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井岡選手のタトゥー露出問題から考えたこと

皆様明けましておめでとうございます。

今話題を集めている昨年大晦日に行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで勝利を収めた井岡選手のタトゥー露出問題。


今日はその問題に関して、タトゥーに関わりがある者として個人的な意見を述べたいと思います。
良ければお付き合いお願い致します。



まず初めに井岡選手の勝利への祝福の言葉を述べさせて頂きたいと思います。何事も結果を残すことは簡単ではなく、相応の努力が伴うと考えます。今回の勝利は井岡選手の努力の証であり、その努力に対して心から敬意を表します。

試合では画面越しからでも伝わる緊張と興奮を楽しんだ方も多いのではないでしょうか?


タトゥー露出に対する違和感

しかし、同時に今回のタトゥーの露出について違和感を覚えた方も少なくないと思います。



実際、日本ボクシングコミッション(JBC)のルールには「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者は試合に出場出来ない。」と定められています。
そして今回の井岡選手の振る舞いはこのルールに反するものとなったのは明らかです。

 

 井岡選手も当然このルールを把握した上での行動だったのだと思いますが、タトゥーを露出した状態でリング上に立っていました。



どの様な真意があってこのような行動をしたのかは把握できませんが、どうやら以前からタトゥーのルールに関して意義は唱えていたと言う話もあります。結果として日本ボクシングのあり方について、そしてタトゥーのあり方について考えるきっかけになりました。

タトゥー露出への世間の反応


・「ルールはルールだから守るべき。」
・「JBCもなぜその状態でリングに立つことを許した?」
・「やはりタトゥーは威圧的で不快だ。」
・「タトゥーではなく刺青だ。」
などなど
様々な意見が寄せられ、多方面に論点が波及しています。



日本タトゥーイスト協会?

さらには日本のタトゥーアーティストで構成される日本タトゥーイスト協会がJBCに対して抗議文を発表するまでに事態は発展している様です。

抗議文の内容として、JBCが「入れ墨とファッションとしてのタトゥーの線引きは難しく、反社会的勢力としてのイメージはまだ消えていない」と主張していることに対して、「世界チャンピオンである井岡選手と『反社会的勢力』との間に関わりがあると言わんばかりの主張は、井岡選手を侮辱するものです」という反駁、その他には日本在住の外国人には容認されていることに触れ、「これは不合理なダブルスタンダードというほかありません。

国籍が日本か否かによって、試合中に入れ墨を露出してもよい/悪いが決められるというのは、ボクサーの個人としての尊厳をあまりに軽んじるものです」との指摘もあったそうです。

今回の一件について考えたこと

論点は、タトゥーではなくルール規範。
一連の流れを通して私は、「ルール違反はルール違反に違いない。」というのが率直な意見です。
ルールに基づいて承諾した上で与えられたライセンスという権利です。今回タトゥーに関する違反だったからこそ話題が膨らんだ可能性も否めませんが、どんなルールであっても、そのルール、法域にいる以上違反は違反です。
権利に伴う責任を果たした上で、正当な形でタトゥーに関する抗議や議論をするべきだと考えます。選手本人も以前からJBC内でのタトゥーの扱いに関して思うことはあったのだとおもいます。
しかし、今回の件に対する井岡選手への処罰は致し方ないものだと思います。同時に「なぜタトゥーを露出した状態でリングに立つことを許したのか?」という疑問は拭えません。
JBC自体昨今のタトゥーの扱いに関して決めかねていたのか、曖昧になっていたのか、もしくは内部での議論に終止符を打つ目論見だったのか、真相は分かりませんが、ルールが生きている以上、日本の世論の出方を予想して徹底した管理をし、しっかりと選手を守るのも協会の務めであると思います。
 
また今回日本タトゥーイスト協会からの抗議文が出されたことに関しては、論点を誤り火中の栗を拾ってしまったのではないかと感じました。
今回の一件は井岡選手個人のルール違反に対する処罰に関する内容が論点であり、タトゥーの在り方は共存している様で、他のフィールドにあり、別段階で議論されるべき内容ではないかというのが個人的な意見です。
別段階というのは、今後JBC内でタトゥーに関するルールが改正されていくことがあればその際に協力して話し合うなどの方法もあると思います。実際今回の抗議に関してはタトゥー協会内でも意見が大きく割れていた上での発表になってしまった様です。

【日本タトゥーイスト協会とは? 】
今回あらゆるニュースサイトで内容が取り上げられたことで日本タトゥーイスト協会の存在を初めて知った方も多いと思います。昨今の日本が抱えるタトゥー業界の無法地帯問題に取り組んでいる組織です。

日本の歴史が影響している

日本は明治時代になると共に江戸の入れ墨文化、琉球やアイヌの文化が日本の近代化の妨げになるとして刺青禁止令を発令しました。約70年間続いた禁止令が解かれたのは戦後GHQの指導の下です。長く禁止されていたものが急に解禁されルールが無いのが現状です。
 
現在、古くからタトゥーへの負のイメージがある東アジアの国々も韓国を中心にタトゥー文化の透明化が進んでいます。日本も現状を変えようとアーティストと政府が協力して無法地帯の開拓を進めている矢先の騒動となってしまったと思います。

ひとりのアーティストとしての想い

今回の一件に触れ、私はまず、日本国内でまたタトゥーがこのような形で取り上げられる事態になってしまったことへの悲しさを感じました。しかし、タトゥーを取りまくこの日本の環境も歴史的に積み上げられてきた日本の文化であり、日本のタトゥー文化が世界的に固有なものであるのも、この環境があったからだと考えます。だからこそ、これから先、日本らしい透明なタトゥー文化の構築を進めていくべきだと思いますし、そのために励んでいる方々がいます。

まとめ 

今回の件を通じて、権利を与えられているからこそ果たさなければならない責任があること、そして、この日本文化の中でタトゥーをまとう選択をしたからこそ自身の行動に誇りを持ちながら常に顧みることの大切さを改めて痛感しました。
 
個人的な意見も踏まえ、広く話を進めてしまい、かなりの長文となってしましました。
 
最後まで読んで頂きありがとうございます。
 


画像引用元
https://news.yahoo.co.jp/byline/miurakatsuo/20210107-00216453/
その他引用元
https://tattooist.or.jp/%e4%ba%95%e5%b2%a1%e9%81%b8%e6%89%8b%e3%81%b8%e3%81%ae%e5%87%a6%e5%88%86%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

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