牌譜添削⑨雀豪1さん

最近人生が忙しくペースが落ち気味で恐縮ながら、待ってくださっている方がまだまだいるので本日も牌譜添削いってみましょう!

●成績概観

今回の主さんは雀豪1さん。雀歴は長いもののラス回避麻雀への適応に苦しんでいるとのこと。そんな主さんの成績は…

主さんの成績

なるほど、和了率も高めで平均和了も6769と相当の高値、確かにかなり攻撃寄りな麻雀のようです。一方で放銃率もかなり高め。これではトップラス麻雀になるのも無理はなさそうなスタッツです。さらに、仮にトップラス麻雀だったとしてもこの放銃率はさすがに高すぎるので、守備面の課題が大きそうです。

●牌譜検証をして感じた課題

いくつか牌譜を見させていただいて、大小いくつか課題は見えました。正直、何点指摘をしようか迷ったのですが、たくさんあっても吸収しきれないと思いますので、まずは「影響度特大の3点」に絞ることにしました。よって、この3点はかなり重要だと心得ていただきたいです。

①不用意に押してしまう

価値のない手から不用意に放銃しているケースがありました。
まずは「基本的には敵の聴牌には、こちらも聴牌していないと危険牌は押せない」という原則を定着させるべきだと思います。
例外的にノーテンから押せる場合は、「打点とアガリ安さの両方備わったイーシャンテン」か「親のない南場で大きくビハインド」の時くらいです。
ましてや2シャンテン以上からの押しは明確に損です。それほど、相手が先にリーチ(もしくはテンパイ気配)というのは不利な状況ということです。
押したくなった時に、シャンテン数・打点・アガりやすさを確認するクセをつけ、2シャンテンや、低打点・愚形だらけのイーシャンテンから押そうとしていたらグッとこらえる癖をつけましょう。

②安全牌探しが苦手

前項のバラバラからの押しに関連して、もしかすると「安全牌が見つけられてないから仕方なく押してしまっている?」と感じるケースもありました。現物でなくても実は安全という牌を見つけることができるかで、大きく放銃率は変わります。

➂打点が好きすぎる

ドラ、タンヤオ、ホンイツ、三色などにこだわりすぎて、牌効率を無視しすぎているケースが多くありました。黒沢咲さんのように、そういうスタイル自体は存在するので個性として尊重したいものの、さすがにこれはやりすぎ…と思わざるを得ない事例があったのも事実です。
また、ホンイツや三色以上に強い手役が存在することを認識するべきです。それは「リーチ」です。リーチはそれ自体は1役であるものの、33%程度で「面前ツモ」、20%程度「一発」、33%程度「裏ドラ」が乗りますので実質ほぼ2役くらいの威力があります。ホンイツや三色を追うことの引き換えにリーチ機会を逸してしまっては本末転倒です。
(リーチ率自体は高めなのでリーチ自体はお好きなのだと思いますが、恐らく質の良くないリーチ(宣言牌放銃等)も多くてこの数値になっていそうなので、内容は改善できそうですね。)

●事例集

9/25 0:45の半荘東1局

上家の4sを
チーして打9p

タンヤオをつけに行ったのだと思いますが、やりすぎです。
リーチドラ1で2600+α(平和ツモ一発裏等)の手を、タンヤオドラ1の2000点に下げてしまっています。そのうえ、両面カンチャンの1シャンテンからフリテン片アガリとカンチャンのイーシャンテンにしてしまっており、アガリにも近づいていません。これは相当スルーすべきです。

9/25 0:45の半荘東2局1本場

9sをプッシュしてダブロンに…

押しすぎです。自分の手は愚形含みの2シャンテン。この時点で押す理由は無いです。さらに手役もドラもなく、戦う価値が無い手です。3pが通ったばかりで安全牌も豊富なので、恐らくこの手に押す価値が無いという意識が足りないのだろうと思っています。

9/25 0:45の半荘南1局

4pをプッシュ

同じく押しすぎです。
今度は一応イーシャンテンではあるものの、待ち受けが限りなく少なくイーシャンテンの中ではかなり弱い方です。そんな中親のカン含みの3副露はだいたい聴牌。それに対して少し高度な話になりますが4pは相当ド本命の牌で、放銃するとドラが絡む確率もかなり高いです。これもリスクが大きすぎて、押すには見合いません。ここは一旦白を切りたいです。

