状況によってはまだ完全版の「Endless SHOCK」で上演する可能性も残しており、感染の拡大・縮小や、第7波到来の危険性などを並走してにらみながらこの熱い季節を駆け抜けることになりそうだ。

 ミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」は4月10日~5月31日に東京・丸の内の帝国劇場で、9月に福岡市の博多座で上演される。


★続きは阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」で(劇評など一部のコンテンツは有料ですが、リポート記事は無料です)

http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/archives/66352751.html

 通常は1カ月ほど前にみんなと一緒に稽古場に入るのが普通だが、佐藤は昨年11月から既に個人的にリハーサルなど準備を続けているという。「先走っています。強い思いを持って一生懸命やりたい」と話す佐藤は正統派アイドルと見られがちな自身のイメージを進化させたい思いもちらほら。それもあってか、「自分の殻を破りたい」と荒ぶる魂を持つライバル役に果敢に挑む。

 14歳でジャニーズ事務所に入った佐藤は、事務所の総帥、ジャニー喜多川さん(2019年7月逝去)に連れられて初めて生で見たエンターテインメントが「Endless SHOCK」だったという。足繫く帝劇に通う佐藤に堂本は「もう飽きただろう」と冗談めかして言ったそうだが、佐藤は「そう言われるくらい行かせていただいた。それほど心が動く憧れの舞台です」とすっかり夢中になった。    

 そしてついにライバル役での出演が決まった。

 堂本は会見の前日に佐藤に電話をして、「『SHOCK』への思いが強すぎる」と感じたこともあって「迷惑を掛けたくないという思いが先行している。それは違う。どんどん稽古場で失敗して恥をかいた方がいい」とアドバイスした。

 会見で堂本は「ジャニーさんが育てた子だから大丈夫」とも言って佐藤を安心させ、「『YOUやっちゃいなよ』です」とジャニーさんの口ぐせを持ち出して佐藤を鼓舞した。

 佐藤は電話での堂本を振り返り「本当にジャニーさんと電話しているのかと思いました」と笑い、「下手でもいいという気持ちで自分の殻を破って、ライバル役の新しい一面をお見せしたい」と、新しい自分と出会うための決意を改めて固めていた。


 北山の名はライバル役の候補として過去に出たことがあったという。約20年前に「Endless SHOCK」を初めて観劇したという北山は「20年越しに自分がステージ立てるのは光栄。必死に演じたい」と誓い、「21年前の自分に『20年後、おまえはライバル役で立っているぞ』と言ってあげたいです」とほほ笑む。「ライバル役は、いろんな先輩がやられてきたと思うんですが、自分のオンリーワンな部分を模索したい」と語った。

 堂本は北山にもまた「失敗を恐れないでほしい」と励ました。北山は「ものすごく心強い。ありがたいです」と恐縮しきりだった。


 ヒロイン、リカに初めて挑戦する綺咲愛里は宝塚歌劇団星組の元娘役トップスター。2019年秋に退団し、舞台などに出演してきたが、大きな役をつかんだ。「歴史があり、愛される作品、心から光栄に思っております。ショウ場面が多かったり、ダンスや日本舞踊があったり、とてもダイナミックな作品だなと始めて観た時思いました。諸先輩方にしっかり食らい付いていきながら、精いっぱい大切に演じていきたい」としなやかな気骨を見せた。

 島田は福岡公演で主人公コウイチやライバル役が所属するカンパニーのオーナー役に初挑戦。「本当に光栄ですし、うれしいです。どんな形になろうと光一さんについて行きたい」とコメントし、昨年ミュージカル「ナイツ・テイル―騎士物語―」の再演公演で共演した堂本と再び作品を創り上げる機会を得たことに大喜びだった。

 堂本にとってもあのミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」に1000回以上も出演している島田の加入は心強い力となるだろう。


 帝劇公演でのオーナー役を引き続き務める前田美波里は「光一さんは作品のために毎回進化させていく方です。きっと去年と違う『Endless SHOCK-Eternal-』を見せてくださるはず。私も祈っておりますし、皆さんもご期待ください」と、座長であるとともに演出担当でもある堂本のクリエイティビティ―に大きな期待を寄せた。


 「Endless SHOCK」の本編は中国、欧米に続いて日本にも上陸した新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年2月26日の公演をもって中断。堂本は感染リスクを大幅に低減した演出で、「Endless SHOCK」で描かれた世界の3年後を描くスピンオフ版ミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」を発案。2020年9~10月に上演された大阪・梅田芸術劇場での公演で初披露した後、改良を重ねて昨年2021年の東京・帝劇公演でも演じ継いだ。


 今回、「Endless SHOCK」の上演に戻すのではなく、新しい出演者が無観客の帝国劇場で「Endless SHOCK」を演じて収録し、舞台の初日より前に配信。舞台では感染対策を徹底したスピンオフ版ミュージカル「Endless SHOCK-Eternal-」を上演する、という案は、堂本が最後の最後まで悩み、迷ったところだった。

 「最終決断をしたのは2日前。(本編の上演断念は)ギリギリまでどうしようか悩みましたが、スピンオフなので本編を知らないままご覧になる方もいらっしゃる。キャストも大きく変わりますし、やはり本編の気持ちを知った上でご覧いただきたいという思いから配信をお届けするということにしました」とクリエイター側の思いとともに観客へも配慮した堂本自身の葛藤を明かした。「前回はほぼノーセットでしたが、今回はオーケストラピットも使って本編と同じようなセットの転換もありつつ、以前よりもダイナミックなものをお届けしたい」と、決して同じ「Endless SHOCK-Eternal-」ではないこともにおわせた。

 「新キャストである(佐藤)勝利にとっては2つの異なるストーリーをいっぺんに稽古をしていかなければならないので、本当に大変だと思います」と思いやったが、必ずやり遂げてくれると確信しているようだ。

 堂本は会見後にInstagramにアップした文章には「魅力ある素晴らしい2人と共演できて自分も光栄です」と書いた。


 これだけのものを創るとなると過酷なスケジュールが予想されるが、堂本はこの状況をもしジャニーさんが知った場合、「『SHOCKじゃない新しいものを作っちゃえば』と言うと思う」と苦笑しながらも、「それは僕には不可能。でもこの状況でもワクワクする何かを届けたい」と「SHOCK」にこだわる気持ちとあえて過酷な作業に挑戦するエンターテイナー&クリエイターとしての強い決意も見せた。


 堂本はあいさつの中で配信とスピンオフ版の上演以外に「もうひとつ僕の中で思っていることもある」と新たなアイデアがあることも示唆したが、「それは全然かたちにならないかもしれないし、まだ言えない」と新型コロナの感染状況下で実現する可能性があれば、観客にも大きなサプライズになるかもしれない。


 堂本はミュージカル単独主演1位記録(1851回)を更新中で、今年5月23日の帝劇昼公演で通算1900回を達成する見込み。さらに帝劇での全57公演(博多座の公演数は未定)の上演を達成すれば、1908回に。ミュージカルだけではなく演劇全体での単独主演記録1位の「放浪記」の森光子さん(享年92)の2017回に迫るが、堂本は「より華やかに、進化したい」と話している。


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