ネグレクト・ホテル
0~1歳児に関しては、地域の保健士がついてくれたりするので概ね何とかなるとして、子供が喋るようになり思いのまま行動するようになると途端にどうしていいのかわからない。
どの子供もほとんどマニュアル通りにいくハズないからね?
保育所や託児施設や幼稚園なんかでの集団生活で子供が自然と会得することも多いが、家庭の中で最低限度の責務を遂行することや、ダメなことをダメと言われないまま育つとそれが子供にとって『当たり前』の環境になる。
ブルジョワジーなネストの完成である。
靴を揃えて脱ぐとか、いただきますを言うとか、悪いことをしたら怒られるとかっていうルールが家庭に一つも無いとなると、それは『放任主義』でも何でもないただの『ネグレクト』であります。
ブルジョワジーなネストの中でネグレクトをされた場合、『なんでこっちが金払ってるのにごちそうさまなんて言わなきゃいけないんだ!』って人間が生まれる。
だからって『じゃ仕方がないな』ってことではもちろん無い。家庭教育が貧しかろうがネグレクトだろうが、世界にとってそんなことは関係ない。
世界は誰に対しても平等に、被害を受ければ訴え、邪魔されれば排除し、許せないことは決して許さない。
今まで甘やかして育てた親が急に『ダメだ』って言うから、自尊心が傷つけられ、幼児が泣き叫ぶ姿そのものでパニックに陥るんじゃないか?
その結果、上手く行かないことを全て社会のせいにしてみたり、親を殴ったり、引き籠ったり、犯罪に手を染めるパターンも出て来ないとも限らない。
『戸塚ヨットスクール』
学校では手に負えない子供たちを預かって、ヨットを通して子供達の中に蔓延る『甘えの構造』を取り払い、精神的な成長を促す教育方針の元、多くの若者を更生させた。
子供がヨット操船中の事故で亡くなったことを境に、テレビマスコミがこぞって戸塚校長の『体罰』にフォーカスして報道した。
甘やかした結果、手に負えなくなった子供を預かって教育し直して欲しいという親が全国に沢山いる事実、その『闇』にフォーカスすべきであるにも関わらずね?
当時、尾木ママがテレビ出てたらどう言ったでしょうね?
『もちろん体罰はダメよ。でもそうしないと救われない家庭があるのも事実。』と、ちゃんと伝えたかも知れないね?
そもそも、そのすべてが『アンダーグラウンド』な話である。
ネグレクトや、甘やかすことしかできない親の存在も、親に暴力を振るう子供の存在も、その更生施設の存在も、全ては極端なその一方向でしかない。
それを、パッとテレビのワイドショーで聞いただけで、市井の人たちになんか共感出来るわけがない。
『親はもう教育出来ない。だが子供は教育できる。』戸塚氏は言う。
もちろん厳しく育てればいいってもんでもないと思うし、褒めれば絶対伸びるなんてワケないし、親が子供を甘やかしても良いことなんか一つも無いのは確かな事実である。
『戸塚ヨットスクール』のような存在は、ネグレクト親や、甘やかすしか出来ない親にとっては紛れもなく『一つの救い』であろうし、引いては社会の救いにもなる可能性はある。
その辺にゴミするヤツも、親に手を挙げるヤツも、『お客様は神様だろ!』言うヤツも、『白線の内側まで下がってください』って言われても出来ないヤツも、SNSで他人を攻撃するヤツも、ブルジョワジーなネストの中で親が運んでくる餌をついばんでるだけの子どもだったんだろう。
親の庇護の元、巣箱の外のイタチやヘビに出くわさず、親が来ればピーピー言ってるだけのね?
今は『各種更生施設』もあるが、甘やかされて育った大人を強制的に修正することは誰にも出来ない。犯罪を犯して実刑となって刑務所に収監されでもしない限り、誰がどこでどう生きようが自由だと憲法に定められている。
社会は否応なく受け入れるしかないし、その結果、周囲が迷惑を受ける構図は未来永劫変わらない。
なので『なんでこっちが金払ってるのにごちそうさまなんて言わなきゃいけないんだ!』と、これからも言い続けるだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?