牌譜添削➉雀聖1さん

さて、牌譜添削シリーズもいよいよ10本目。まだまだお待ちいただいている方がいらっしゃるので、気合入れてやってまいりたいと思います!

●成績概観

今回の牌譜主さんは久々の雀聖さん。
個人的には、魂天と雀聖は本当に紙一重だと思っているので偉そうに課題を指摘するのもプレッシャーなのですが、精一杯頑張っていきます。

主さんの成績

打数が多かったので直近500戦に絞ってみました。
安定段位は聖2。あとほんの「1%」ラス率を下げれば安定段位は聖4(≒魂天)を超えてくると思います。
攻守バランスは結構な守備寄り。恐らくですが、攻撃面に魂天への壁が潜んでそうな予感です。

●牌譜検証をして感じた課題

いくつか牌譜を見させていただいて、麻雀で一番大切な要素「押し引き」は相応にしっかりされている印象でした。さすが雀聖です。
一方、結構明確な課題も見えました。同じポイントで複数回繰り返し気になった事例があったため、恐らくクセのようになっていると思います。これから述べる以下3点を取り入れていただければ、結構簡単に魂天に近づくのではないかなという印象を持っています。

①無意味なダマテンをやめる

明確にリーチが優位な局面でダマにしてしまっているケースが複数ありました。恐らくラス回避ルールでの守備を強く意識するようになってからかと思いますが、それでも打点上昇幅が大きい手牌の良形をダマにして良い局面はほとんどありません。うまくダマを使いこなすことは玉の間攻略において重要ではありますが、主さんに関しては今少し考えすぎてしまっているように思います。一度「迷ったらリーチ」に立ち戻ることをオススメします。

②スリムの本質を理解する

序盤の手組みで不用意に牌効率をロスする選択が多くありました。
いくつか事例を見ていく中で、恐らくスリムに受ける「目的」の理解が浅いかなと感じました。ここ非常に重要なので、力を入れて書いていきます。

・パターンA 「オリ主体の高打点特化スリム」
ドラのないバラバラ配牌の時、4-6巡目くらいの時点で自然な手組をあきらめ、1割程度万が一の高打点に化けるパターンだけ残しつつ、9割ベタオリで相手の早いリーチに備えて手詰まりしないよう安全牌を多く抱えます。

・パターンB 「押し返しに備えた危険牌先逃がしスリム」
こちらはあくまで「自分がアガる」ために、「聴牌時の打牌の安全度を上げる」ことが目的になります。聴牌時の打牌で放銃してしまっては自分がアガれないですからね。これは巡目としては8-10巡目くらいが目安です。

主さんのスリム受けには、AとBの目的を混同してしまっているように感じる打牌がかなりたくさんありました。これは後程事例を交えてご紹介しますね。

➂ラス回避の執念

これは事例としては一つだけだったのですが、非常に重要だと思ったので記載しました。冒頭に述べた通り、主さんが魂天にたどり着くためにはラス回避率をあと1%上げればよいと思います。1%とは100半荘に1回です。100半荘に1回の執念を見せるかどうかが雀聖と魂天を分けるということを胸に刻み、自分がラス濃厚の時にも最後まで歯を食いしばっていきたいです。

●事例集

10/5 14:44の半荘東1局

打2pとするが

これは発を素直に切りたいです。
この手は赤3で明らかにアガりたい手。上述のパターンAのスリムは全く不要です。パターンBを考える上では巡目が早すぎます。
今回は発かタンヤオで鳴ける役をつけに行ったのかもしれませんが、考えすぎです。発を切って発がカブってしまうより、ペンチャンを外して3pを裏目る方がはるかに痛手です。
そしてこの局、この後に発の方が危険になっていくにもかかわらず、クセのように字牌を持ち続けていました。字牌だからといって安全とは限らない点の確認も欠かさないようにしたいです。

10/5 14:44の半荘東3局1本場

10巡目でこの構え

赤赤とはいえ、10巡目でメンツ無しでかなりアガリは厳しい中で、上家に対して安全牌が一枚もないか前になっています。むしろこの手でもう少し早くパターンAを発動し、字牌を複数切った4-7巡目のどこかで3pあたりを先に逃がし、いくつか安全牌を抱えておきたいところです。

10/5 14:44の半荘東4局1本場

1pから切り出すが

細かいですが、これも良くないです。配牌は良くはないですが、パターンAで諦めるほどではないです。1pはブロック数が足りてさえいれば不要牌ですが、今回はまだ足りていません。直ちに3pや5pを引いた場合に待ち受けロスがでてしまうことに気付けますでしょうか?

