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【追悼=オナー・ブラックマン(2020)】

 初期のボンドガールでありながらセクシーさだけでなく、毅然としたプライドを見せた異質のボンドガール「プッシー・ガロア」を演じた英国の女優、オナー・ブラックマン(Honor Blackman)が亡くなった。94歳だった。男性ファンへの訴求力が強い美しさの面では「最もセクシーなボンドガール」と呼ばれるほどの魅力を発揮しただけでなく、その後の役でも男性よりも一枚上手の颯爽とした誇り高き女性を演じることが多く、「次世代の女性像」を体現して世界中の女性から注目されたオナー・ブラックマン。テレビドラマで見せるおしゃれでウイットに富んだキャラクターそのままの言動などで多くの人に愛されたスターの突然の訃報だけに、世界は深い喪失感に包まれている。

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 ブラックマンは1925年にロンドンで生まれ、名門学校として知られるギルドホール音楽演劇学校を卒業。舞台の代役でチャンスをつかみ、20代の早い時期に『四重奏(Quartet)』で映画デビュー。米ハリウッド映画にも進出した。1960年代に入って出演したテレビシリーズ「おしゃれ(秘)探偵(原題 The Avengers)」で主人公ジョン・スティードの相方キャシー・ゲイルを演じて評判となった。

 1964年の映画『007 ゴールドフィンガー』では、悪役オーリック・ゴールドフィンガーに協力していたがその後ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)の巧みな誘惑で改心する女性パイロット「プッシー・ガロア」を演じて、現在に至るまで「最もセクシーなボンドガール」と言われるほどの魅力を発揮して、人気を不動のものにした。この馬小屋でのボンドとのラブシーンは『007』シリーズの中でも名シーンのひとつと言われている。
 1968年には映画『シャラコ(Shalako)』でブリジット・バルドーと共演するなど美貌を競ったが、活躍自体はやや落ち着きを見せた。

 1990年のテレビシリーズ「ジ・アッパーハンド」ではローラ・ウエストを演じ、女優としての存在感が決して弱くなっていないことを実証。1990年にはかつて「おしゃれ(秘)探偵」で相方のジョン・スティードを演じたパトリック・マクニ-と1964年に発売したデュエットソング「キンキー・ブーツ」が復刻され、英国でトップ10入りを果たすヒットを飛ばしている。
 その後、活躍の場は減ったものの、2001年に公開された映画『ブリジット・ジョーンズの日記(Bridget Jones's Diary)』に仮装パーティのゲスト「ペニー・ハズバンズ・ボスワース」として、2005年に公開された映画『アイ・アム・キューブリック!(Colour Me Kubrick: A True...ish Story)』にキューブリックの家と間違われたお宅のマダムとして、いずれもカメオ出演し、その美貌が健在であることを見せつけた。

 ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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