9/25 0:09の半荘東3局

打1sとしたところ

うーん、個人的にはこれも5m切リーチMAX手順一択です。ただこれは個性で許される範囲な気もします。

9/25 0:09の半荘東4局

打1sとしたところ

タンヤオをつけにいったのだと思いますが、巡目も既に中盤でこれはやりすぎです。素直に3sを打って面前聴牌MAXに受けるべきです。

9/25 0:09の半荘東4局1本場

この赤5pをチー

赤ドラをもらいに行ったのだと思いますが、やりすぎです。赤1を得る代わりにリーチピンフ一盃口の目を失い、七対子の可能性も閉じてしまいます。さらにカン6pという愚形を作ってしまい、アガリにも近づいていません。
また、そもそも上家が3副露で自分は2シャンテン。簡単に押し返せない中自分の手を鳴いて狭め、さらに愚形含みの1シャンテンにしてしまうことは自分で自分の首を絞めにいってしまっています。

9/24 22:46の半荘東1局

4sを打つ

このあとピンズのホンイツに向かっていきますが、さすがにやりすぎです。ピンズと字牌で3ブロックしかありません。
佐々木寿人さんや渋川難波さんのように、上級者には遠いホンイツを得意とする打ち手もいます。ただ、それは攻守バランスを常に踏まえながら判断する高度な技術で、状況によっての使い分けが難しいです。少し言いづらいながら、主さんのレベルではまだ安易にマネしない方が良いと感じます。
この局実際続きがあり…

愚形愚形の1シャンテンで…

リーチと2副露二人に9m7s5sと危険牌を3連打もする羽目になりました。これは全くリスクにリターンが見合っていません。

9/24 22:46の半荘東2局

ドラそばの打4mとしホンイツに向かう

これもやりすぎです。ホンイツは2ブロックしかできていません。これはしっかりと受入最大で進行し、リーチ手順を狙う方が和了率は圧倒的に高く、打点もホンイツと大差ないでしょう。配牌オリに近い感覚でホンイツを狙っているのだとしたら、少し基準を見直した方が良いかもしれません。1メンツ1両面に中張牌のくっつきを待てるこの形はそこそこ戦えますし、字牌を一部残せば安全度もさほど犠牲にしません。

9/24 22:46の半荘東3局

打1sとしたところ

押しすぎです。自分の手は愚形愚形の2000点イーシャンテン、全く押すのに見合っていません。ここは9p89sと安全牌も十分で、ベタオリが良いでしょう。(スジの3s切ならまだわかりますが…この場況は索子の下愚形はそこそこ臭いですので個人的には切らない方が良いと思います)

9/21 23:48の半荘東2局

打3mとして789三色へ

これもやりすぎです。9sが3枚、8mが2枚見えてしまっていることに気付けるでしょうか。これは79mを外してリーチピンフドラ1イーシャンテンに受けたいです。

9/21 23:48の半荘南1局

打1mが親リーに放銃

これも自分の手は2シャンテン、押しすぎです。
もしこの手で安全牌が見つけられないようでしたら、7sがかなり安全であることには気づきたいです。以下のように、当たるパターンを考えて消去していくクセをつけると良いと思います。
・47s両面待ち→4sが通っているのでない
・カン7s待ち→568sからドラ5sを切ってリーチしていることになるのでかなり不自然
・ペン7s待ち→9sが3枚見えててワンチャンス
・単騎やシャンポン→自分が3枚持ちだからほぼ無い

●まとめ

今回指摘した内容は、正直に申し上げるとラス回避ルールであろうとなかろういずれにしても直した方が良いと感じたポイントではあります。ただ、ラス回避ルールの場合は一層その重要性が高いものとなります。

ラス回避ルールとは、つまり振れ幅を小さくすることが偉いルールです。振れ幅を小さくするために最も重要なのは放銃率の減少、次に重要なのは安手でもいいからたくさんアガる(ことで他家の大きいアガリを防ぐ)ことです。これは統計上も証明されていて、

玉の間統計データ

高段者になればなるほど、和了率が上がり放銃率が下がります。「うまいから当たり前だろ!」という見方もできますが、注目すべきは「平均和了」です。こちらは段位が上がれば上がるほど数字が下がっているのです。つまり、低打点でもいいからしっかりアガリを多く取っている人が勝っていると言えます。

今回指摘した2点を見つめなおせば、飛躍的に成績が伸びることは間違いないと思っています。主さんの麻雀ライフに少しでもご参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?