10/5 14:44の半荘東4局2本場

9mから切り出すが

アガリをあきらめつつ遠いホンイツに絞ったパターンA発動でしょうか?しかし、それはさすがに撤退基準が高すぎると思います。この手は1メンツ1両面で、平均程度の手です。ましてドラの7mを引いたら絶好の手に化けます。安全牌を抱える巡目でもないので、ここも素直に字牌から切り出したいです。

10/4 19:46の半荘東2局

打9sとするが

むしろパターンAを発動してホンイツを狙うべきはこちらの手ではないでしょうか?この手は愚形含んでターツが3つしかない状況、素直な進行で聴牌する確率は低いです。ならば8mあたりから切り出してホンイツとドラの重なりに絞って、あとは安全牌を抱えつつ進行するのがバランスが良いと思います。パターンAを発動するためには、メンツ数とターツ数をしっかり数えるようにしたいです。

10/4 19:46の半荘南4局

打8mとしたところ

さて、お待ちかね「ラス回避の執念」事例です。
点数状況を確認すると、ラス回避のために必要なのはマンガン直撃か跳満ツモ。それに対して自分の手には打点の材料がありません。しかし!それで諦めてはそこどまり。材料がないなら作るまでです。
この手で打点を作る候補としては、ダブ南、マンズかピンズの一通、タンピンくらいでしょうか。そこにうまくリーチや赤裏が絡めば…という望みにかけるべきと思います。そうなった時、ここの打牌は私なら「打9p」です。理由は、上記全ての打点候補に不要な牌だからです。
そんな小さい可能性気にしなくてよいのでは…と思われるかもしれません。しかしこの局の結末を見ていきましょう。

結末はこの3mツモで渋々ラス確アガリ

この結末を受けて、言いたいことが二つあります。
一つ目は、もし9pを切っていたら?ということです。その場合、雀頭が8mに振り替わっていて、メンタンピンになっています。そして裏ドラが一枚のってマンガンツモになっていました。残念ながら、それでもわずかに100点逆転はできていませんが、本当にあと一歩まで肉薄できていたことになります。この3mが自分ではなく上家のツモ山にあったら?他家からあとリーチ棒が一本出ていたら?道中のツモで赤や一盃口が絡んでいたら?裏ドラが2枚だったら?いずれか一つを満たせばラス回避できていたと思うと、かなり惜しいところまでこれていました。
二つ目は、こうなってしまったならこの手はアガらずツモ切った方が良いということです。残念ながらウラウラでもラスのため、この手をアガる意味がありません。むしろ親がリーチと言ってくれたため、このまま流局すればもう一局やることができるのです。そして供託2本1本場なら、マンツモ条件という現実的な挑戦をもう一度することができるのです。
繰り返しますが、100半荘に一度の執念です。少ない確率を最後まで追い求めることの積み重ねで魂天への道は開けます。

10/4 18:57の半荘東1局

打発としたところ

ここはパターンBを発動し、7sから逃がしたいです。三色同順に目がくらんだかもしれませんが、この手三色になることはほとんどありません。それよりむしろ、もう8巡目といつ敵のリーチが来てもおかしくない状況を重視すべきです。危険な7sを先に逃がしておき、安全な発を切って押し返せる構えにしておくことが重要です。主さんはあまり良くない配牌で過度にスリムに構え、今回のようにアガりたい手の時はブクブクにしてしまう傾向があるように感じます。パターンBの「アガりたいからこそスリム」を是非覚えたいところです。
そしてこの局は続きがあり

聴牌し、ピンフドラ1をダマ!

考えすぎです。普段あまり断定的な表現を使わないようにしていますが、これは相当リーチ一択です。正直、議論の余地のないレベルです。何かを気にされてダマにしたとしたら、考えすぎです。

そして次の局も

10/4 18:57の半荘東1局1本場

369s待ちをダマ

これも相当リーチです。9sでアガったら寂しいという感覚もあったかもしれませんが、それは違います。リーチには面前ツモ、一発、裏ドラという役が後からついてきます。これをリーチしてリーチドラ1だけで終わる確率はあまり高くないと言えます。また、副露を入れている上家に自由に打たれてしまってはアガリ逃しリスクが高まります。

10/4 18:57の半荘東4局1本場

打9mとしたところ

ここはパターンBを発動し、危険な5mから先に逃がしたいです。既に下家が2副露の状態で、自分もイーシャンテンでアガりたい手。少しでも危険な牌を先に逃がして聴牌時の打牌を安全にする意識を持ちたいです。

10/4 18:57の半荘南1局

打7sとするが

細かいですが、ここもパターンBです。7sより危険な5sから逃がしたいです。この後もしばらく5sを抱えてしまいますが、アガリたい手の時ほど危険な牌を一刻も早く逃がしたい意識を持つことが重要です。

10/2 22:37の半荘南2局

打3pとするが

これはスリム間違いです。素直に南を切るべきです。
パターンAを発動する悪い手牌ではないことはお判りいただけると思います。一方、パターンBを発動するには巡目が早すぎる割に待ち受けロスが大きすぎます。この手はアガるためにあと1つターツを作ることがミッションです。そこで、一番優秀なくっつき牌の3pを手放す理由はどこにもありません。

10/1 10:21の半荘南1局

再びピンフドラ1をダマ

これは2着目に立っておきたい気持ちはわからなくもないですが、それでも圧倒的にリーチです。

まとめ

既に1000半荘以上を重ね、どんどん上達している主さん。こういう方が魂天に到達するところを見られたら感動しそうですね。そして、今回上記の課題を真摯に受け止めてくだされば、決して遠い夢ではないと感じています。主さんの麻雀ライフに少しでも参考になれば幸いです。

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